■概要
AMDのFusionプラットフォームのAPUです。
開発コードはLlano(ラノ)と呼ばれています。
ここでのFusionとは、CPUとGPUの”融合”の意味を挿し、ヘテロジニアス・マルチコア(異種アーキティチャのプロセッサが統合された)CPUとなっています。1つのダイの上にCPUとGPUが載っていると考えるととわかり易いですね。
CPU部分はK10アーキテクチャのAthlonⅡX4を改良したもので、1コアあたりのL2キャッシュが1MBに増量されている他、一部の演算ユニットのスループットが向上されたとされています。ただし、AthlonⅡX4からの大きな性能向上は無いと考えられます(´・ω・`)
A8-3850は2.9GHzなのでAthlonⅡX4-635相当と考えることができます。
APUの最大のウリは、統合された強力なGPUであり、APUのダイの面積の大部分はGPUに割かれています。A8-3850のGPUには、RADEON HD 6550Dが統合されています。
・DirectX11サポート
・シェーダープロセッサ400基
・コアクロック600MHz
・メモリクロックは最大1866MHz(DDR3)
・動画再生支援機能”UVD3”
TDPは100Wと、4コアCPU+ミドルレンジGPUの割には低いと思いますが、スリムケースではそれなりに通気を確保しないと熱々になりそうです(^^; まもなく、TDP65Wタイプが登場するらしいので、電気代や発熱の気になる方はこちらを待つのもありと思います。
AMDプラットフォームでは初めてGPUが統合された(マザー直付けタイプは除く)為、新しくSocketFM1を搭載したマザーボードが必要になります。
■付属品・外観
今回、レビューで送られてきたものはES(エンジニアサンプル)品である為、実質バルク品と同じです。この為、純正クーラーやエムブレム、限定特典の3Dレースゲーム「DiRT3(英語版)」は付きません。
リテール品の付属品については、自腹レビューしていますので、こちらをご参照くださいm(_ _)m
いかにもES品らしく、シンプルな緑色のケースに入っています。CPUのバルク品もこんなケースに入れて販売してくれると嬉しいですね。
APUの表面を見てみる(゚ω゚)
さすがに表面は、マーキングを除いては、Socket754~AM3のCPUと変わりません。
しかし、A8-3800 Seriesと書かれているが、3800台だけでそんなに種類が出るものなのか謎ですw
APUの裏面を見てみる(゚ω゚)
ピンが大量に出ているだけで、コンデンサや抵抗は実装されていません。
IntelはLGAになってから、マザーにピンが付いていますが、個人的には(曲がっても修復しやすいので)CPU側にピンが付いている方が好みです。
■パーツ構成、組み立て
パーツは手持ちのものを流用することにします。
【APU】
AMD A8-3850
プレミアムレビューの品です。(もちものリンクは自腹レビューの方です)
【CPU(APU)クーラー】
今回のAPUはES品の為、クーラーが付かないので用意しました。
【メモリ】
シリコンパワー DDR3-1333 4GB×2
安さが正義!8GBで2980円の超特価品です(^^;
【HDD】
MAXTOR MaxlineⅢ 7B320S0 (S-ATA150 320GB)
ちょっと古めの余り物です。
【マザーボード】
今回のプレミアムレビューの品です。
【グラフィックカード】
今回のプレミアムレビューの品です。
ベンチの比較用、DualGraphics実験用に使用します。
【PCケース】
10年ちょっと前の定番ケースです(^^;
【電源】
上のケースの付属電源は180W・・・さすがに足らないと思うので載せ変えです。
【OS】
Microsoft Windows7 Ultimate(90日体験版)
写真のケースでは光学ドライブが付いていますが、IDE時代のものなので使用できない為、結線はしていません(^^; (FDドライブも。)
OSのインストールなどは、USB接続のDVDマルチドライブから行っています。
