レビューメディア「ジグソー」

ケーブルの実力は高いが…

先日JVC製イヤフォン、HA-FW1800を紹介しました。

 

 

 

 

 

 

 

ウッドドームカーボン振動板の音が好きな人であれば納得できるのだろうな、という音ではあったものの、個人的にはさほど好みでもなく、少なくとも常用(64AUDIO U4、Unique Melody MAVERICK)に割って入るのは当然無理で、セカンドグループであるJH Audio Michelle、Noble Audio Sage、Unique Melody Mini MEST、JH Audio Angieのどれかに取って代わることも無いだろうという感想でした。ケーブルを試聴する時に端子形状の都合で持ち出す、Westone W40、qdc 3SH SE辺りと一緒に持ち出すことがあるかないか、という程度です。

 

ただ、HA-FW1800に見切りを付ける前に一つだけ試しておこうと思ったのがリケーブルです。私は基本的にCIEM 2pinのイヤフォンを主に使っていますので、MMCX用のそこそこ良いケーブルを持っていません。MMCXでリケーブルを試すのはせいぜいORB Clear Force MMCXですから、3~5万円クラスを常用しているCIEM 2pinとは比較になりません。

 

 

 

 

 

 

そこでHA-FW1800を持って試聴に行こうと考えていたところで、特価品のケーブルに出くわしました。そこそこ実績のあるMMCX用ケーブルが、何と通常価格の8割引で売られていたのです。そこで予定を変更して無試聴で購入してしまったのが、このALO audio SXC 8 IEM Cableです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真に「51,040円」という恐ろしい値札が貼られていますが、実際の購入額はここから8割引というわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ALO audioについて触れておくと、元々2006年にアメリカで創業したケーブルメーカーです。創業者のケン・ポール氏は元々ケーブルの設計を専門としていて、その技術を活かしてALO audioを設立しています。ALO audioはクライオ処理やアニール処理といった熱加工処理を積極的に導入して、さらに職人によるハンドメイドを基本とするハイグレードケーブルのメーカーとなっています。その後ALO audioはポータブルアンプも手がけるのですが、ケン・ポール氏はさらにそれだけでは飽き足らず、理想のイヤフォンも自分たちで作り出そうとCampfire Audioを設立し、現在まで高級イヤフォンメーカーとして確固たる地位を築き上げています。

 

更新: 2023/05/16
総評

このケーブルを活用できるイヤフォンが手持ちに無い

SXC 8という本製品の名前は、SXCという高純度銀メッキ銅導体を8芯で編み上げていることから名付けられています。22AWGのSXCを8芯でということで、イヤフォンとしてはやや太めの導体を用いていることが判ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

さすがにケーブルに対して豊富なノウハウを持つメーカーであるだけに、皮膜も一般的なPVCより遙かに耐久性も特性も優れるテフロンを採用していて、高級オーディオケーブルに通じる設計となっていることが判ります。

 

 

取り敢えずWestone W40に装着できるか試してみました。

 

 

 

 

 

 

 

私のWestone W40はリデザイン前の仕様のものですが、きちんと装着できました。音の方も純正ケーブルよりは格段に情報量が増していることは判るのですが、元々余り使っていないW40で判断するのは難しいものがあります。そこで本命のHA-FW1800に付け替えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

こちらも問題なく装着できています。ただ、このケーブルは2.5mm4極バランス仕様で、恐らくこれが格安処分されていた理由なのでしょう。そこで普段利用するCayin N6ii/R01ではなく、2.5mm4極バランス出力を持つAstell&Kern A&futura SE100で試聴してみることにします。

 

 

 

 

 

 

さすがに一聴して純正ケーブルとは格が違う音が出ていることが判ります。

 

中域~高域にかけての質感や解像度が大幅に向上して、ようやくハイハットの音に金属のニュアンスが出てくるようになります。主に「Forgotten Toys / David Paich」や「Freedom / Journey」を聴いてみましたが、特に「First Time / David Paich」では中低域の密度も増すことから、ようやくこの曲らしい空間が構築されるようになりましたし、ジャズ的なアプローチの「Lucy / David Paich」もブラスの質感がそこそこ出てくるようになりました。この組み合わせであれば、3万円前後のイヤフォンよりは聴かせる音になったと思います。それでもHA-FW1800そのものが魅力的に感じられるところまでは行きませんが。

 

ただ、オリジナルの状態では聴く気がしなかったHA-FW1800をそこそこ聴けるというところまで引き上げるのですから、このケーブルの実力は間違いなく高いのでしょう。惜しむらくは、私の所有するイヤフォンの中にこれ以上のクラスのMMCX対応製品は無く、ケーブルの真価を量ることが出来ないということです。

 

 

もし今後そこそこ高水準なMMCX対応製品を入手することがあれば、改めてこのケーブルをじっくりと聴き込んでみたいと思います。

  • 購入金額

    10,208円

  • 購入日

    2023年03月18日

  • 購入場所

    ヨドバシカメラ

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2023/05/17

    これはお買い得(高いですけど)でしたね.
    mmcxの選択肢は意外に少なくて,MAZEのRAIPENTAはどうでしょうか? 結構オススメです.
  • jive9821さん

    2023/05/17

    > harmankardon さん

    RAI PENTAは発売時にじっくりと試聴したのですが、私の
    好みからは結構外れていました。MMCXで買うとすれば
    Technics EAH-TZ700かbeyerのAK T9IE程度でしょうか。

    まあ、MMCXという時点で聴いていない製品も多いので、
    食わず嫌いせずに聴いてみないといけませんね。

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