以前から何度か書いている話ですが、私が愛用するターンテーブル、Technics SL-1200Gはトーンアームの高さ調整機構を備えているのですが、初期位置の兼ね合いで調整幅が低い方向に不足します。
これについて開発スタッフの方に伺った話では「DJ用カートリッジに合わせたと解釈されることが多いが、実はかつてのTechnics製カートリッジの高さに合わせた結果、現在の初期位置になっている」とのことでした。ただ、現時点でTechnicsはカートリッジを自前で用意していませんし、現在主流となるDENONやaudio-technicaに合わせておいてくれた方が親切であったことは間違いありません。
現在メインカートリッジとして使っているaudio-technica AT-OC9/IIIについては、元々かなりシビアに細かい音が出るカートリッジであるということもあり、最優先でSerenity製のマグネシウムスペーサーSRP-1を追加した結果、何とか調整幅の範囲内に収めることが出来ました。
そうなると次に対処したいと思ったのは、現在使用頻度が2番目に高いカートリッジであるaudio-technica AT-ART7です。
AT-OC9/IIIにマグネシウム製のスペーサーを選んだ理由は、音調の変化を狙ったという意味もありました。AT-OC9/IIIはどうしても僅かに腰高感があるのですが、過去に使ったマグネシウム製アクセサリーの傾向から、これが落ち着くのではないかと思ったのです。結果として低域方向の芯が通った感があり、なかなか良好な結果となりました。スペーサーとしても2mm厚ということでもくろみ通り機能してくれています。
一方のAT-ART7はオーディオ的な正確さはAT-OC9/III比ではやや劣ると思いますが、弦楽器やヴォーカルの質感が良く、変にHi-Fi方向に振れたりすると持ち味が損なわれる恐れがあります。そこであまり音色的な癖が無さそうなカーボン製スペーサーを試すことにして購入したのが、BELLDREAM BD-CS2318です。
いかにもカーボンパネルという外観です。ネジ穴の位置が比較的中央寄りで、どうやってもヘッドシェルの先端から飛び出そうなのが若干気になります。
▲audio-technica AT-LH18/OCCと合わせた状態
せめて1.5mm欲しかった
BELLDREAMでは、この製品はスペーサーとして位置付けているものの、主眼は重量の微調整であるようです。そのため厚みは1.0mmで、スペーサーとしてはやや薄いものとなります。
実際にAT-ART7(ヘッドシェルはaudio-technica AT-LH15/OCC)と組み合わせてみます。
実は取り付けてみて「しまった」と思いました。1.0mmは実際に取り付けてみると自分が想像していたよりも薄かったのです。
案の定ですが、水準器で測定してみると僅かではありますが前下がりのままです。
仕方が無いので、このまま試聴してみましょう。この作業を行う直前に「HYMN / Sarah Brightman」を取り込んでいましたので、収録曲「Time To Say Goodbye」で聴き比べてみましょう。
聴く前は音の差が出るのか疑問だったのですが、意外なことにきちんと変化は出ました。音調が変わった感はあまり無いものの、このレコードは録音が悪くヴォーカルが不鮮明なのですが、その不鮮明さがやや緩和されるのです。写真でいえば僅かにずれていたフォーカスが合った(但しまだ完璧ではない)という印象です。
これは恐らくカーボンによる変化というよりは、水平に近づいたことでピックアップの精度が向上したことによるのではないかと予想されます。ただ残念ながら完全に水平が取れたわけではなく、まだ伸び代がありそうな感じはします。せめてBD-CS2318が1.5mm厚以上であれば何とか水平は取れたかも知れませんが…。
こうなると3種類の厚さのカーボンスペーサーが1パッケージに収められた、オヤイデ製のMCS-CFを買って試すのが間違いなさそうですが、これはいずれ試すということにします。
BD-CS2318は厚みの不足が弱点ではありましたが、AT-ART7の持ち味を削いでいないことは好印象です。カーボンスペーサーを試すという目的には十分合致したといえるでしょう。
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購入金額
2,980円
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購入日
2023年09月16日
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購入場所
ヨドバシ.com
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