デザイン業務ではパワーとスピードが必要なためメインではワークステーションを使用するのですが、Surface Go 等のタブレットを使って仕事をした時に「タブレットも良いな……」と思いはじめ、席を移動しての業務用に良さげな 2in1 のタブレット PC を購入しました。
軽さでは Surface Go、処理能力の高さでは高級機の XPS13 があるため、以下の条件で探しました。
- タブレットとしても使用できる 2in1 型
- 処理的に CPU が i5、メモリが 8GB くらい、雑に扱える10万円くらいの安価なもの
- ドメインに参加するので、OS は Windows Pro
ノートPCだと10万円のものはざらにあるのですが、2in1だと急に値段が倍になるパターンが多く条件に合ったものないのかなぁと諦め始めていたころ、紆余曲折あって条件に合う製品をお迎えすることができました。
それがこれ。 Minisforum 社が今年の春に販売したばかりの「V2」という 2in1タブレットPC。
箱がシックでかっこいいな。しかしシュリンクがぱつんぱつんでところどころ穴が開いているのが気になる……。
Minisforum というメーカーは一般では聞いたことがない方も多いと思うのですが、設立されて10年しか経っていない新興海外企業。エンジニアを中心に開発から設計・製造までワンストップで行う企業で中国・深センをベースにしています。
とはいっても小さな企業が海外のトップシェアに敵うはずもないので、Minisforum 社は小型化に特化した「ミニPC」の専門メーカーになっており、このマーケットで注目されているというわけです。
パッケージをみてもデザイン設計にも力を入れている印象もあり、必要以上にコストダウンをしないところも評価したいところ。
Minisforum V2 2in1タブレット - Intel® Core™ i5-1135G7 / 16GB RAM+512GB SSD。
この製品なのですが、ミニPC専門メーカーが初めて造った「2in1タブレット」という位置づけになります。試験機としての扱いだったのか、メーカーの製品ページからも抹殺され、販売されたという痕跡は消されています。サポートページ・FAQページにすらその存在の片鱗はありません。文字通りラインアップから「抹消」されています。
そのため、レビューされているWEBサイトなどの情報は全くないレベル、何台が用意して販売されたのかも分からないですが所持している人も少ないようです。貴重な記事になるかもですね。
箱を開けたところ。綺麗なエクスペリエンスデザイン。
購入して届いて箱を開けたら丁寧に置かれた製品のフェイスが顔をのぞかせるこの体験。
「この製品を大事に使っていこう」「良い製品を買えたな」そう思わずにはいられない設計思想は Apple を参考にしていると思うのですが、会社のファン作りのために重要なマーケティング要素だと思います。
最近、大手の梱包はコストダウンのために雑になっている方向性なので、ちゃんと梱包されていることに丁寧さを感じてしまった。
一番上の層には、タブレット PC 本体。
本体サイズは 308.6×208.6×9.4mm、A4ノートくらいです。ビジネス用にはこれくらいのサイズが必要だと思うので、サイズ感は良い感じ。
重量は904.5g。1kg を切っているのでギリ許容範囲の軽さですが、板状の形状のものは重量バランスもあるので、手に持つにはやはりもう少し軽い方が嬉しいかんじ。鞄に入れて持ち歩くぶんには軽いと感じます。
画面サイズは13.4インチ(3840×2400)ディスプレイ。解像度が 4K/UHD 以上は高級機に並ぶリッチな性能でこれは嬉しい。性能的にはトップクラスで高品質。IGZOディスプレイ。IPS TFT パネルでアスペクト比16:10、最大輝度500ニト、HDR10対応、90%DCI-P3、100%sRGB、とデザイナーにとっても嬉しいスペックで明るく鮮やか、クリエイティブにも問題なく使用できます。
液晶画面のスペックで選ぶ人には、もうこれだけで「買い」の製品です。
本体裏面なのですが、製品紹介ページでは真っ黒でロゴが無かったのですが、実際にはメーカーロゴが薄く印刷されていました。僕はワンポイントのデザインが好きでは無いので、無さそうなのが購入行動に至ったわけなのだけれど。まぁ黒のカーボンシートでも貼れば自分好みにできるかなとも思うので、これはこれでOK。