■起動
自腹レビュー時と同じですが、このAPUはDDR1600以上ではかなりのツンデレで、私が所持している下記のメモリでは、1333MHz駆動でしか起動しませんでした。(BIOS起動が失敗→自動に再起動→エラーメッセージで1333MHzにしたとメッセージが出ます・・・)
他のメモリを友人から借りたのですが、惨敗・・・(友人も安物しか買わないからかも(^^; )
ネット上を調べても同じ症状の方は多いので、DDR1866となると正式対応のメモリを待った方が良さそうです。
OSのインストールは問題なく、ドライバは付属のDVDからインストールしました。
(ベンチマーク時には、AMDの統合ドライバの最新版Catalyst Software Suite Ver11.8にしています)
エクスペリエンスインデックス(グラフィックカード無し)
■ベンチマーク
APU最大のウリは、内蔵GPUの性能にある為、ゲーム関係のベンチを行います。
また、APU+外部GPUによる競演のDualGraphics(CrossFire)も試してみたいと思います。
更に、比較用に2種類のグラフィックカードを用意しました。
(ベンチはビデオカードのレビューとかなり被ります(^^; )
以下の5種類のGPU構成で、ベンチを行います(;=゚ω゚)=333
構成1:APU内蔵 RADEON HD6550D ※但し、メモリは1333MHz動作
構成2:RADEON HD6670 (DDR3-1GB)
構成3:APU内蔵 RADEON HD6550D + RADEON HD6670のDualGraphics
構成4:RADEON HD5670 (DDR5-512MB)
構成5:RADEON HD5550 (DDR3-512MB)
1.3DMark05(Ver.1.20 1024*768 デフォルト設定)
何故か、5670が最も速いです(;=゚ω゚)=333
6650Dはメモリの1333MHz駆動が響いているのか、5550に劣ります。
DualGraphicsは6650Dと6670に中間のスコアになっています(´・ω・`)
2.3DMark06(Ver.1.20 1280*1024 デフォルト設定)
傾向としては、3DMark05と全く同じです。
3.3DMarkVantage(Preset:Performance 1280*1024)
この世代のベンチとなると、傾向が異なります。
6650Dが5550を抜き去っています。
6670は5670には及ばないものの、DualGraphicsでは5670を超えて1位になっています(;゚∀゚)=3ハァハァ
とりあえず、DualGraphicsはちゃんと動いているんだなっと証明されました(^^;
4.FINAL FANTASY XI Bench3
【解像度:Low】
僅差ですが6670が最速に。6650Dでも十分に快適に遊べるレベルです。
【解像度:High】
6650が取り残されています。これもメモリが追いつかないのだと思います。
DualGraphicsは6550Dとほぼ同じなので使わないほうが良さそうです。
5.FINAL FANTASY 14 Bench
【解像度:Low】
一応、どのGPUでも最低限の動作スコアの1500には達しています(゚ω゚)
ここでも、6670より旧世代の5670の方が速いですね・・・
【解像度:High】
Lowと全く同じ傾向です。ここでも、DualGrahpicsは効果を発揮できていません。
6.モンスターハンターフロンティアベンチ (デフォルト設定 1280×720)
FFベンチとほぼ同じ傾向です。6670はもう少し高速であって欲しいのですが・・・
7.きゃらコレ! Key ダンシングベンチマーク
いつもはitちゃんなので、今回はクドにしてみました(^^;
itちゃんに比べると動作が重くスコアが下がるようです。
何と、5550がトップに来てしまった(;゚∀゚)=3
そして、DualGraphicsが最下位に・・・どれも僅差ですが・・・
ドライバとCPU依存の差が出ているのかも知れません。
8.ちはやローリングWe!
