この度、 PREMIUM REVIEWに選出いただきインテル(R) SSD 540s シリーズでノートPCのSSD換装をレビューすることになりました。拙いレビュアーですが最後までお付き合い頂ければ幸いです。
それでは
いつものお約束!!
HDD(SSD)の交換作業は自己責任でお願いします。また、データのバックアップを取る事を強くおすすめします。
メーカ製のノートPCでHDD(SSD)の交換を行う場合、メーカーによっては保証対象外となる場合がります。またHDD(SSD)の交換の実施によってノートPCやデータなどが破損した場合も当方は一切の責任を負いません。恐れ入りますが、あらかじめご了承ください。
最近ではノートPCのSSD換装ぐらいで、こんな「お約束事」を書くレビュアーも少ないとは思いますが、私がノートPCのHDD換装を始めた20年前は、換装とは言わず「改造」と言ってました。当然メーカの保証外、それでもIBMのThinkPadやHPのノートは比較的HDDの交換がしやすい作りでした。国産メーカやコンパクトノートは結構大変で、NECのPC9821-LS150(発売日:1997年1月)とか、SONY VAIO Z505 や C1VJ は殆どPC自体を分解状態にしないと交換出来ないし、ASUSのEee PC 1101HAは接続コネクタがすべてフィルムタイプのため小さくて大変でした。などなど、昔話をしても仕方ありませんが、そんな苦労をしてきているおかげで最近のノートPCのHDD(SSD)換装は「どうぞ!HDD(SSD)を入れ換えてください」と言わんばかりにとても簡単で助かります。
とは言っても、上で書いたバックアップを含め、SSDへの換装はいくつか注意点がありますので、そのあたりを中心に手順を説明しながらレビューしたいと思います。
☆換装の準備
ノートPCに限らずHDDからSSDに換装を行う場合、データの移行方法を事前に決めておきます。
手法は、大きく分けて2つです。
新しく搭載したSSDに、OSを新規インストール、もしくはリカバリーディスクなどで工場出荷時にして、アプリーケーションを再インストール、データファイル類をバックアップから書き戻す方法。
もう一つは、ツールを使って、既存のHDDの内容を丸ごとSSDにコピーし入れ換える方法で、ディスククローニング などと呼ばれ、ツールはハードウェアを使って行う場合と、ソフトウエアで行う2通りがあります。
前者の方法は、クリーンインストールなどと呼ばれ、動作が遅くなったり不安定なったPCの動作速度を改善するのに効果的な手法です。ただし、元の環境に戻すまでアプリケーションソフトのインストールなど手間も多くなります。
後者の手法は、ディスクを交換するだけですぐに元の環境に戻り、HDDからSSDに載せ替えたことで速度の改善が望めます。ただし動作が不安定なPCで行うと、余計に症状が悪化する場合があるので注意しましょう。
今回のレビューは、その1として前者の手法をノートPC購入時に作成した「リカバリーディスク」を使って工場出荷時に戻し、PC全体の軽快さをレポート。
その2としてディスクコピーマシンを使って、クローニングを行ったSSDに載せ替えをおこない、載せ替え後の快適さをレビューします。
期待できる速度
今回のレビューでHDDからSSDに換装するノートPCはLenovoのG550(2010年製)で
■型番:29585PJ
■OS:Windows(R)7 Home Premium 32bit
■CPU:インテル Celeron Dual-Core T3100(1.9GHz)
■メモリ:2GB(+1G増)
■HDD:250GB(富士通 MJA2250BH 9.5mm厚)
■モニター:15.6型ワイド WXGA (1366x768)
■ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ (DVD±R/±RW/RAM/±RDL)
■本体サイズ/重量:381×36.2×245mm 約2.7Kg
■バッテリー最大駆動時間:約3.1時間
と言う内容で、今から6年も前の製品となります。果たして上手く最新SSDが乗るでしょうか?そして何よりも不安なのがLenovoのサポートサイトにあるG550のスペックシートに記載された内容、そこにはSSD非対応とあります。SSD非対応!!!!
