FM1の頃からAPUに興味はあったのだが、なかなか導入タイミングが無い。何せPCは有り余っているのだ。しかしショップ店頭で愛真田心&美星藍クリアファイルにつられて…いやそれも大きいんだがとにかく衝動的に購入を決意。
しかし使ってもサブPC用なのであまり高いものには手を出せない。本来ならサンダーボルトII…じゃなかったA10辺りでAPUの本気とやらを見せてもらうのがいいのだが、そこまでの予算は無い。マザーボードを廉価なM-ATXにすればA8辺りにも手が届いたのだが、それをするくらいならちょうど家にケースがあるITXでコンパクトに仕上げた方が面白いだろうとマザーに予算を割いて、6500円で買えたA6イントルーダー…じゃなかったA6-5400Kに。
A8とA6の差は内蔵GPU性能差もあるのだが、CPUコア数が4→2に下がっている事が大きい。ついでにキャッシュ量も4MBに対して1MBとバッサリ切り捨てを食らっている。CPU動作クロックは3.6GHz(Turbo 3.8GHz)と高めなのだが。
その割りにTDPは65WとクアッドコアAPUの一部モデルと同じ。とにかく安くなら4000円代で買えるA4-5300があるし、本格的に使うならA8やA10のクアッドコアがある。なんか買う前から中途半端感が炸裂して仕方が無いのだが、逆を言えばあえて選ぶ人も少ないだろうし珍しいモノ好きの私には相応しいんじゃないだろうか。
あわせて購入したマザーは(再び美星藍につられて)MSI FM2-A75IA-E53。A75チップセットを搭載したITXマザー。
そしてケースは元々VIA C7やATOM D510用に使用していたアクリル小型ケース。
実際その頃のITXマザーにあわせて作られたケースなのでマザーの上方向に余裕が無く厚手のCPUクーラーは搭載できないorしても窒息なのだが、幸いA6-5400KのリテールクーラーはCPU面から約4cmと薄めの形状だったのでギリセーフ。
とはいえ周囲のスペースは少なく劣悪な冷却環境であることに変わりは無い。このリテールクーラーがどこまで頑張ってくれるのだろうか。
能書きは置いておいてとっととベンチマークをを見てみよう。OSはWindows7 Ultimate 64bit。但しポイントとなるのがメインメモリのチョイス。メインメモリからVRAMをシェアするAPUやIntelHDグラフィックはメインメモリ性能が3D性能に結構な影響を及ぼすのだ。
今回こちらのDDR3 2400メモリを持ってきたのだが、残念ながらDDR3 2400動作は非常に不安定で、メモリタイミングをかなり抑えてやっとベンチが1個完走する程度。今回の組み合わせでは2133(10-11-11-30)が実用的限度のようだ。
まず1600動作状態でのWEIはご覧の通り。
グラフィック系のスコアは6.6とそこそこ高い。これのメモリ設定を2133まで引き上げると…
ご覧のとおり更にグラフィック関連スコアがアップ。ちなみにIntel HD4000はDDR3 1600で6.6と同スコアだが、WEIはIntelHDグラフィックスを過剰評価する傾向があるのであまりアテにならない。
しかしCPU及びメモリのスコアはぱっとしない。同じメモリをIntel Z77マザーに挿すと7.9をたたき出すのにコチラは7.2。また参考として同じくAMD環境のPhenomII X3 700e+890GXマザーのWEI。
グラフィック関連は上回るものの、CPUとメモリは負けている。トリプルコアとはいえ700eの動作クロックは2.4GHz。やはりBull系のアーキテクチャはクロックの割りにベンチマークスコアは出にくいようだ。但し何故メモリまでスコアが下がってしまったのかは不明。
フォローしておくと、700eの類似モデルである705eは、2009年発売当時13000円したので5400Kが2個買えるお値段。
お次は「新生」版FF14ベンチ。
1600環境 3710pt
2133環境 4024pt
ご覧の通り1600→2133のスコア差は無視できない。
参考までにCore i5 3570K(DDR3-1600)のオンボード状態のスコアは3227pt。ココだけ見れば実売価格が3倍以上のCPUに勝ったぞ!!
