先週末、秋葉原を中心にちょっとした話題となっていたのが、ユニットコム系の販売店で売り出された特価品である、HP Wireless Earbuds G2、即ちHPブランドのTWS(True Wireless Stereo)イヤフォンでした。
ごく普通の新品処分品だったのですが、注目されたのはその値段でした。決してジャンク扱いというわけでもないのに、何と580円という百均ショップのDAISO扱い品以上の安さだったのです。秋葉原では週末に完売していたそうですが、また再入荷があったようです。
私はパソコン工房千葉店の店頭でも何台か出ていましたので、そこで購入してきました。
もっとも、HPの公式サイト上での情報を確認してみると、主にオンライン会議等で使うことを想定した、どちらかというとビジネスツール的な扱いの製品のようですが…。
実際スペック表を見てもオーディオ的な性能に関する言及は全くありません。恐らくコーデックはSBCのみ、DDドライバー1基という構成だと思います。
箱を開けるとイヤフォン本体と充電ケースが収納されています。以前取り上げたyourspring YS-M100などは開封してすぐ使える程度に充電されていましたが、HP Wireless Earbuds G2は開封後DAPで再生してみたところ、1分程度で片側の電源が落ちてしまいました。開封後はまず充電するのが正解のようです。
充電ケースは最大2回イヤフォンをフルチャージできるようです。最大12時間動作となっていますが、イヤフォンそのものは満充電で4時間稼働ですから、残りの8時間はケースで充電しろということでしょう。
イヤフォンを充電するついでに、ケース側にも充電しておきます。
添付品です。イヤーピースは標準装着品を含め3サイズで、他はUSB A-Cケーブル(充電用)と冊子類だけです。マニュアルは結構分厚いのですが、これは多言語対応であるためで、説明も操作に必要な部分だけに絞られた素っ気ないものです。
特筆する出来ではないが、580円なら全て許せる
本来はオンライン会議等で、メーカー側がセールスポイントとしているマイクのノイズキャンセリング性能などを試すべきなのですが、私は個人事業者でありオンライン会議の機会などまずありません。今回はあくまで再生用のTWSとしてのみ評価します。
組み合わせたDAPはAstell&Kern A&Futura SE100で、ランダム再生でいろいろな曲を聴いてみました。
ただ、標準添付のイヤーピースでは顔を動かすとイヤフォンがハズレかかってしまうという状態でしたので、イヤーピースは先日Hisenior S3用に購入していたAZLA SednaEarfit Crystal for TWSに交換しました。SednaEarfit Crystal 1ペアの方がイヤフォンより高価ですが、それは気にしないでおくことにしましょう。
上の写真ではイヤフォンを外してDAPの上に置いていますが、実際にこのように使ってしまうと、イヤフォンに内蔵された人感センサーが取り外されたことを検知して、45秒後に自動的に電源OFF実施中となってしまいますのでご注意ください。
さて、音質についてですが、きちんと耳に填まれば思いの外普通の音でした。この製品のレビューを探してみると低音ばかり出てくると書かれていることがあるのですが、それは耳にきちんと填まっていない可能性が高いでしょう。イヤーピースできちんと装着をコントロールしてやれば、少し低域が厚い程度で取り立てて目立った特徴がない音になります。
音質面での特徴を挙げると、ステレオで動作しているはずなのに左右がそれぞれ勝手に鳴っている様に感じる程ステレオイメージが構築されません。レンジは狭めであるものの前述の通り極端なバランスではないことは好印象なのですが、例えば丁度この文章を打ちながら聴いている「They Dance Alone / Sting」(アルバム「...Nothing Like The Sun」収録)など、本来は鮮明な音場が構築されるはずの曲なのですが、左右それぞれに楽器が貼り付き、スティングのヴォーカルですらセンターで定位しません。左右から中央に近づいた辺りにバラバラにスティングが存在してしまいます。もっとも「Heat of The Night / Bryan Adams」ではリードヴォーカルはきちんとセンターで像を結びますので、ソースによってこの辺りの印象は変わるのかも知れません。
ヴォーカルや楽器の質感については、低価格なイヤフォンそのものとしか言い様はありません。5千円クラスの有線イヤフォンよりは明確に劣ります。私が数分で使わなくなったfinal E2000と比べても質は劣っています。
ただ、この製品の美点はBluetoothの接続安定度が極めて高いとうことで、SE100を適当に置きっぱなしにして色々動き回ってみても安定して接続され続けています。高価でそこそこ音質の良いTWSでもこれより接続が安定しないものは多くありますので、この安定性は評価に値するといえます。まあaptXやLDAC等のより高ビットレートを要求するコーデックを使えないことが良い方向に作用しているだけともいえますが。
TWSとしての完成度はいかにもローエンドクラスですが、並のローエンドよりも遙かに安価であることを考えれば、それも欠点とはいえません。とにかく何でも良いからTWSが欲しいという方は、動作の安定度は十分評価できますので、入手して損はないでしょう。
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購入金額
580円
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購入日
2023年01月21日
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購入場所
パソコン工房
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