レビューメディア「ジグソー」

組み立てやすくて遊べるキューブケース

ASRock X99E-ITX/acのケースを何にするか色々考えて落ち着いたケース。

お財布が寂しかったので安さももちろん選択理由の一つだが、ケース内部の余裕がITXケースとしては大きく変則配置のX99E-ITXでも配線に無理が無さそう、X99CPUにも耐える大容量ATX電源の搭載が容易、長尺VGAへの対応が決め手。

そしてまさに立方体といった形状。なんと両サイドのメッシュパネルとアクリルウインドウ付の天板は完全に互換品で入れ替え可能。

それどころか電源ユニットの吸気・支え部を無視すれば底面板すら同じ形状なのだ。

全て手回しネジで外せるのであっという間に骨組状態になる。

さすがに標準で5000円代というお手頃価格なのでマザーの土台はスペーサーではなく一体型、パネル類のスチールはさほど厚くない等価格なりの作りの部分はあるが骨組み自体はしっかりしているので組み立てていて心配になるようなヤワさはない。

そしてこの値段で20cmファン付き。ファンは3pinタイプ。これで文字通り全体を冷やせる。

またその後ろのスペースには12cmファン…というか12cm簡易水冷ラジエーター搭載用のスペースがありCPUクーラーの高さ制限をフォローできる。

背面には8cmファン2基が追加可能。20cmファンの押し出し力に任せる手もあるが排気ファンがあったほうが結果的には静かになりそう。

付属品はシンプル。ビープスピーカーが無い点は注意。

更新: 2017/02/25
拡張性

CPUクーラーの高さ制限に気を付ければ大抵入る

とにかくコイツの特徴は組み立てやすさとパーツの自由度。

先述のとおり底面まで外せる設計なので組み立てはとてもしやすいし、一般的なパーツなら大抵はいるしマザーの周辺もスペースをとっているので実に組みやすい。

 

特にアドバンテージになるのが電源部。底面がガバっとあくのでもう雑に押し込んでそのあとゆっくり配線を考える事ができる。

ITXケースでは省スペースのためにSFX電源を搭載していたりATX電源対応でも長さがギリギリだったり後方に取回すための延長ケーブルとコネクタ位置の相性があったりするがこれは全く心配がない。

ケース下部ほぼすべてが電源ユニット用のスペースなので長尺のプラグイン電源でも余裕を持って取回せるし、逆にプラグインでない電源でも余ったケーブルを納めるスペースに余裕がある。

 

似たレイアウトのMicroATXケースDScubeが電源真横にドライブベイを設置してしまい大型電源どころか150mm+プラグインの場合プラグが抜き差しが難しかったのとは対照的。

150mmにプラグインの電源でも余裕ありまくりだし余ったケーブルを押し込むスペースもタップリある。恐らく1000Wクラスの大型電源もケーブルの取り回しに注意すれば収まるだろう。

 

【追記】180mmプラグイン電源投入

やはり余裕は十分。余ったケーブルを収めるスペースが減るので非プラグインかつケーブル本数が多い場合は注意。また底面の電源用吸気口は140mm程度の電源を想定していてケース後ろよりなので結構ファンの中心がズレる。電源上側は隙間が殆ど無いように見えるがマザーボード用のメンテナンスホールが大きいのでそちらから吸気できる為上吸気で設置するのも手(ネジ穴は両対応)

 

ストレージは最大4台(2.5*2+3.5or2.5*2)。

写真手前側が3.5インチ(2.5インチも可)のスペースでその裏側に2.5インチが張り付くようになっている。3.5インチの場合は防振ゴム経由になる。風はあまり当たらない場所なので高発熱のHDDは気になるがITXならまず困る事のない搭載量だ。

 

余裕があるのでITXマザーのレイアウトでケーブルがムリな取回しになる事も少ないのでマザーを選ばない。

 

以前購入したMETISはこれよりも二回りくらい小さいサイズな分かなり切り詰めていたので、内部スペースに余裕が無くまるでパズルのように組み立てることになった(それはそれで組み立て甲斐があって楽しいのだが)。

Core V1はケーブルを通せる場所も多いし底面まで開くし、ATXタワーと比べて小さいからひっくり返したり向きを変えたりがラク。

 

一方弱点になるのがCPUクーラー。140mmの制限があるので12cmサイドフローの場合低背モデルに頼る必要がある。その手のクーラーはファンをマザー表面ギリギリまで下げるのでマザーやメモリとの干渉にも気を付ける必要がある。

今回は無理やり低背タイプの12cmサイドフロー「TrueSpirit 120M BW Rev.A」を搭載したがファンを搭載可能位置まで落とすのにマザーとの干渉がシビアになる。

なのでトップフロータイプか9cmサイドフローが無難。それ以上の冷却力が必要なら大人しくフロントに簡易水冷ラジエータを持ってこよう。まあITXケースの場合リテールすらギリギリみたいなケースもあるのでそれに比べたら大幅に余裕がある。

 

そしてもう一つ気を付けるのがフロントオープンベイがない事。最近は光学ドライブを使う人も少ないので無くてもいいっちゃいいんだが、カードリーダーやファンコントローラー、増設USBといった小物が使えない。

ケース本体には側面のUSB3.0(2ポート)のみなので側面が使いにくい場所に設置する場合は注意。

更新: 2017/02/20

搭載可能VGAについて

さてコイツ、ケース内は255mmまでの長さに対応しているのだが…

豪快にフロントフレームに穴をあけておりフロントパネル部分にまで突き出してVGAを搭載できるようになっている。

このようにフロントの穴から押し込む感じで突っ込むのだ。

はみだしぐらぼ!