本体は黒いアルミ素材で、反射しないマットなブラックカラーです。触るとほんやりしており、すべすべな肌触り。指紋はかなり目立ちます。
画面に向かって本体左側には、多機能USB3.2 Type-C端子、Sim カード& SD カードのスロット、物理音量ボタン。物理ボタンはスマートなじゃいというデザイン関係の人も多くいるみたいですが、緊急ボタンと同様の、咄嗟にコントロールできる音量ボタンというのはビジネスシーンで相手に失礼にならない設計思想だと思います。
他にもヘッドホン端子が付いているので、電車や飛行機などの移動時間でも使えそう。
本体右側は、2個のThunderbolt 4、USB 3.2 Type-C 端子があります。薄型タブレットPCだと端子が少ないことが多いので素直に嬉しい。こちら側にはフラットになった部分に指紋認証ユニットを兼ねた物理電源ボタンがあります。
この指紋認証センサーは性能の良いものらしいのですが、タブレットPCとしての使い方だと持ち方で指の角度がありとあらゆるパターンで変わるため、わりと認証できる頻度が低かったりします。デスクに設置して同じ触り方をするとすっとサインインできるので、性能は悪くないのだけど使い方の問題だと思う。
セキュリティ関連では、指紋認証の他に顔認証にも対応しています。(Windows Hello 対応)
オフィスでも使用しても問題ないセキュリティですね。
本体上部側にはスピーカーが2つ見えます。スリットは2つなのですが、0.7Wと1Wのスピーカーを2基づつ、4基を搭載したクアッドスピーカー方式。豪華ですがそこまでする必要ある?
本体下部はキーボードとドッキングする端子が見えます。
強力な磁石でガチン! とくっつきます。
マニュアルは英語と日本語しか掲載されていないもの。中国語&英語の2種類が存在するとかですかねぇ。クイックスタートのガイドとして各パーツの説明がされており、必要最低限の内容です。
本体下にはキーボードが入っていました。
そう、この製品、キーボードとスタイラスペンが同梱セットでこの価格なんですよ!
2in1だとオプションで別に購入して30万円超えるとかざらにあるので、このあたりのコスパは良いですね。
専用キーボード。
Surface のものに似ていて、ほとんど同じ感触といってもいいくらい。
キーも押しやすくて良いかんじ。
英字キーボードのレイアウトのため、入力に結構迷います。
MS社謹製リモートデスクトップアプリで接続先端末が日本語でも英字キーボードになるバグのせいで英字レイアウトを覚えた僕ならなんともないぜ!
表面素材が布張りソファみたいで滑らなくて良いのですが、擦れて破れたり汚れたりしないか、それが心配。専用キーボードだから別売りしていないから、これはあまり使わずに出張用など緊急時に使うためにとっておいた方が良いかも。
触り心地は気持ち良いのだけどね。
閉じた時。あまり厚くならず重くならず良い感じ。ただし閉じた時にロックされる仕組みは無いので、ブリーフケースに等に入れないとパカンパカン開きそう。もしくはブックバンドが必要かな。
一番下には、電源用の USBケーブルとアダプタ、そしてスタイラスペン。
これも同梱されて同じ金額です。すごいコスパだな。
電源はわりと小型で持ち歩けるのに丁度良い。
本体に合わせてブラックカラーなのも良い。プラグ端子を折りたためるのも地味に良い。
スタイラスペンは、Wacom AES 2.0対応した、Bamboo Ink 等の市場で流通されているものと同じ製品だと思います。ロゴマークは入っていません。筆圧 4096レベル 対応。
これは壊れても代用ができるので安心。ただ収納場所が無いので持ち運び時に紛失しそうで怖い。
替え芯も広く販売されているし、他のペンも使えるので安心ですね。
これも同梱なので、8千円程度の製品が付いてくるのでめちゃくちゃコスパ良い。
筆圧感知で太い線や細い線も自由自在で、スケッチなどのお絵描きも楽です。
ペンデバイスやキーボードも同梱でそれだけでもお得なのに、保護フィルムを剥がしたら液晶保護フィルムも貼ってありました。本体サイズに合わせた保護フィルムなので美しく貼られており、好感触。少しざらざらしているのでペーパーライク型なのかも。
キックスタンドを展開してデスクに置けば、Surface のようですね。キックスタンドは大きく寝かせることができるので、イラスト描きのポジションにもすることができます。