と、悲観的な内容ばかり書きましたが、結論は既にSSDへの交換の実績がありG550でSSDは使えます。
ちなみに標準搭載のHDDのスペックは
◇富士通 MJA2250BH
■フォームファクター 2.5インチ
■容量 250 GB
■回転数 5400 rpm
■キャッシュ 8MB
■インターフェイス Serial ATA
■厚さ 9.5 mm
■平均シークタイム 13 ms
で、CrystalDiskMarkは以下になります。
ん~激遅ですね
今回レビューするSSDのスペックは
◇インテル SSDSC2KW480H6X1
■フォームファクター:2.5インチ
■容量:480 GB
■インターフェイス:SATA 6Gb/s
■厚さ 7 mm
■シーケンシャル・リード:560 MB/s
■シーケンシャル・ライト:480 MB/s
■ランダム・リード (up to):84K IOPS
■ランダム・ライト (up to):85K IOPS
■動作温度範囲:0°C to 70°C
■保証期間:5年間
となっています。
スペック通りの性能か、デスクトップPCにつないで計測してみましょう。
デスクトップPCにSATA内部接続して計測。何故か公称スペックより高い数字が出ていますが、なかなか速いです。G550へ換装後の変化に期待が出来ます。
取り外し・取り付けは簡単
その1.「リカバリーディスク」を使って工場出荷時に戻す
☆手順
1.HDDの取り外し-2.専用マウンターの付け替え-3.SSDの取り付け-4.リカバリディスクで工場出荷状態-5.必要ソフトのインストール、OSアップデート-6.データの書き戻し
となります。それでは手順に沿って作業を進めましょう。
1.HDDの取り外し
前出の通り、G550のHDDは簡単にはずせます。しかし、その前に、バックアップを取ったらPCを確実にシャットダウンします。ノートPCではシャットダウンせず、サスペンドやスリープ状態で電源が切れているふりをするものが多く見られます。(特にWindows8系)そして、すべてのLEDが消灯したら「バッテリー」を外します。ノートPCのHDD交換やメモリー増設をバッテリーを外さす行っている方を見かけますが、危ないので止めましょう!出来ればバッテリーを外した後、数分放置してください。
G550を裏返し写真の←位置のネジを外し、中央のへこみに爪を入れ持ち上げます。ドライバーは細身のT1タイプがあればそれを使いましょう。
HDD搭載位置
G550からHDDを取り出します。透明なフィルムでカバーされていますが手前の切り込みに巻き込まれているフィルムを引き上げ、右方向に引き、それを持ち上げるとHDDは外れます。
2.専用マウンターの付け替え
HDDは専用のマウンターにM3ネジで取り付けられています。特殊なネジではありませんが、小さいのでなくさないようにしましょう。私は100均で売っているボール器に入れ無くさないようにしています。(何度もネジを無くした経験者談)
マウンターにSSDを取り付けます。さて、ここで問題発生、取り外したHDDと、インテル SSDでは高さが違います。(HDDは9.5mm、SSDは7mm)マウンターの下に2.5mmの隙間が出来ます。取り付け上の問題は無いように見えますが、この隙間を埋めたい場合は「スペーサー」を使います。
市販で4~500円です。
PCの使用時は、下の写真の様になるため、SATAコネクタ部に自重によるテンションはかかりません。なので取り付け上は問題無い隙間ですが「何となく隙間が空くのは気持ち悪い」と言う方はスペーサーを取り付けてください。
3.SSDの取り付け
取り外し時と逆の手順で組み込み終了
最近のノートPCは、HDDの取り出しが・取り付けが簡単にできるものが多くなっています。
4.リカバリディスクで工場出荷状態に戻す
G550 購入時に作成したリカバリディスク(DVD2枚)を使って、SSDにOSをインストールします。ほぼほぼ自動でやってくれるので、ひたすら終了するのを待つだけですが、HDDと違いSSDはコピーが速いです。ディスク交換をほっといたので経過時間は長いですがリカバリ自体は20分程度で終わりました。
