先日取り上げたKS-Remasta独自の鏡面加工を施したシェルリード線、KS-Stage121EVO.Iの1ランク上位製品となるのが、今回のKS-Stage221EVO.Iです。
下位のKS-Stage121EVO.Iと比較すると、使われている導体や皮膜、ハンダ等は全く同一で、鏡面加工の仕上げだけが異なるというものです。その仕上げだけで1万円もの価格差が付けられているわけですが、過去のシリーズでの経験から、間違いなくその差はあるということでしょう。
ちなみに先代の鏡面加工Stageシリーズでは、Stage10x系の製品は15,000円+税、Stage20x系の製品は20,000円+税でした。今回のシリーズではStage12x系は15,000円+税と据え置かれているものの、Stage22x系は25,000円+税と、Stage20x系比で5,000円程値上げされています。
実は第2世代の鏡面加工Stageシリーズでは、第1世代比でどのグレードの製品でもより仕上がるまでの工程が長く、時間コストは増えているそうです。Stage12x系はシリーズの入門として敢えて価格を据え置いたということのようです。
いつも通りではありますが、外観からは製品グレードをうかがい知ることは出来ません。このKS-Stage221EVO.Iでは、ヘッドシェル側のリードピンが白の皮膜となっていることで、他のグレードと識別することになります。
今回の試聴の目的は「Goldring Eliteと組み合わせるシェルリード線を探す」ことですので、試聴に使うカートリッジは当然Goldring Eliteとなります。
着脱作業の回数をこなしているうちに少しずつ技術が付いてきたのか、カートリッジを取り外すことなく上下左右クロス結線のElite MCでもこのような作業が出来るようになりましたが、率直に言ってこの組み合わせは難易度は高いと思います。少なくとも推奨の工具などを揃えずに手やピンセット程度で作業をするのは無謀というレベルです。
低域方向が大幅に充実
それでは音質評価に入ります。
試聴環境はいつも通りのTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200、試聴ソースは「Babylon Sisters / Steely Dan」「CWF II / Champlin Williams Friestedt」です。
同じ条件で試聴している下位のKS-Stage121EVO.Iとの比較では、一聴して明らかなのは低域方向が大きく充実したということです。
「Babylon Sisters」の冒頭でバスドラムやベースの音を聴いただけで、より低い方まで出ていて、量感が増えるだけではなく解像度や締まりも良好になることが聴き取れます。低域は割合高めの帯域まで充実するようで、ドナルド・フェイゲンの声も太くなります。
ただ、この声の下の方が充実したことの副産物なのか、少しヴォーカルの口が大きくなるかなという印象は受けます。好みの問題でしかありませんが、ヴォーカルはもう少し小さい方がリアリティは増すのではないかと感じました。
音場の広さはKS-Stage121EVO.Iとほぼ同じですが、ほんの少しだけ外に拡がったかも知れません。
一方、大きく改善される低域方向とは異なり、例えば「Runaway Dancer」辺りを聴くと、高域方向は少し緻密になり、煌びやかさもより出るようになるのですが、明確に密度が濃くなった低域方向が目立つためか相対的にはやや控えめに感じられるようにすら聞こえます。高域だけに限っていえば、劇的な程の違いは感じられませんでした。まあ、使われている素材が全て同じ2つを比べていて、これだけ明確に違いが出ていることがある意味常識外れなのですが…。
KS-Stage121EVO.Iを聴いた時点で「これでもう十分なのでは?」とすら思っていたのですが、KS-Stage221EVO.Iを聴いてしまうと低域方向の伸びがもう一つなく、量感や解像度も改善の余地を残していたことがはっきりと判ってしまいました。低域方向の余裕が感じられることで、価格に合わせて順当なレベルで音も向上していることを特に実感させられました。
今回Goldring Eliteに組み合わせるシェルリード線には、予算として1~1.5万円クラスを見込んでいたのですが、早くもその価格帯で納得できるのかという不安が…。
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購入金額
27,500円
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購入日
2022年05月03日
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購入場所
KS-Remasta
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