レビューメディア「ジグソー」

Stage1からこれだけの伸び代があることに気付かされる

前回取り上げたKS-Stage121EVO.Iから、鏡面加工のグレードだけを1ランク上げた製品となるのが、このKS-Stage221EVO.Iとなります。使われている導体やハンダは全く同じです。価格はKS-Stage121EVO.Iの16,500円(税込)からKS-Stage221EVO.Iでは27,500円(税込)へと上がります。ここ数年オーディオ用品の値上げが続き、一昔前ならKS-Stage221EVO.Iの価格帯でローエンドのMCカートリッジを買うくらいは出来た(10年前ならDENON DL-103ですら買えました)のですが、今では到底買えないわけです。シェルリード線のこの価格が相対的に高く見えなくなってきているというのが恐ろしいところですね。

 

このKS-Stage221EVO.Iも以前Goldring ELITEと組み合わせるために一度試聴していますね。

 

 

 

 

 

 

ただ、以前聴いたのは正式発売前の試聴機でしたが、今回は製品版をそのまま送っていただいていて、以前聴いたものとは若干違いがあるかも知れませんので、改めてきちんと聴いてみることにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連続して着脱していると、だんだん慣れてきて仕上がりが良くなってきますね。時系列で写真を並べると判りやすいです。

更新: 2023/10/11
総評

レンジの拡大と鮮度の良さが印象的

試聴楽曲は全モデル共通で以下の3曲です。

 

 

・Together We Run / Journey (LP「FREEDOM」収録)

 

 

 

 

 

 

・Like Someone In Love / Diana Krall(LP「Turn Up The Quiet」収録)

 

 

 

 

 

 

 

 

・Born For This Moment / Chicago (LP「Born For This Moment」収録)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは「Together We Run」です。ここでは下位のKS-Stage121EVO.Iとの比較で述べていきます。

 

冒頭から一聴して変わるのは音の鮮度でしょうか。イントロのキーボードのピアノ音が明確に鮮やかに変化しますし、アーネル・ピネダの声が文字通りヴェールを剥いだような鮮明さを伴ってきます。強いていえば少し「口が大きい」といえば良いのか、声が音場の中でやや大きさを持ちすぎている感はありますが、それぞれの音のクオリティが下位とは明らかに変わります。

 

ベースやドラムが入ってくると低域がより下の方まできちんと出ていて、重量感が増します。KS-Stage121EVO.I単体で聴いていれば十分ワイドレンジなのですが、KS-Stage221EVO.Iと比較してしまうと本当に低い方が出きっていないことが判ってしまいます。

 

ちなみに第一世代の同グレード(導体はPC-Triple C)であるKS-Stage203EVO.IIと比べると解像度が全く違いますし、情報量が増していて音量感も少し上がります。Stage2でも世代の違いは1グレード差に相当するかそれ以上の違いがあるようです。

 

次に「Like Someone In Love」ですが、ここでもまずベースラインの重さが明確に違いますし、ダイアナ・クラールの声は録音が変わったのかと思うほどに鮮明さが出てきます。マイクの前に布を挟んでいたものを取り払ったのかと感じるような差が出てきます。

 

間奏部分のピアノもタッチの明瞭さがありますし、ギターの弦の質感もより向上します。強いていえば「Together We Run」ほど極端には感じませんでしたが、やはり少し口は大きいでしょうか。

 

そして「Born For This Moment」ですが、この曲ではベースの違いは他の2曲と同様に感じられたものの、ニール・ドネルの声は思ったほど大きな差が付きません。録音の質が影響しているのかも知れません。ただ、エコーなどはより明瞭になりますし、その一方で付帯音はスッキリとしますので総じて鮮度の高さはここでも感じられます。

 

ホーンセクションは金管楽器らしい艶が向上していてリアリティが出てきますし、音量感が少し増しているでしょうか。第一世代のKS-Stage203EVO.II比では、やはりこちらの方がホーンの音色が自然ですし、高域方向は派手ではないもののより緻密な描写であることが判ります。

 

 

それにしても、全く同じ素材で加工の差だけで音の差を出せること自体が凄いと思うのですが、それをグレードごとに明確に造り分けられるというのが私には想像出来ない世界です。今までいろいろなグレードのKS-Remasta製品を聴かせていただいていますが、きちんとグレードとして設定された通りの音が出てくるのです。本当の意味で凄いのは安定してグレードごとの仕上がりを保てるということのような気もします。

 

 

  • 購入金額

    27,500円

  • 購入日

    2023年10月11日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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