マグネシウム製オーディオアクセサリーを圧倒的な安さで販売するサンシャイン。そのサンシャインが同じくオーディオアクセサリーメーカーであるティグロンと組んで、オーディオケーブルに進出したのが3年ほど前でした。
サンシャイン製品の最大の特徴は、見た目の高級感は全く追求せず、とにかくコストパフォーマンスに全振りした製品を発売することです。それはティグロンが製造するオーディオケーブルでも全く変わらず、見た目は格安品レベルでも、実力は他社の同価格帯よりも圧倒的に上と社長自ら豪語するほどです。
サンシャインのケーブル参入第一弾となったのが電源ケーブルSAC-Reference 1.8でした。
このケーブルはコストパフォーマンスの高さが評判を呼び、発売後約1年はこの分野の売り上げ数でトップレベルの数字を叩き出すというヒット商品となりました。しかし評判の良さが災いしてしまったのか、より大手のブランドが全く同じ品をより強力な販売網で販売するようになってしまい、それ以降売り上げが急落したのだそうです。これはティグロンがその大手ブランドに騙された形と説明されていますが…。
そこでティグロンが自社製品や上記SAC-Reference 1.8に施していた導体活性化処理「H.S.E」をより強化した「H.S.E GRANDE」を開発したことを機に、改めて最強のコストパフォーマンスを誇るケーブルを開発しようと、大幅な改良を加えて発売したのが今回取り上げるSAC-GRANDE 1.8となります。
「H.S.E」 とは「Hyper Saturated Energizer」の頭文字を取ったもので、0~100kHzの特殊信号や、過飽和電流を流すことで導体の素材本来の特性を発揮させることを目的としたというものだそうですが、正直理屈を聞いてもあまりピンと来ません。ただH.S.Eを始めた頃には販売店の店頭で、適当な試聴用ケーブル等を借りてその場で処理を施すことで、音質の向上振りをアピールしていたそうですから、音を聴いて判別できる程度の効果は認められるのでしょう。
そして今回SAC-GRANDE 1.8で採用された「H.S.E GRANDE」とは、以前は一括でかけていた特殊信号を低域用・中域用・高域用の3回に分けて処理を施すことでより明確な効果を実感できるようにしたと謳っているもので、従来の「H.S.E」と同様にティグロンに申し込むことで他社製のケーブルへの処理も可能となっています。実際に自分のケーブルに処理を施して聴いてもらえれば、その価値を間違いなくわかってもらえると自信を見せています。
SAC-Reference 1.8には従来のH.S.E処理が施されていましたが、今回のSAC-GRANDE 1.8には名称通りH.S.E GRANDE処理が施されています。さらにサンシャインのポリシーとして「価格を上げる以上は、それに見合ったグレードアップを要求する」ということで、ケーブルそのものにもより改良を加えることで、値上げしてもコストパフォーマンスは向上したと納得してもらえるものに仕上げたという売り文句となっています。
SAC-Reference 1.8はパッケージと呼べる代物では無かったのですが、今回はオーディオ販売店に並べておいて違和感が無い程度のパッケージに入っていて、まずそこに驚かされました。
宣伝文句通りとまではいわないが、素晴らしい出来なのは間違いない
ケーブル本体を見る限り、外観はSAC-Reference 1.8とほぼ変わっていないようです。
コネクター部は一体成型のモールドですが、ホスピタルグレードやオーディオ用の端子を使わないのは明確な理由があってのことだそうです。H.S.E GRANDE処理の都合上、このような一体成型のケーブルではコネクターごと処理にかけるため、よりH.S.E GRANDEによる向上幅が大きいというのです。
ケーブルの導体は極東電線工業製のDip Forming OFC銅で、これも前作のSAC-Reference 1.8と同様です。Dip Formingについては国内で唯一Dip Forming材の製造設備を持つ昭和電線ケーブルシステムによる解説をご覧下さい。
最終的にSAC-GRANDE 1.8はフォノイコライザーに回すかアンプに使うかと思っているのですが、差し当たって音質の確認のためにFOSTEX HP-A8の電源ケーブルとして使い、ヘッドフォン(Massdrop × SENNHEISER HD6XX)で音の変化を確認してみることにしました。普段HP-A8で使っているのはEX-pro AC-1ですので、それとの比較という形になります。
AC-1は割合硬質で音場がやや狭いという傾向があり、はっきり言ってしまえば他で使わなくなり余っているのでここで使っているというケーブルです。
AC-1をSAC-GRANDE 1.8に交換すると、まず体感出来るのは低域方向の描写が深みを持つということ、音場の広さが大きく広がり、ヴォーカルなど中心の音に鮮明さが感じられるということです。データを作ったばかりで音の傾向をよく覚えている「Hotel California / Gipsy Kings」を聴くと、冒頭のフラメンコギターの弦にリアリティが感じられるようになったことに気付きます。ヴォーカルも声の生々しさが全く違います。
「(Just Like) Starting Over / John Lennon」(国内盤LPから起こしたもの)ではドラムとベースが入ってきた時点で「この曲ってこんなに低音に力あったっけ?」と思うほど馬力が感じられますし、残響音の明瞭さも比較になりません。
本格的な試聴というわけではないのであまり試聴用楽曲を聴いている訳ではないのですが、ごく普通のリスニングで出てくる音の印象が変わっているのですから、それだけ変化量が大きかったということでしょう。
ただ、サンシャインの商品説明にある「国産でこの製品を明確に上回るのはティグロンとAETの最上位製品だけ」というほどに良いかといわれると、そこまでかなという疑問は残ります。私があまりハイエンド製品を聴いたことがないということから判断しかねる部分はありますので…。
それでも3万円以下クラスとしては最良の選択肢と言って良いと思いますし、10万円以下までのクラスと比較してもほぼ確実にSAC-GRANDEが上回ってくるだろうという感触はありますが。
なお、今回販売価格は公開しませんが、例によってブログ読者向けのシークレットセールで購入しているため、市価よりは大幅に安くなっているとお考えください。
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購入金額
0円
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購入日
2022年10月08日
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購入場所
SUNSHINE直販
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