パッと見はなんの変哲もない質素な風貌だが、中身の洗練度と描写力は各誌が絶賛していた。
確かに考えてみれば、一般的なコンデジの中で、このサイズの撮像素子を積むモノは当時RICOHのGRDくらいしかなく、ズームも出来て普段使いに重宝するのはこのS90の方だろう、と思われた。
丁度その時使っていたコンデジが「手振れ補正」機能の付く前の世代のモノ(IXY DIGITAL 70)で、そろそろ新しいのが欲しいなぁ、と思っていた頃でもあった。
店頭で現物を見てみると、実にシンプルなデザイン。
初代IXY DIGITALにも通ずるスクエアで控え目なデザインが好印象。
加えて、鏡胴部のリングを回す事で、様々な機能に充てる事が出来るところが、
昔からのカメラユーザの操作感覚にマッチした。
この鏡胴周りのリングと背面のホイールの2つが操作系の特徴なのだが、
背面ホイールにクリック感がなく、この点が唯一気になった。
当時クチコミでよく言われていた「滑りやすくてグリップしにくいボディ表面」は、個人的には特に気にならなかったし、天板のザラついた化粧処理がちょっと高級機っぽさを演出していて気に入った。
問題はやはり背面ホイールのクルクル感である・・・
そうこうしているうちに、我物欲は頂点に達した。(笑)
同時に検討していた(欲しくなってしまっていた)GRDⅢもろとも、ほぼ同時に購入!
冷静に考えてみれば、なんて無駄遣いなんだろう。。。
で、実際に使ってみての感想。
使い勝手は問題なし。
手振れ補正機能には本当に助けられる。
画はキレイ。
・・・と、ここまではいいのだが、、、
やはり、件の背面ホイールは「ガン」だった。
ボディをしっかりホールドすると右手親指の付け根辺りがどうしても触れてしまう。
気を付けてる様にはするものの、不用意に回してしまっていた事に後で気づく事がしばしばある。
しかもこのホイール、普段は露出補正に割り当てられるので、露出が狂ってしまうのだ。
その度に撮り直し、という、とても面倒な事が起きる。
ここさえなんとかなればなぁ・・・と思っていたら、
ナントあっという間に後継機(ほぼマイナーモデルチェンジと言っていいだろう)S95が出た。
コイツは問題の背面ホイールにクリック感が備わり、不用意に回してしまう事を防いでくれている。
羨ましい・・・(ーー;)
S90ユーザからの訴えで多かった、ボディのホールド性の悪さ(滑りやすい表面塗装)、メインSWとリングファンクション切り替えSWの相対位置関係、に対応して(私はどちらも気にならなかったが)
S95ではボディが紛体塗装となり多少滑りにくくなり、上記SWの位置関係も場所が入れ替わった。
ただ、ボディ塗装と天板の表面処理のコントラストの付け方の問題(デザイン上の問題)で、今度は天板が半光沢のあるプラスチック剥き出し状態となり、個人的には高級感が薄れて感じられた。
また、レリーズボタンもなぜか昔風の細いボタンに変わってしまい、レリーズストロークも若干大きくなった。
正直言って、この部分はS90の方が面積が広くヘアライン加工が施してる等高級感で勝り、レリーズストロークそのものも浅いので、シャッターを切った瞬間の気持ちよさでは勝っていると思う。
(唯一S95の改悪部分ではなかろうか?)
既に定期モデルチェンジは「お約束」となっているようで、更なる後継機S100が海外で発表された。
撮像素子そのものが大きさこそ変わらぬものの、CCDからCMOSへと変更。
デジカメで肝心要の映像処理エンジンがDIGIC 5へと進化。
24-120mm(35mmフィルム換算)という一番欲しかったレンジの焦点距離ズームレンズへ変更。
といったところが大きい。
S95が出た時は「やられた~(ーー;)」感が非常に強かったけれども、
S100ともなるとまるで別モノという感覚で、改めて仕切り直しの感が強い。
(バッテリーに互換性は無いし)
きっとモノとしては良くなってるに違いないのだけれど、
せっかくS90,S95と続いてきたシンプルなデザインが、若干損なわれてしまった点や、
なぜかレリーズボタンだけピカピカのメッキになっているなど、全体的バランスが崩れてしまった感がある。
これをベースに更なるブラッシュアップを図った次期S105?S110?に期待、かなぁ。
出来ればサイズはこのまま、レンズを更に明るく、撮像素子を大きく、してくれると嬉しいんだけどなぁ。。。
一眼をデジタル化してしまった事と、この機種と同時期にGRDⅢを購入してしまった事が重なり、
実は殆ど使っていないのでした。。。(見てみたらほんの88ショットしか使ってない…)
長く使おうと思ってキタムラの5年間の延長保証にも入ったのに・・・
誰か、買って。(笑)
・・・と書いた直後にFUJIのX10の情報を知りました。
S90,S95,S100と続くシリーズは、本来 IXY DIGITAL よりもちょっと上位のPowerShotの中の
コンパクト機という、なんとも憎いマーケティングによるものですが、
(それ故、画質や撮影そのものに多少拘る層にウケる)
S100に至って、35mmフィルム換算で120mm相当の望遠端での解放F値が5.9と非常に暗い(ボディ内に収めるレンズのレイアウト上、仕方がないとはいえ)ものになってしまいました。
これでは120mmと言えど、浅い被写界深度を狙う事が出来ず、何をしたいのかわからない画になってしまいます。
ところが、FUJIのX10は(ご存じの方は大勢いらっしゃると思うのですが)
望遠端でも解放F値が2.8と明るく保っている為、被写界深度を浅くした、望遠ならではの画作りができます。
その筐体の大きさ等から、対抗機種は本来S100ではなく、G11等になるのでしょうが、
カメラ好き、写真好き、には堪らんものがありますね。
(Sシリーズの、コンパクトでいつでも携帯できる高画質機、というコンセプトとは違うのですが。。。)
次期S110?にそこら辺(撮像素子の大きさも含め)、期待したいところです。
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購入金額
29,000円
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購入日
2010年05月06日
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購入場所


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