NAXOS様とZigsow様にお礼申し上げます。
二枚目のレヴューはエッシェンバッハ&フィラデルフィア管弦楽団/バルトーク:管弦楽のための協奏曲、他となります。
これはバルトークの作品がメインにはなりますが、マルティヌーとギデオン・クラインの作品も同時に収録されています。
一曲目はマルティヌーの「リディツェ追悼」
これは1942年、ナチスによって壊滅させられた村への曲ということです。
わずか12分のなかに平和、忍び寄る不安、一瞬の致命的な残酷、そして消え去る村・・・
どこかシリアルキラーを思わせる精緻ながらも奇妙に美しい演奏が演奏が印象を強くしてくれます。
二曲目はギデオン・クラインの弦楽のためのパルティータ。
チェコ出身のユダヤ系作曲家。
彼はアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所でその25年の人生を終えます。
これはアウシュビッツに送られる前に収容されていたテレージエンシュタット強制収容所で書かれた作品になります。
悲しみの中にも堂々と誇らしく生きていることを主張する音楽はこれからの才能を約束していたように感じます。
三曲目はバルトークの管弦楽のための協奏曲。
バルトークもナチス嫌いであったようで、エッシェンバッハの意図がうかがえます。
たしかに代表曲と言われるだけのことがあると、門外漢の私にも伝わってきます。
華麗な演奏と興味深く組み立てられた楽曲、指揮者のメッセージが混然一体となって時間を忘れるほど。
第一楽章はまず不安をあおるような始まりを見せます。
だんだんともりあがり一瞬の間をおいてドラマティックに展開します。
第二楽章は小太鼓が面白い働きをします。
重要なフレーズが小さな音で丁寧に組み立てられているところが面白いですね。
第三楽章はエレジー。
さまざまな楽器がさまざまに少しずつ出てきて絡み合います。
ドラマティックながら大げさにならない音がまさに悲歌。
第四楽章は中断された間奏曲。
なるほど、以前指摘されたようにショスタコービッチがここにでてくるんですね。
作品としてとても素晴らしいと思いますが、エピソードを聞くとなんとなく作曲家に親近感が。
第五楽章はフィナーレ。
これまでとずいぶん雰囲気が違います。
弦楽器が走り回り管楽器がうなりをあげて空間を支配します。
各楽器の組み合わせがまた絶妙でもりあがる!
少々重い印象もあるCDでしたが、ここで解放感がありすっきりします。
しかし余韻はほろ苦く・・・
オーディオ的なことも書かせていただきます。
実に素直な録音でどこまでも音量を上げていきたくなります。
各楽器の分離も自然で好感触。
雪かぶりで聞くというよりはちょっと離れて一番バランスのいいところに席を取った感じですね。
システムの実力を見るのに向いているかも。
楽曲、指揮、演奏、録音、そしてテーマ。
どれをとっても満足のいくものでした。
これまたオススメできます。
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いやはや、お恥ずかしい・・・
げるねおさん
2011/05/15
ピアニストとしてのエッシェンバッハは知っていますが、指揮者としての彼の演奏はまだほとんど聴いたことがありません。というのも、ソリストが指揮棒を振るとあんまり良い結果が出ないもので・・・。例えばバレンボイムとかロストロとかアシュケナージとかバレンb(ry
でも彼のは結構期待できそうですね。
あと、ショスタコの仕返しの元となったバルトークの作品もラディカルで中々楽しいですよ♪http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E5%8F%B0%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%81%A8%E6%89%93%E6%A5%BD%E5%99%A8%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF
北のラブリエさん
2011/05/15
苦手でも聴いてしまうんですねw
ソリストが指揮をするといい結果が出ないというのはなんとなくわかりますね。
逆に私はピアニストのエッシェンバッハを知らないので「ああ、こういうものか」と聞くことができました。
丁寧なんだけれど誇張もあり、といって下品ということもないかな、と。
リンクはっていただいたバルトークの作品、ずいぶんと面白そうですねw
こういう構成もありなんだとまた思い込みを崩していただきました。
ありがとうございます。