さて、メモリ変更だけでも結構なスコアアップが見られた訳だが、コイツはアンロックモデル。CPUとGPUのクロックを変化させることができるのだ。むしろ高価なメモリモジュールを必要としない分こちらの方がお手軽&リーズナブルか。
OCの設定や挙動に関しては長くなってしまうのでマザー側で書くとして、結論から言えばCPUがMaxTurbo 3.8GHz→Turbo4.2GHz/MaxTurbo 4.4GHz、GPUが760MHz→1013MHzと結構あがってしまった。
WEIはプロセッサが0.2アップ、グラフィック系も0.1づつアップ。
FF14スコアも定格・1600だと3710ptに対して4750ptと1000ptもアップ。
これなんと、Core2DuoE8400にHD4670を組み合わせた以前のメインPCのスコア(4896pt)に迫るスコア。OC扱いとはいえこれだけのスコアを6500円でたたき出すとは恐ろしい。
面白がっていろいろベンチを回したが、OCをつめればつめるほどスコアが上がり、またGPUとCPUどちらを重視するかで安定上限や発熱が変化したりとかなり面白い。
○CrystalMark 2004R3
○PSO2(1280*720 ウインドウモード 画質3)
定格+1600→1403pt
定格+2133→1885pt
OC+2133 →2051pt
○FF14 (旧版)Low
定格+2133→1505pt
OC+2133 →1854pt
○3DMark06(カッコ内オマケ・新品当時推定価格)
定格+2133→6597pt
OC+2133→7730pt (CPU 6500円)
i5 3570K+オンボード→6633pt (CPU 18000円)
PhenomII 700e+HD5450→2606pt (CPU 13000円 VGA4000円)
i7 2700K+HD5770→17917pt (CPU 27000円/VGA 18000円)
E5-2620+GT220→7254pt (CPU 40000円/VGA 8000円)
E5-2620+M9138→364pt (CPU 40000円/VGA 62000円)…マテコラ
CPU性能では大きく劣るハズのIntel Core i5 3570Kに対してGPU性能差で見事ゲーム系ベンチスコアを逆転している。また、実用面で見てもRadeonのドライバを使用するのでIntelグラフィックに対してゲームソフト側の最適化が進んでいたり、表示乱れが少ないのも見逃せないメリット。
一方CrystalMark2004R3のCPU・メモリ周りのスコアを見る限り、CPU側の性能はWEI通り「それなり」で、3Dmark06のCPUスコアも定格2396pt/OC2598ptとGPU側でフォローしている感が大きい。
とはいえ、古いCPU・VGAと比べればコストパフォーマンスはかなり高いといっていいだろう(但しミドルレンジVGAがあればあっさりぶち抜かれる程度の性能)。
じゃあ実際どんなもんかと定格状態で重量級ネトゲ「TERA」を起動。画質設定を3辺りまで下げればフルHD解像度でのプレイもできないことはない。但し軽い場所でやっと30FPSに行く程度で普通の狩場だと15FPSをなんとか維持する程度。
OCすればもう少し余裕ができるし、画質設定を更に下げたり解像度を妥協すれば更にFPSはアップするので調整次第だが、グラボなしでTERAをプレイというブっ飛んだ話も現実味を帯びている。尚更A8やA10が気になってしまうのだが。
注意すべきはメモリ。今回メモリクロックが高い状態でベンチを取ったのだが、A6を選択するようなコスト重視の構成でDDR3 2133や2400をたたき出すメモリを購入するのかというのにも疑問符が残る。今回2133で取得したスコアから一回り下がるのは覚悟しておいたほうがいい。
さて、登場時いろんな意味で話題になったAMD FXの流れを汲むコアを採用しているので特にCPUに関しては消費電力が気になるところ。メモリは一旦1.5V動作に引き下げて、定格状態とOC状態のアイドル・Prime95・OCCT時の消費電力を取得。いつもどおり80PLUS スタンダート認証電源でマザーボードのみ給電を行い、ワットモニターで計測する。
定格 / idle 26W / Prime95 67W / OCCT Pw 80W
OC / idle 26W / Prime95 68W / OCCT Pw 95W
マザーボードの影響も大きいので一概に言えないのだが、アイドル消費は26Wとかなり抑えている。またCPU負荷時は67W、OCCTでも80W。実際のPCの場合ここにドライブ類等が上乗せされるが、それでも100W級のACアダプタで動作することも可能だろう。
面白いのがOC時と定格時の消費電力差。CPUに関しては何故か殆ど差が無い。OCCTでもCPUのみに負荷をかけるモードだと同じ結果だったのでPrimeのみがそういう挙動を示すと言うわけではない。 どうもコレ、マザーボードが元々電圧を多めに盛っているせいで、定格状態・4.4GHz状態でも電圧に殆ど差が無かったのが原因。逆を言えば定格状態だと余計に食っている感がある。この辺はマザーボードの挙動次第か。
【温度について】
ちなみにこのOCCT計測時はちっこいケースの上部を開放して比較的エアフローの良い状態で行ったのだが、OCCT3分でOC・定格問わず42度で安定。この時リテールクーラーの回転数は2200rpm程度なのでさほど耳障りな音は出ないので、それなりに通気性のいいケースなら冷却性はあまりキニシナイでよさそうだ。
但し今回使用したケースを通常の窒息状態にするとあっさりと60度近くなり、ケースファンもそれなりの回転数にしないとヤバくなる。これはケース側の問題なのだが。
