レビューメディア「ジグソー」

磨きの差が情報量に表れる

前回は純銀単線採用のシェルリード線、KS-Stage102EVO.IIを取り上げ、その中でPC-Triple C単線採用のKS-Stage103EVO.IIについても記述しました。

 

 

 

 

 

 

 

今回取り上げるのは、KS-Stage103EVO.IIと全く同じ材料で構成され、導体への磨き処理だけが違うという上位モデル、KS-Stage203EVO.IIを取り上げます。

 

以前からKS-Remasta製のシェルリード線は何度も取り上げていて、特に導体への鏡面加工がこのブランドの独自色を出している要素であるという話は書いてきました。KS-Stage103EVO.II、KS-Stage203EVO.IIは共に第一世代の製品ですが、この世代では鏡面加工のレベルにより、最も基本的な鏡面加工が施されたStage1から、Stage2,3,4、そして最上位の加工を施したStage9までが存在しています。ちなみに最新の第二世代ではStage1,2,3,6,9となっていますが、第二世代では同一Stageであっても処理が進化していて、第一世代の1つ上のStageに匹敵する程度の実力はあるとのことです。

 

さて、前述の通りKS-Stage103EVO.IIとKS-Stage203EVO.IIは全く同じ材料から製造されますが、実は鏡面加工を行わない、導体そのままの状態で製品化されているKS-LW-1500EVO.IIも全く同じ材料から製造されます。

 

時間があれば手持ちのKS-LW-1500EVO.IIも組み合わせて鏡面加工の有無についても深く掘り下げたいところだったのですが、今回は諸事情により時間をかけられなかったため、送っていただいた試聴機の間でだけ比較したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回からシェルリード線の取り付けは、この状態で下側となる白(Lch +)と赤(Rch +)を先に取り付け、終わってから青(Lch -)と緑(Rch -)を取り付けるという手順にしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腱鞘炎が悪化していてなかなか手がスムーズに動かないのですが、それでも2~3分で十分作業できる程度だと思います。

 

更新: 2023/10/03
総評

低域~中域にかけての情報量が一気に増える

前述のKS-Stage102EVO.IIのレビュー及び、以前ZYX R50 Bloomと組み合わせて聴いた時のKS-Stage103EVO.IIのレビューをご覧いただいて比較するとわかりやすいかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴曲はKS-Stage102EVO.IIのレビューと同様に、

 

 

・Together We Run / Journey (LP「FREEDOM」収録)

 

 

 

 

 

 

・Like Someone In Love / Diana Krall(LP「Turn Up The Quiet」収録)

 

 

 

 

 

 

 

 

・Born For This Moment / Chicago (LP「Born For This Moment」収録)

 

 

 

 

 

 

 

を使います。

 

 

まずは「Together We Run」です。

 

曲の序盤から明らかに違っているのは低域の重心が下がるということです。イントロのピアノ(キーボード)の左手方向が厚みを持ちますし、バスドラムを軽く鳴らしているところでも、KS-Stage103EVO.IIより重みが感じられます。

 

アーネル・ピネダの声もKS-Stage103EVO.IIでは少し力が無く軽い感じで、子音が強めに感じられるのですが、KS-Stage203EVO.IIでは声に太さと力が加わるのでそれがさほど気にならなくなります。まあ、それでも他の導体よりはPC-Triple Cでは子音は強めではあります。

 

音場の広さは目立って変わるわけではありませんが、中低域が充実するのでその中の密度が上がった感じがします。PC-Triple Cの特徴である細かい音が妙に目立つという部分は変わりませんが、より磨かれているKS-Stage203EVO.IIは少しニュートラルな方向に近づいているように思います。

 

次に「Born For This Moment」ですが、冒頭のベースの重みが明らかに変わってますが、その一方でシカゴのホーンセクションはちょっと派手目で安っぽさが出てしまいます。この曲とPC-Triple C導体はあまり相性が良くないということでしょう。

 

ニール・ドネルの声はKS-Stage103EVO.IIよりも力がこもり、上ずった感じなくなります。ただ、ブレス(息継ぎ)の音が強調される感はやはりあります。パーカッションのキレはまずまず良好でしょう。

 

「Like Someone In Love」は、これもやはり冒頭のベースに差が付きます。KS-Stage103EVO.IIでは弦を弾いている感じは鮮明ですが、KS-Stage203EVO.IIではそこにベースの胴鳴りが乗っていることがきちんと聴き取れるようになります。ダイアナ・クラールの声はどうしても子音が耳に付きますが、声そのものに太さが出てくるため、KS-Stage103EVO.IIの時ほど極端に気になるレベルではありません。

 

一言で言ってしまえば、KS-Stage103EVO.IIと比較して実力が順当に1ランク向上しているのがKS-Stage203EVO.IIであるということになります。ただ、この1ランクが曲によってはかなり大きな印象の違いに繋がることもあり、この差に1ランク分の差額を払うべきかというのがなかなか悩ましいところです。第一世代では差額が5千円(税別)ですので、個人的には払う価値は十分にあると思っています。

  • 購入金額

    22,000円

  • 購入日

    2023年10月03日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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