5.必要な常用ソフトのインストールですが、購入時から入れているような古いソフトはOSアップデート前に入れておいた方が良いでしょう。
LenovoのOneKey Recoveryは、インストールされたソフトなど、ディスク作成時に環境も合わせてバックアップするので常用ソフトなど使用環境を整えてリカバリーディスクを作成すると万が一の時にPCがすぐに使える状態に復元できます。
今回は、HDDベンチマークのCrystalDiskMarkのみ追加(笑)
Lenovoのサイトでドライバー関係のアップデートがあればそれを入れます。G550では64bit系は沢山Updateが出てますが32bit系は少ないです。
次に、6年分のWindowsUpdate・・SP1前のWindows7なので、WindowsUpdateが落ちてくるのを待ってるとほぼほぼ丸一日がかりになります。
ちなみに、一部アップデートの再起動時に、全画面表示で「Windows10にしませんか?」の何かと話題の表示が出ました(笑)
6.データの書き戻し
バックアップのデータを書き戻します。私は高速な外付けHDDケースを使っています。2.5インチHDDケースは価格も安いので1台あった方が良いでしょう。特にソフトウエアでディスククローニングを行う場合は必須です。また交換し余ったHDDの有効活用もできます。
あまりソフトを入れず、WindowsUpdateが終わった段階で使用感チェックと、CrystalDiskMarkでのベンチマークです。使用感が遅くなることはあり得ませんが、改めて数字で見ると、そのすごさが分かります。
G550本体のSATAコントローラはIntel(R) ICH9M-E/Mなので、速度は3.0Gbpsが限界です。これがSSD非対応と書かれた要因でしょう。もしかしたらNCQなども対応していない可能性もあります。そのため上記のベンチマークも、G550ではほぼ限界速度と思われます。
以前にとったG550搭載時のHDDでのCrystalDiskMark
CrystalDiskMarkバージョンが古いですがHDDでの速度はこんなものでしょう
その2.ディスクコピーマシンを使って、ディスククローニング
手持ちのSSD対応クレードル「裸族のお立ち台DJクローンプラス」を使ってHDDからSSDにディスクを丸ごとコピーし、G550にSSDを換装します。
☆手順
1.HDDの取り外し-2.ディスククローニング-3.専用マウンターの付け替え-4.SSDの取り付け-5.未使用領域のディスクエリア拡張
となります。その1に比べかなり簡単です。それでは手順に沿って作業を進めましょう。
手順1.は「その1」と同じなので割愛
2.ディスクのクローニング
ディスクのクローニングを裸族のお立ち台DJクローンプラスを使って行います。
裸族のお立ち台DJクローンプラス、手軽にディスククーロンが出来る
裸族のお立ち台DJクローンプラスはPCレスでディスクのコピーが作れるので、PCが1台しか無いときにHDDを入れ替えする際に便利です。ただし、コピー先の容量はコピー元の容量より大きいことと、コピー元・コピー先のディスクを間違わないように、(HDD2 がコピー元HDD、HDD1がコピー先SSD、これを間違うとデーターがパーです)差し込んでコピーボタンを押します。
メーカーテスト環境で500GBが150分とのことですが1時間20分ぐらいで完了しました。
手順3.4.は「その1」と同じなので割愛
5.未使用領域のディスクエリア拡張
未使用領域のディスクエリア拡張は容量が小さいディスクから大きいディスクした際、未使用領域をOSから使えるようにする作業となります。
今回の領域拡張作業では高機能なパーティション編集ソフトでAOMEI Partition Assistantを使いました。このツールはパーティションの拡張・分割・結合に加え、ドライブやパーティションのコピー・削除・復元もできるほか、OSを別のドライブへ移動したり、マスターブートレコード(MBR)のリビルドなども可能です。
なお、HDDのクローンはソフトで作成してSSDに交換することもできます。この場合、多くのはソフトが領域拡張を行ってくれるので、手順5の作業は割愛できます。