さて、その消費電力を同じ電源で計測した他CPUのデータとも比べてみよう。但し普段のデータは多すぎるので主にオンボード系・低消費電力傾向のものをチョイス。また普段1155環境はM-ATXのASRock Z68 pro3-Mをデータ基準として使用しているのだが、今回はA6 5400KがITXマザーという事で同じITXのIntel DH77DFのデータも一部追加した。
さすがにIntel陣営デュアルコア(G540)と比べると負荷時消費電力が高めだが、FXのイメージを考えると意外と悪くない。また今回の環境は最大4.4GHzのOC状態でもほぼ同等の値をたたき出しているのも注目だ。Intelの影に隠れがちだけどしっかりワットパフォーマンスも頑張っている。もちろん先輩格のPhenomII+890GX環境と比べても一回り小さい消費電力だ。
アイドル消費電力は1155(M-ATX)と1155(ITX)の中間なので似たようなものと思われる。もちろん旧型CPUと比べるとかなり低い。つけっぱなしにしても最近のCPUらしく安心だ。
性能・価格・消費電力、何かと中途半端間が残ってしまう微妙な立ち居地のCPUだし、実用面ではライトユーザーorサブPC向け。最初定格動作させた時の評価は「6500円ならこんなもんかー」程度だった。
しかしOCで遊べる点に価値を見出せるのならその評価はがらりと変わる。メインPCはあるし満足しているけど、何かいじって遊んでみたい…マニアックだがそういう用途ならA6-5400Kは面白い。
もちろんOCは自己責任だし、マザーボードやメモリの組み合わせ…更には個体差でどこまでの性能を出せるかが変化するギャンブルなのだが。
↑AMDのサイトからダウンロードできる「AMD System Monitor」。GPUとCPUのどちらに負荷が多くかかっているかがグラフで表示されるのでベンチやソフトでどちらが重視されるかがなんとなく判る。
倍率可変モデルながら手軽に手を出せる価格を持ち、コイツが使われる場面の筆頭であろう設計の古いor軽量なネットゲームなら、マルチスレッド性能よりもシングルスレッド性能が要求されるので、A8に対するスレッド数の少なさはある程度フォローできる。
当然クアッドコアモデルより発熱・消費電力に余裕があるので小型ケースでの使用も有利と、コイツの特性を活かした使い方は意外とある。
ただ現状だとコレを使うにはFM2マザーも新たに買うことになるので「どうせマザーごと買うならもっと上のA8やA10を」という人は多いかも。やはり中途半端で目立たない立ち位置なのは仕方ないところか。
とはいえ何だかんだ言って私はコレをかなり気に入ってしまったようだ。
そこ、オマケにつられたんだろとか言わない!
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購入金額
6,480円
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購入日
2013年03月15日
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購入場所
TSUKUMO
砧順一さん
2013/03/23
構成工夫すると下手するとそこそこの値段でそこそこ遊べるパソコンが買えてしまうわけでいくらドルレートが乱高下しても
元値が安ければどうとでもっていう感じですね。
ホントすごい時代になったものです。
kazgbさん
2013/03/23
A6 5400Kは良いCPUに違いないです!
100w以下なんてさすがです。
自分は90wのACアダプターでテストしてみようかなぁっとか色々楽しめそうです。
Kvartさん
2013/03/23
私は1600でしか安定して動かせなかったので、どうにもイマイチ感しか残らなかったのですが……。
ようやくOCMEMORYに手を出そうと思ったら値段ががが。Richlandはネイティブで2133対応らしいので、それまでにはメモリの値段も回復してほしいものです。
ふっけんさん
2013/03/23
カーリーさん
2013/03/23
超えてしまうのですね
これはこれでありかも知れない・・・
白輝望さん
2013/03/23
美星さんもついてくるし!
下小川さん
2013/03/23
前からAPU欲しさがじわじわ燻ってたんですがKvartさんの5400Kレビューをはじめとした皆様のAPUレビューでついにガマンできなくなりました。
APUの特性考えるとノート向けなんか良さそうなんですが日本だとほとんど発売しないんですよねAMDノート。
メモリに関してはコチラもたまたま以前Intel用に買ったOCMEMORYが2133安定してくれたとはいえ、もしコレが安定しなかったら1600で妥協するしかありませんでした。今のメモリ価格だと安定するのひくまで買いあさるのも難しいですし、CPU自体のOC時の安定性共々、どのくらいの性能を出せるかはギャンブル要素が高いですね。
幸い今はレビュー中でやったOC設定でほぼ安定してくれているので価格以上に満足です。今度マザー登録時にOC設定もうすこし細かく書いてみようかと。
デュアルコアってのも電源や発熱に関してシビアになりにくいって意味では有利ですし、むしろ私の廉価電源&旧型ケースの組み合わせでA10突っ込んでたら大変な事になってたかもしれません。
ちなみにツクモで買ったけどツクモたんクリアファイルはやってない時期だったのでついてませんでしたw
ふっけんさん
2013/03/23
下小川さん
2013/03/25
こうして反応貰えるとうれしいものですw