●懐かしのネットブック
皆さんは、ネットブックって覚えていますか。ネットブックとは、「ウェブサイトの閲覧や電子メール・チャットなどの基本的なインターネット上のサービスを利用することを主な用途とした、安価で小型軽量で簡便なノートパソコンのカテゴリー」(ウィキペディアより)で、2007年10月に発売されたASUSのEee PCが最初とされ、その後、一世を風靡しました。しかし、市場が飽和する中で、その性能や拡張性の低さに対する不満が広がり、通常のノートパソコンの低価格化による価格的なアドバンテージの減少、iPadなどのタブレットの普及もあって、次第に人気がなくなり、今ではほとんど見ることはなくなりました。
今回、インテル(R) SSD 540s を換装する対象として選んだ Eee PC X101Hは、そんなネットブックが全盛の頃の人気マシンで、娘が大学に入学した機会に、授業等で使うためにと買ってあげたものです。
主なスペックは、
OS: Windows 7 Starter
CPU:インテル Atom™ プロセッサー N570(1.66GHz/2コア)
メモリ:DDR3-667メモリ1GB
HDD:320GB
ディスプレイ:WSVGA (1024x600) 10.1型ワイドLED液晶
バッテリー駆動時間:約4時間
重量:約1kg
寸法:262x22x180 mm
となっています。いかにも非力ですが、軽量コンパクトで、携帯には便利だったようで、大学の4年間、十分に活用していました。しかし、その娘もこの春から社会人となり、プライベートでパソコンを使う機会がめっきり減ったため、最近は机の隅でほこりを被ることが多くなっていました。
そんな Eee PC X101Hについて、最新のSSDに換装することにより新たな命を吹き込み、ついでにOSもWindows10にしてしまおうというのが今回のミッションになります。ちなみに、もともと入っていたWindows 7 Starterというのは、ネットブックにプリインストールされる形でのみ提供される、最小限の機能しか持たないWindows7のエディションで、軽量な代わりに、Windows Aeroには対応しない、32ビットバージョンしかない、デスクトップの壁紙の変更はできないなどの制限があります。
●クローンの作成
SSDへの換装のためには、まず、現在使っているHDD(SSD)の内容をOSを含めて丸ごとコピーしなければなりません。こうしたクローンの作成のためには、SSDを接続するドック又はケースとシステムをコピーするソフトとが必要となります。
今回は、HDDドックとして TransImpの Hard Drive Dock を
クローン作成ソフトとして、HD革命Copy Drive ver4 Liteを用意しました。これは、別途購入したHDDケースにおまけとして入っていたものです。
実は、Eee PC X101Hのモチモノレビューでも紹介していますが、このPCについては既に1回HDDからSSDへの換装を行っています。そのため、作業としては、前回行ったことの繰り返しということになり、比較的スムーズに進みました。
まず、今回のレビューのため送って頂いたインテル(R) SSD 540sを取り出します。
そして、HDDドックに接続すると、
自動でドライバーソフトがインストールされますが、これだけではフォーマットされていない インテル(R) SSD 540sはまだ認識されません。
そこで、コンピュータの管理の中の「ディスクの管理」でフォーマットをすると
447GBのディスクとして認識されました。
次に、HD革命Copy Drive ver4 Lite を立ち上げて、「ハードディスクのコピー」を選択します。
すると、コピー元、コピー先を選択する画面が出るので、コピー元に現在のシステムの入っているドライブを、コピー先にインテル(R) SSD 540sを選びます。
そして、「コピースタート」を押すと、コピー内容の確認画面となります。今回は、データ用のDドライブは要らないので、コピー対象から外し、システムの入っているCドライブだけを移すことにします。
そして、ディスクのコピーの開始ボタンを押すと、いきなり再起動がかかって画面が真っ暗になり、一瞬あせりますが、これが正常で、システムのコピーが始まります。
しばらくするとコピーが終わり、これでクローンSSDのできあがりです。
中身を確認してみると、しっかりコピーされています。
後はこれを換装すればよい訳ですが、Eee PC X101HはもともとHDDの交換をサポートしておらず、自己責任でケースを分解することになりますので、これを次にレポートします。
●ケースの分解
先ほど述べた Eee PC X101Hのモチモノレビューで既に手順は示していますが、画像等は撮っていませんでした。そこで、今回は、画像も示しつつ、改めて分解の様子をレポートしていきます。
まず、本体を裏返して、バッテリーパックを外します。
次に、バッテリーパックが付いていた本体の背面に見えるネジ,及び本体の裏に見えるネジをすべて外します。メモリスロットの周辺のネジについては,外す必要があるかどうか定かではありませんが,念のためこれも外しておきます。