その場合は、SSDを USB接続の2.5インチHDDケース(前出写真)に入れて行います。
HDDクローンの有名なソフトとしては
Intel Data Migration Software(使えないという噂が多い)
EASEUS Todo Backu
Acronis Trueimage 2015←私はこれを使っています。
領域拡張後のG550はCドライブが広くなり、全体的な動作が軽くなりました。OSの起動も速いのでHDDからのSSD載せ替えは、ベンチマークの結果以上に全体に与える快適さが良くなるようです
PCの起動や、ソフトの実行速度が速い
それでは、最初に実際のOSの起動時間を計測します。
計測に利用したソフトは「BootRacer」です。起動時に常駐しWindows の起動時間を計測し、★5つの評価で起動速度が速いか遅いかを計測できるソフトです。
まずは、HDDのMJA2250BHの時、初回の計測ではなんと3分以上かかりました。(たぶんWindowsUpdate の準備がされていた)平均すると1分半から2分です。
次に、SSD 540sの時、なんと30秒!!ウチのメインデスクトップPCより全然速いわ(笑)
これまでは起動が遅かったのでシャットダウンせず「スリープ」でG550を使っていましたが、この起動時間ならストレス無く、再起動や、電源オフからのオンができます。
次に各ソフトの起動時間です。計測に利用したソフトは簡単計測 「はぐれ計時」(はぐれ・けいど)です。
計れる物と計れない物がありますが、時間の計測はプロセス開始からアイドル状態までを計測して算出しているようです。ショートカットや、関連づけられたファイルのドロップでも出来、計測できた場合はCSVに時間を書き出してくれるので、今回の様なHDDとSSDの比較には丁度良いソフトです。
以下に、各ソフトの起動時間をSSDとHDDで表にして対比してみました。
全般的に、SSDでのソフト起動も高速です。iTuneで約34倍の差と、多くのファイルや大きなファイルを扱うソフトときの差は歴然です。
最後に、ウィルスチェック時間の比較です。ドライブ全体のスキャンではHDD側がかなり時間がかかるため双方「WindowsDefender」でクイックスキャンの時間を計ってみました。
CPUとメモリが同じ、入っているソフトもほぼお同じ環境で72,000ファイルのチェックでほぼ倍の時間差です。これだけの歴然とした差があると、もうHDDを使う気がしなくなります。
HDDは即SSDに交換すべき
特に古いHDDを使った機種はHDD自体がかなり遅いので、ノートPC利用時のストレスになります。G550も同様で、HDDではPCの起動はもちろんソフトの立ち上げ、データの保存やコピー時にかなりいらいらしましたがインテル(R) SSD 540sに換装してからはそのイライラを感じなくなりました。
ベンチマークの結果は既出の通りですが、もし、HDDを積んだノートPCを使っているなら、SSDへの積み替えをお勧めします。
今回は2010年製のLenovo G550と、かなり古い機種のため、インテル(R) SSD 540sの本来性能である高速なSATA-6Gの速度が十分発揮できないのが残念ですが、最近はインテル(R) SSD 540sを始め高速なSSDが低価格になっているので投資価値は十分にあります。またSSD搭載機種でも128GBや250GBと言った低容量のSSDを積んでいる場合も、480GBという大容量は大変魅力的です。
また、SSD 540sは耐衝撃性 (動作時および非動作時) が1500 G/0.5 msとHDDとは比較にならない耐性がります。MTBFも160万時間でHDDより長く、アイドル消費電力も50mWと省電力です。低コスト・低消費電力を実現し、インテルの5年保証による信頼性を兼ね備えた、まさにノートPCのためのSSDと言えると思います。
プレカリアート真面目明さん
2016/08/08
安心感は信頼の積み重ね、どうしても安いだけのメーカーにはいけないですね。
PCマニアさん
2016/08/08
SSDはメーカの好みもあるでしょうが、私はこれまでの経験でIntel 製を勧めます