写真はGIGABYTEのR9 290搭載カードGV-R929OC-4GD。公式サイトのスペックでは293mmとなっているグラボだが、どうやらGIGABYTEはブラケット部も含めたサイズで掲示しているようなので実際は280mm程度。なのでバッチリCoreV1に収まる。

Core V1側は公称285mmまで対応だがこちらの数値も少し余裕を持っているようだ。

 

こちらはN680GTX Lightning。公式サイトでの表記は「ブラケット・突起部を含まず270mm」で実際ブラケット・突起を含めるとカード全体は300mm程度。なんとこれでも収まるには収まるしフロントパネルも閉じる。

 

しかし別の問題がある。最近はMSIをはじめとしてグラボの幅を広くして大型ファンを搭載するのがトレンドだが、その場合フレームの穴部分との干渉がシビアになる

補助電源コネクタのマージンが殆ど無い。なのでこのフレーム部分以外に補助電源コネクタがあるモデルじゃないと使えない。またこの穴の部分はきっちり2スロット分なのでいわゆる2.5スロット厚のものは通せない。

 

まとめると

・ボード長が255mm以内の場合

 2スロット厚のものならほとんど搭載可能 2.5スロットタイプはかなりシビア

 MSIのような幅広モデルも大丈夫

 

・ボード長が255mmを超える場合

 補助電源コネクタを含めて300mm以内なら搭載できる

 2スロットの枠内に収まる厚みじゃないとムリ

 幅が通常サイズなら補助電源コネクタ横出しでも問題ない

 MSIのような幅広モデルの場合シビア 特にフレームとの境界部になる255mm部分に横出し補助電源コネクタがある場合は干渉の恐れが高い

 

…まあ最近は短尺のハイエンドモデルも出てきているので無理にフレームぶち抜き長を狙うことはないのだけどこのぶち抜き搭載感はすごく好き。

更新: 2017/02/20
サイズ

見た目より大きいので注意

 

まあ拡張性があるせいで仕方ないのだが、ころっとした見た目で店頭でつられると予想以上の容積を持っているので部屋に置くと案外デカイ。まさに立方体キューブ形状なのでそこは注意。しつこいようだがフロントIOが側面にあるので側面にスペースがある場所じゃないとキツイ。

幅と高さはB5の長辺、奥行きはA4の長辺(+ケーブルの取り回し分)が必要。ほんとコイツ写真や店頭で単体を見るとデザインのせいで小さく見えるんだ。

もちろん一般的なMicroATXやATXケースに比べれば小さいのだが、幅がそれらより広いので普通のタワーケースを使った方がすっきりする場合もあるかもしれない。

更新: 2017/02/20
コストパフォーマンス

廉価かつ実用的なITXマシンを組める

総合的なコスパはITXケースとしては最高クラスといって過言ではない。もちろんケース自体の安さもある。ITXケースって意外と高い。ただそれ以上に武器になるのがパーツの選択肢の広さ。

SFX電源は同じスペックのATX電源より高いし大容量モデルが登場したとはいえ限界がある。簡易水冷ももちろん空冷に比べたら割高。ロープロファイルや小型のグラフィックボードは同じ値段のものより性能や静音性に劣るものも多い。HDDも当然3.5インチモデルのほうが大容量。全部当たり前のことだが、その辺の制限少なく、変な話普通のATXケース用に買っていたパーツの流用もしやすい。

更に全体に余裕があるサイズ&メッシュパネルなので高発熱のパーツもある程度は許容できる。

今回はマザーとクーラーの干渉のため横方向排気の変則配置(側面の12cmファンはメッシュ部にマグネットステーで固定)したが、その悪条件でもi7 5960X+R9 290という重量級構成をしっかり冷却できる。スカスカのケースだが結果としてファンの回転数が上がりにくいので低発熱構成にすれば静音方向に振ることも可能だ。

 

全体を含めたコスパと組み立てやすさという意味で素直にオススメできるケース。

  • 購入金額

    3,458円

  • 購入日

    2017年02月12日

  • 購入場所

    pc4u

28人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (5)

  • Takahiroさん

    2017/02/20

    N680GTX Lightningをぶっこんだ画像はなかなかにインパクトありますね。
  • 下小川さん

    2017/02/20

    たぶんコネクタ削るというか壊す勢いで補助電源繋げば使えるんですが今回はマザーが主役なのでそこまではしませんでしたw
  • アラクレさん

    2017/02/20

    DSも持ってましたし、Core V1も持っている私としては非常に楽しいレビューでした!
    これVGA長めでも搭載できるんですけど、STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5が
    幅じゃなくて奥行きで引っかかったせいで搭載できず、余計な出費がかかったのは良い思い出(笑)
    20cmファンが標準搭載されていたりサイドパネルが組み替え自由とかいいですよね。
    なにげにストレージも3.5と2.5インチを2つずつ搭載できるのもいいです。

    個人的にはZ9Plusに匹敵するというか余裕で追い抜いた良いケースでした。
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