レビューメディア「ジグソー」

銀線の音でありながら銀線の弱点はあまり感じさせない

今回のKS-Remasta製シェルリード線比較試聴は、元々audio-technica製VMカートリッジ、AT-ML180と組み合わせるための製品を選ぶために、その候補となるものを貸し出していただいてそれぞれの差を探るためのものです。

 

 

 

 

 

 

当初私が希望した条件に合う計4種類が送られてきていて、その中から選ぶつもりでいたのですが、後日追加の試聴機が送られてきました。これはAT-ML180ではなく、他のカートリッジと組み合わせる候補であるビンテージワイヤーを使った製品群なのですが、その中に一つだけAT-ML180と組み合わせる前提となる候補が一つだけ混ざっていました。それが前回、前々回に取り上げたKS-Stage101EVO.II、KS-Stage103EVO.IIと同クラスのバリエーションモデルである、KS-Stage102EVO.IIです。

 

 

 

 

 

 

 

 

KS-Stage101EVO.IIが海外製8N-OFC単線、KS-Stage103EVO.IIが国産PC-Triple C単線を採用している訳ですが、こちらのKS-Stage102EVO.IIは純銀の単線を採用しているモデルとなります。素材以外は他の2機種と全く同等の構成です。

 

KS-Stage102EVO.IIが採用しているのは0.8mm径の4N銀単線とのことで、0.6mm径の銅単線を採用する他の2モデルよりは太めの導線であり、これはイコール表面積・断面積が大きくなっているということです。一般的に銀を使ったオーディオケーブルは高域方向の独特の繊細さと線の細い描写という特徴を持つことが多いのですが、銅よりも表面積・断面積が大きい導線を採用することで線の細さを補っているという予想が成り立ちます。

 

 

 

 

 

 

 

 

袋には試聴機と書かれていますが、恐らく私の指定条件に合わせて新たに用意していただいたものではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

外観はKS-Stage101EVO.IIやKS-Stage103EVO.IIとよく似ていますが、導体の色でKS-Stage102EVO.IIが銀線であることは一目瞭然ですね。

 

 

 

 

 

 

 

実は今回の装着では、AT-ML180をヘッドシェルから取り外さずにリード線だけを入れ替えるという方法にしてみました。普段はカートリッジとヘッドシェルのターミナルピンの間に空間的な余裕が無く難しいのですが、これくらいの隙間があれば何とかなると思い挑戦してみた訳です。

 

 

 

 

 

 

 

意外とあっさりと作業が済みました。カートリッジの着脱作業が無いと、作業時間が結構短縮されるというメリットがあります。実際に挑戦してみると、これより大きいカートリッジではやはり難しいと思いましたが…。

更新: 2021/04/06
音質

エネルギーバランスはやはり中高域に寄ってくる

それでは試聴に移ります。当然曲はこれまでと同様の「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)、Technics SL-1200G+Phasemation EA-200の組み合わせで再生します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前述の通り、銀線を使ったケーブルは音が細身になる傾向が見られることが多いのですが、イントロ部分の低域の量感は8N-OFC(研磨無し)のKS-LW-1800EVO.IIに近い程度には出ていますし、低域方向のレンジは他のStage1研磨の製品とほぼ同等に伸びているとみて良いでしょう。力感がたっぷりというほどでは無いにしても、低域にひ弱さは感じられません。

 

いかにも銀らしい音だと思ったのはエコー成分で、エコーの量はKS-Stage101EVO.II辺りと変わらない程度ですが、そのエコーの音が華やかさや明るさを感じさせるものとなります。ちょっと派手に聴こえるかも知れません。

 

ヴォーカルが入ると、やはり銅を使った他の製品よりはドナルド・フェイゲンの声が細めになり、歌い方も少しソフトに感じられます。ただ、女声コーラスが入ってくると、そのコーラスの声が銅を使った製品よりもより女性らしい声に感じられますし、コーラスに包まれるような感触になります。オーディオ的にはKS-Stage103EVO.II辺りの表現が最も正解に近いと思うのですが、KS-Stage102EVO.IIの銀線ならではの表現もなかなか魅力的です。

 

強いていえばハイハットのタッチがどうしてもソフトになる傾向があり、切れ味という意味ではやや不利に感じられます。ただ、アナログ好きの人にとっては、一歩間違えば刺さるようなPC-Triple Cの鋭さよりは、このソフトタッチの音を好む人も多いのかも知れません。

 

全体的には低域方向の密度がやや下がることで、「Babylon Sisters」という曲のムードはやや損なわれている部分はあります。これは銀線が活きるようなソースを選んでいる訳ではないので仕方ないでしょう。オーディオマニアが好む傾向の女性ヴォーカルなどは、この銀線が持つ声の質が上手くはまる可能性があります。

 

 

今回はAT-ML180と組み合わせるという前提で評価していますので、このKS-Stage102EVO.IIは選択肢から外れることになりますが、リード線入れ替え候補の一つであるClearaudio Virtuosoや、新たに入手したカートリッジ(後日掲載予定)であれば、案外このKS-Stage102EVO.IIが最有力候補に躍り出るかも知れないという可能性を感じました。

 

 

 

 

 

この製品以外の追加されたビンテージワイヤー製品については、後日組み合わせるカートリッジや試聴ソースを入れ替えた上で取り上げる予定です。

  • 購入金額

    16,500円

  • 購入日

    2021年04月04日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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