CPUはCore i5-1135G7、11世代(Tiger Lake)の基本スペック高めのモバイル向け CPU、 Intel Iris Xe Graphics 搭載です。これ購入したの GW 前だったので製造時の現行パーツですね。メモリは LPDDR4-4266MHz、16GBで困ることなし、ストレージはNVMe接続で512GB。普段使いの業務で全く問題無し。
Wi-Fi 6 802.11ax 互換、Bluetooth 5.1搭載。
実はハイエンドの i7/32GB で上位モデルも確か16万円?くらいの価格でスペック考えるとそっちの方がコスパ良くめちゃくちゃ安かったのだけど、低価格の 2in1 が欲しかったので、これで満足しています。
バッテリー容量は41.3Wh。平均くらい。
高負荷な業務をすると減りが早いのは仕方ない。
2024年5月現在、後継機の「V3」がラインアップされましたが、V3 の方はちゃんとページ上に登録されたままでサポートページにも記載がある……。まぁ AMD だし価格も2倍だし製品に興味ないから良いけど。
ちなみに Minisforum に問い合わせしたことがあるのですが、(V2は)Intel だったこともあり特殊なデバイスドライバとか必要なく、初期化しても Windows をインストールすればドライバも問題なくキッティングできるそうです。
逆にいえば別OSで動かすこともできるってことですかね。
開発試験機? 謎の開発計画は痕跡を残したが
タブレットとしてもノートPCとしても使えるスタイルで1台での使い勝手は良いのだけれど、やはりデスクに向かっての業務ではパワー負けするし、タブレットとしては iPad や Surface Go に軽さで負けるし、能率としてはどうだろうと考えさせられる。
外見ボディは金属でしっかり作られており高級感があります。フラットで丸みもあり、ヴィジュアルはすごく良い。スペックもすごく良い。
開発設計からするメーカーなので工業デザイナーによる設計が入っていると思うのだけど、外見に加えパーツのレイアウトや薄型小型を実現しており、さすがミニPC専門メーカーのデザイン設計だなと感心します。かなり高レベルな製品だと思います。
高品質&低価格な 2in1 というチャレンジは悪くないと思うのだけど、これ採算とれたのかなと少し不安になります。ちょうど半導体が高価な時だったし。製品ラインナップから削除されたのもそのあたりの腹いせだったんじゃないのかなと邪推してみたり。
英字キーボードのため、漢字変換がすごくやりにくい。僕は Windows と Mac の両刀使いですが、それでもショートカットに慣れるのと@マークの位置など気づくの難しい。よく英字キーボードの方がかっこいいとか言って使ってる人見るけど、こんな大変なんですね。すごく可哀相。
競合製品が Surface Pro になると思うのですが、コスパで勝ってはいるものの、やはり軽量とバッテリー関連という面で大手には勝てないと思い知らされる結果だと思います。搭載OSを作ってる Microsoft がPCまで作ったら、そりゃ親和性があり機能を最大限に使うことができ無駄のない製品になるに決まってるし。
Cool に必要なのはクリーニングクロス
指紋が目立ちやすく、綺麗に保つには拭く頻度を多くする必要があります。
端子の数は多いのですが、どこもフラットで凸凹は少なく掃除しやすい。
タブレットPCの宿命で電源があまり持たないので、画面を暗くしたり必要のない Bluetooth を切るなど工夫することで長く使えます。
赤字覚悟と思える低価格&高性能&付属品
高性能CPU、高品質液晶画面、4スピーカー、16GBメモリ、という高性能端末本体に。
キーボードとスタイラスペンをプレゼントという太っ腹。
これ以上のコストパフォーマンスはありません。
すごくユーザーフレンドリーな企業だな、という印象を持ったので、これからも Minisforum を応援したいと思っています。よくキャンペーンセールをやっていて安く手に入る印象なので、また何か購入したいですね。
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購入金額
107,000円
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購入日
2023年04月29日
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購入場所
公式サイト
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