NAXOS様とZigsow様にお礼申し上げます。
まずは一枚目、ブラームスのオルガン作品全集からレヴューさせていただきます。
wikipediaのブラームス曲集とAmazonの曲目が違っているようです。
ライナーノートを見て、ここではwikipediaの曲順に従いたいと思います。
・コラール前奏曲とフーガ イ短調
一曲目演奏開始からオルガンは沈鬱な表情を見せます。
私はプロテスタントのクリスチャン(だった?)ので、オルガンの音にはある程度親しんでいると思っていたのですが、ここで聞こえるオルガンの音は表情が全く違います。
このCDが録音された聖ルパート教会のオルガンは独特な音色だとAmazonにもかいてありましたが、
たしかに特徴のある音です。
主旋律を担当する音が特に独特な音になっていて、別の楽器が担当しているようなイメージもあります。
フーガに移って、ああオルガン曲らしくなったなという印象。全体を覆う暗さは続いています。
しかし単につらい、苦しいというのではなく古典小説の主人公が苦悩しているかのような陰影が感じられます。
・前奏曲とフーガ ト短調
曲を移って、いきなりドラマティックになります。
オルガンの音域をフルに使っているような音の幅とテクニカルな演奏で盛り上がります。
愉快な雰囲気といったものではありません。
しかし無明の暗黒というわけでもなく、夜明け前の暗さというのがふさわしいかもしれません。
・フーガ 変イ短調
ここでまたオルガンは表情を変えます。
いままでは吹きすさぶ寒風、もしくは切り立った岸壁といったイメージだったのが
ここでは謎かけを仕掛けてきているような印象に変わります。
先ほど見えた夜明け前の希望を、信じていいのかとだれにともなく問いかけるような危うさを感じます。
・11のコラール前奏曲「おお嘆き、おお心の苦しみ」
コラールってなんぞや?と思い調べてみたらプロテスタントにおける讃美歌のことだったんですね。
プロテスタントとか言っておいて恥ずかしいw
みんなで一つの旋律を歌うところからきているようで、そういった曲をコラールと呼ぶようです。
ここではあえて宗教的に解釈したほうがいいかもしれません。
キリスト教はかなり苦しい宗教です。
信仰の道はつらく、厳しい面を除くことはできないでしょう。
ブラームス当時だと現代より大きな存在だったことは間違いないでしょう。
すくなくとも今信じたらオカネが儲かって幸せになるヨ!ということはまったくありません。
逆にそういう面を捨てて信仰に生きよというものです。
しかしここで名づけられている「おお嘆き、おお心の苦しみというのはそれとも比べようのない困難のことでしょう。
ご存知のように初期キリスト教信者は弾圧されていました。
この11のコラール前奏曲を通しての印象は彼らの困難を忘れるな、しかし愛を忘れるなというブラームスからのメッセージのように受け取りました。
聴くだけでつらい、苦しい印象はあります。
しかし救いが用意されているということも同時に表現されています。
・前奏曲とフーガ イ短調
ここでまた目の前に見える風景が違ってきます。
まだ困難はあれども、雪の下からふきのとうが出てくるような具体的な希望が伝わってきます。
正直、心が楽になりました。
ここまで聞いてきた充実感が疲労もあれども心地よいです。
さて、オーディオ的にみてみます。
気持ちいい!
大きな教会でオルガンの演奏を聴くときの雰囲気がリアルに伝わってきます。
倍音も豊かに響き、低音はしっかりとしていて高い音もヒステリックにならずまさに優秀録音盤です。
ヘッドフォンでもきいてみましたが、やはり大きなスピーカで聞いていただきたいですね。
私の部屋では狭くてエアボリュームが足りない部分もありましたが、ずいぶんと音量をあげて聞いてしまいました。
メッセージ性の強い作品集だと思いますが、非常に満足しました。
楽曲、録音、演奏どこをとっても優秀なCDだと思います。
オススメ!
コメント (4)
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さすがですね。
ナイスレビューです!
北のラブリエさん
2011/05/14
ありがとうございますw
これがロックなら言葉も出てくるんですが最近のめり込んだばかりでどう表現していいやらで。
しかしこれはよかったですよ。
げるねおさん
2011/05/15
この1枚、かなり気になります!
北のラブリエさん
2011/05/15
たぶんこのCDはALTECに合いますよ(ニヤリ
ほらほら、スピーカが呼んでいる・・・
純粋に音楽として聞いて優れていると思いますしね。