バッテリーを外したあとに見えるヒンジの内側にある穴にケースの爪がかかっているのが見えるので,それをドライバーの先などで押し込みます。
すると,ケー スの上蓋のヒンジに近いとこがはずれて浮き上がるので,そこにプラスチックのカードを差し込みながら周囲を一周するように順番に外していきます。
このようにして外していくと、キーボードのついた上蓋が外れるので,キーボードやタッチパッドとつながっているフラットケーブルを傷つけないように気をつけながら,上蓋をずらします。
フラットケーブルを抜くと、本体とキーボードのついた上蓋が分離でき、内蔵ドライブへのアクセスができるようになります。ここでは、モチモノレビューで換装したキングストンのSSDが装着されています。
このSSDを取り外し、先ほど、システムごとコピーしたインテル(R) SSD 540sを装着します
そして、起動をかけると、ディスクチェックが始まりますが、これが終わると無事、Windows 7 Starterが起動しました。
ちなみに、Eee PC X101Hには、もともとSeagateの320GBのHDDが付いていましたので、今回は比較のため、これを装着した場合のパフォーマンスも計測してみました。
ケースを元に戻すには、フラットケーブルを接続の上、上蓋を元に戻して重ね、端の方を指で押さえていくと、パチパチとはまっていくので、あとは,ネジをもとどおり締め直せば完成です。
●パフォーマンスについて
まずは、今回の換装前に付けていたキングストンのSSDとの比較ですが、正直言って、体感的にはそれほどの変化は感じませんでした。もともと付いていたHDDから換装したときは、感動するほどの劇的な変化があったのと比べると、いささか拍子抜けです。
それでは数値的にはどうか、ベンチマークソフト等で見ていきます。まずは、Windows エクスペリエンス インデックスです。
<キングストン SSD Now V300>
<インテル(R) SSD 540s>
結果は、ディスクのデータ転送速度が0.1だけアップしましたが、ほとんど誤差の範囲と言っていいと思います。
次に定番のCrystalDiskMarkです。
<キングストン SSD Now V300>
<インテル(R) SSD 540s>
やっぱり、そんなに大きな差はなく、項目によっては、キングストン SSD Nowの方がいい数値を出しています。公称スペックは、SSD Now V300が読み込み450MB/s、書き込みが 450MB/s、SSD 540sが読み込みが560MB/s、書き込みが480MB/sとなっており、かなり乖離がありますが、本体のスペックが低いため、そうしたSSDの性能を十分に発揮できていないようです。
ただし、HDDをSSDに交換し、メモリを1GBから2GBに増量したことにより、体感速度は劇的に改善し、そこそこ実用的になっていました。最新の大容量SSDに換装することにより、より改善されるかと思いましたが、そこまで甘くはなかったようです。
ちなみにもともと付いていたSeagateのHDDで計測したベンチマークと、起動までの様子の比較もアップしておきます。起動時間がいかに改善されたかをご覧いただければと思います。
<Seagate HDD>
起動までの様子:HDDの場合、1分30秒近くかかっていました。途中、ブラックアウ トの時間が長く、壊れたのかと思うくらいでした。
<キングストン SSD Now V300>
それをSSDに交換すると30秒程度に改善されました。
<インテル(R) SSD 540s>
SSD 540でもほぼ同じ起動時間であり、体感速度はほとんど変わりません。
●Windows10へのアップグレード
この機会についでにWindows10へのアップグレードも行うことにしました。ネットブックにおけるWindows 7 StarterからWindows10へのアップグレードには賛否両論ありますが、無償アップグレードの期限が今月末に迫ってきたので、思い切ってやってみることにしました。
タスクバーにあるウィンドウマークに注意マークがついているのでクリックして開くと、次のようにキャンペーン終了までのカウントダウンが始まっていました。
「今すぐアップグレード」を押すと、次のようにダウンロードが始まります。
しかし、ここからが長く、次の「ダウンロード画面が表示されてから、3時間くらい経過してもまだダウンロードを続けており、いつになったら終わるか見当もつきません。
本体が遅いだけでなく、やはり、期限が迫ってアクセスが集中しているせいもあるかと思い、少しでもすいていると思われる早朝に再度チャレンジすることとしました。
それでも2時間くらいかかりましたが、何とか次のアップグレード画面までたどりつきました。
インストール作業自体は、30分ほどで済み、無事、Windows10が起動しました。
起動時間はWindows 7 Starterより若干長くなりますが、許容範囲です。参考までに起動の様子の動画をアップしておきます。
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