Keyの新作ゲーム「Rewrite」のゲームエンジンを使ったベンチです。
これも、5550がトップに。っといっても、1~3位までは誤差の範囲かと。
DualGrahpicsは最下位・゚・(つД`)・゚・
【ベンチの総評】
A8-3850内蔵GPUの6550Dはメモリ1333MHz駆動の場合、RADEON HD5550程度である(゚ω゚)
また、最新世代のRADEON HD6670が、旧世代の5670に負けてしまっているが、この原因はDDR3とGDDR5メモリの差と思われる。
一方、6550D+RADEON HD6670のDualGraphicsは、3DMarkVantageで効果が発揮できている事が確認できるものの、ほとんどのベンチでは6670単体のときよりも遅くなってしまう。ドライバやゲーム側の最適化の問題もあると思うが、残念ながら、現状ではお勧めし辛いです(´・ω・`)
そもそも、APUの最大のウリは内蔵グラフィックの速さであり、ミドル(の下の方)のグラフィックカードの魅力を感じさせないくらい速く、重量級のゲームで無い限り問題なく遊べます(;゚∀゚)=3
■APUのコア電圧を下げて、発熱量を減らすことに挑戦しました。
このA8-3850はTDP100Wです。
GPUが強力な割りに100Wで済んでいるという考え方もありますが、フル負荷時は結構発熱が大きいです。そこで、コア電圧を下げてみました。
こちらはGigabyteのマザーボード付属のツール「EasyTune6」を使用したので、マザーボードのレビューに記載しています(^^;
■総評
APUの内蔵グラフィックの性能は高く、ミドルレンジのグラフィックカードに迫る勢いです(;=゚ω゚)=333 これだけの性能があれば、1280×720の解像度であればほとんどのゲームが快適に動くと考えられます。
APUがあれば、ローエンド~ミドルレンジのグラフィックカードは不要です(`・ω・´) キリッ!
低価格PCの常識を大きく変えていくだけの性能はあると思います。
但し、本領を発揮するにはDDR1866のメモリが必要ですが、相性で使えないことが多いので、安価で正式対応したメモリの登場を待ちたいところです。(CFDさん、是非、安価な対応メモリを発売してください(^^; )
また、DualGraphisに関しては、残念ですが多くのベンチで性能が出ず、メリットはほとんど無いと思います(´・ω・`
CPUの性能に関してはAthlonⅡX4相当ですが、多くのベンチでは使われずに遊んでいるコアがある為、2コアでも良いから、もっとクロックを稼いで欲しかった・・・という印象はあります。
今回、グラフィックカードの構成を色々入れ替えましたが、ハングアップやブルースクリーンなど不安定な挙動は一切なく、安定性は問題ありません。
もうすぐ、登場すると言われる65W版のAPUを、ITX規格のSocketFM1マザーで組めば、小型で高性能なゲームPCができるのかも知れません。これからのAPUの飛躍に期待したいところです。
最後に、このような素晴らしい製品のレビューに選定していただいた、zigsow様、日本ギガバイト様、CFD販売様、ありがとうございました。バリバリに使わせていただきますm(_ _)m
リンさん
2011/08/20
普通はそのケースにはいってっくるものなんでしょうか。
>今から、組み込んでベンチします。パーツ足りるかな・・・
頑張って下さい!^^b
ふっけんさん
2011/08/22
この緑色のケースは初めて見ましたね(゚ω゚)
PCに限らず、一般の半導体の評価用サンプルを頼むと、このようなケースに入ってくる場合があります。(大抵、メーカー名くらいは入っているのですが・・・)
>>今から、組み込んでベンチします。パーツ足りるかな・・・
>頑張って下さい!^^b
おかげさまで、何の苦労もなく、1発でBIOSを拝めました(笑)
トラブルが起きないということは良い事ですw
n-eさん
2011/08/28
DirectXのバージョンが新しいものを使えば理想的な結果がでるかもしれません。
ふっけんさん
2011/08/28
そのようなイメージがありますね(^^;
洋ゲーなら、最新のDirectXに対応したものが多いのですが、
国内のゲームは、Directx9.0c止まりが多いですよね・・・
n-eさん
2011/08/28
ふっけんさん
2011/08/28
しかも、Vista以降のDirectXの扱いが微妙すぎる・・・
DirectX○○ (20xx年 x月版)とか(笑)
たまに何を入れたら良いかわからないときがあります(^^;
Manyaさん
2011/09/16
メモリの影響、結構あるんですね。
DualGrahpicsはまだ時期尚早ということでしょうか。
みっちゃんさん
2011/10/23
たいへん参考になります~(n‘∀‘)η
ふっけんさん
2011/10/23
気づかずにレスが遅くなって申し訳ないです(^^;
DualGraphicsはDirectX10以降のゲームで無い利かないという情報が・・・
洋ゲーならともかく、和ゲーだと非常に少ないですね・・・
みっちゃんさん
FXプロセッサがコケてしまった、今、AMDではこれがBestな選択肢だと思っています(^^;
最強・最速ではありませんが、色々なことをソツなくこなせる優等生のようなプロセッサです。