先週末の3月2日、約5年ぶりというオヤイデ電気主催のケーブル自作講習会が開催されました。
今回自作に挑戦するのはオーディオ用電源ケーブル「BLACK MAMBA V2」で、プラグや構造等は自作講習会向けに市販品と一部異なるというものです。参加費は1万円(税込)で、当日会場で現金払いという形です。ちなみにその際に発行される領収書は、当日オヤイデ電気の直販店に持参すると20%OFF割引券として使えるという特典がありました。
以前から何度となく書いていますが、私は元々手先は決して器用ではありませんし、左手は怪我の後遺症、右手は腱鞘炎の悪化で正直細かい作業は結構困難です。まあそれでも電源ケーブルなら何とかなるだろうということ、単純にオヤイデの定番品であるBLACK MAMBAを使ってみたいということから参加することにしたわけです。
今回の会場はオノデン本館5Fのエンタスでした。エレベーターでは直接は入れない構造であるため、4階のメイド喫茶やコスプレショップを通って入るという、若干敷居の高い場所です…。
参加費を払って会場に入ると、長テーブルが並べられていて、テーブル1つにつき2人分のキットが用意されています。
必要な道具はこのように一通り用意されていますので、参加費以外は手ぶらで来ても何とかなります。
こちらが実際に使う部材です。ケーブル部のBLACK MAMBA V2は約1.8mにカット済みです。
私は参加時には「初心者」として申し込んでいます。まあ技術レベルは初心者なのは確かでしょうが、実は一度だけ電源ケーブルは自作したことがあります。市販品よりも短くてそこそこ質の良いものが欲しかったので作ったものですが…。
このときには安全性重視で両端とも圧着端子で仕上げています。今回は圧着端子は使わない形ですので、このときの経験も正直あまり活きないでしょう。
制作時はついつい流れで作業を進めてしまってあまり写真は残していないのですが、一応少しだけ撮影していますので、次から紹介して行きましょう。
制作過程
作業は用意されているマニュアルに沿って進め、途中のキーポイントまで進めてから一度作業を止め、説明を加えてから次に移るという形式で進められました。
一応セットされている部材がマニュアル通りか確認します。今回は両端ともオヤイデの「ARMOREDシリーズ」AP-029/AC-029を使用します。実はこの2つの直販価格は各6,380円で、これだけでなんと参加費用を超えてしまうのです。
手順としては、まずケーブルの片側にACプラグのボディ部分を通し、ケーブルの皮膜を剥いてプラグを取り付け、終わったらインレットプラグ側も同様に処理、一通り済んだらスタッフの方に強度チェックをしてもらった上で仕上げを行い、導通チェックに異常が無ければ完成です。
私は普段皮膜を百均のハサミで剥いていますので、今回用意されていたハサミの切れ味の良さに感心しました。さすがに専用品です。普段は皮膜を剥くだけでも結構時間がかかるのですが、一度感触が掴めたら両端の皮膜(それぞれ外側の皮膜+同シールドと導線の皮膜3カ所)を剥くのに2~3分で十分という感じでした。
ちょっと後悔したのは手袋を持参すれば良かったということです。結局導体をプラグに装着する際に直接指でベタベタ触れてしまいますので、どうしても手の脂などが付いてしまいますからね。一応皮膜を着る時に抜きながら捻るようにしていたのですが、結局それでも何度も素手で修正作業が必要となってしまいました。
一応片側ごとに装着が済んだ時点でスタッフの方に強度と短絡のチェックをして貰うというシステムでしたが、この辺りはAC100Vを流す上でやってはいけないことを考えればまず間違いはないはずです。引っ張って抜けるとか、導体がばらけてはみ出しているということさえ無ければまず大丈夫です。指摘事項等もなく無事終了しました。
なお、講習の中では使われなかった部材としてこちらがあります。
見る人が見ればすぐにわかると思いますが、電磁波吸収テープMWA-010Tと、ノイズ抑制テープ「パルシャット」NRF-005Tのお試しサイズです。直営店ではそれぞれ500円で販売されているものですが、これはそれぞれの特性を説明した上で後でチューニングを楽しんで欲しいということで同梱されていたものです。私自身はBLACK MAMBA V2以外に使ってしまうかも知れませんが…。
なお、本来BLACK MAMBA V2はドレイン線が存在していて、これをACプラグ側のアース端子に落とすのが正しい加工なのですが、講習会では熱収縮テープ等で絶縁するのが難しいため、ドレイン線は切断してしまっています。もし自力で何とか出来るようであればやってみて欲しいとのことでした。何にせよ、完成形はこちらです。
持ち帰り用の袋まで用意されているというサービスぶりでした。
作業を楽しめる方なら金銭的なお得度も含めてお薦め
今回の講習会で組み立てたケーブルは、市販品でいえばOyaide BLACK MAMBA-α V2に近い仕様のものです。これは実売価格2万円前後ですから、単純に1万円で買えるケーブルとしてはかなりお買い得であることが容易に理解できるはずです。なお、市販品のBLACK MAMBA-α V2は両端のコネクターが性能的には大差ないものの、価格としてはARMOREDシリーズよりは安価なものが使われています。まあ、プロが組み立ててドレイン線もきちんと処理されていますから素人工事よりは仕上げが良い分音質も有利とは思いますが…。
出来上がったケーブルですが、一応音質の方もチェックしておくべきでしょう。今回は私がPC作業時に音楽を鳴らしているFOSTEX HP-A8で使ってみることにします。
なお、HP-A8では普段電源ケーブルにはEx-pro AC-1を使っていますので、それと入れ替える形で試聴してみましょう。
AC-1はそもそもケーブルとしては比較的安価ですので、いくら自作品とはいえクラスが違うBLACK MAMBA V2とはそもそも互角に争うのは厳しいことは容易に想像が出来てしまいますが…。
「Babylon Sisters / Steely Dan」「First Time / David Paich」の2曲を聴いてみましたが、さすがに予想通りそれなりのレベル差がありました。
エージングを一切していないにもかかわらず、BLACK MAMBA V2の方が音場が広く見通しも良好です。エコー成分があっさりと消えていくAC-1と比べると、BLACK MAMBA V2はある程度余韻として残るイメージです。
更に低域方向に関しては、量は大差ないもののBLACK MAMBA V2の方がより低い方まで沈み込みがありますし、解像度が向上してベースラインも明瞭ですしバスドラムのアタックで力感に差が付きます。AC-1との比較では総じて1グレード以上確実に上がったことが実感できます。
ただ、個人的には導体を撚ってネジ止めというのはどうにも不安がありますので、後日圧着端子での固定に仕上げ直すかも知れませんし、スペースが確保できるようであればアモルメットコアを仕込んでも良いかなと思っています。その意味ではまだ完成形とはいえません。テープ類でのチューニングも悪くはないのですが、使うとしてもパルシャットの方だけだと思います。MWA-010Tはフェライトコアを巻くのに近い効果という説明でしたので、私が好む方向には変化しない可能性もそこそこあるためです。いずれにしても自分で組み立てれば内部の状態は自分で把握できますので、どういじるかは色々考えて試してみたいと思います。
なお、マニュアル以外に用意されていた冊子はカタログとオヤイデの歴史をまとめた小冊子でした。これらも読み物としてはなかなか面白いかも知れません。
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購入金額
10,000円
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購入日
2024年03月02日
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購入場所
オヤイデ電気
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