レビューメディア「ジグソー」

本当に同じ素材とは、俄に信じがたいほどの違い

前2回で取り上げたKS-Remasta製シェルリード線は、吟味されたオーディオ用導体を高級ハンダで仕上げたタイプの製品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に取り上げたKS-LW-1500EVO.IIのレビューで触れていますが、今回お送りいただいたシェルリード線は計4種類ありますので、そのうちの2種類を取り上げたことになります。実はさらに追加で同価格帯で銀線を利用した製品などもお借りしたのですが、その辺りはまたしばらく後で取り上げます。

 

 

 

 

 

 

 

この4機種は、導体は2種類で使っているハンダは全て同じです。つまり、素材としては全く同じ組み合わせのものが2組となります。全く同じ素材で別モデルとなっているものは、KS-Remasta独自の「磨き」の効果を改めて確認するために用意していただいたものです。

 

以前レビューを掲載した製品の中では、磨きが施されたものは3機種でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらも、全て使われている導体はKS-LW-1800EVO.IIと全く同じであり、基本的には磨きの違いがそのまま製品グレードの違いとなっていました。ただ、ハンダが異なっているなど細部の違いはありましたので、今回は他の条件は全て統一した上で、「磨き」の違いだけを聴き取ることに挑戦しようと考えた訳です。しかも「磨き」は基本レベルとなる「Stage1」ですので、以前聴いた3モデルよりは差は付きにくいことが予想されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例によって外見上は他のモデルとの見分けはほぼつきません。ただ、今回お送りいただいたStage10xシリーズはヘッドシェル側のリードチップの皮膜が黒となっていて、これでKS-LW-1x00系と見分けることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も予めヘッドシェルにストレート状態のまま取り付けておき、カートリッジ取り付け終了後に結線作業を行っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

AT-ML180では取り回しも楽で、取り付け難易度は高くないでしょう。カートリッジ本体が小型であることのメリットが感じられます。

更新: 2021/04/05
音質

レンジも情報量も大きく拡大

それでは試聴に移りましょう。

 

今回も組み合わせるカートリッジはaudio-technica AT-ML180で、Technics SL-1200G+Phasemation EA-200と組み合わせます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソースもこれまでと同様に「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)を利用します。

 

 

冒頭からいきなり驚きがありました。前述の通り、KS-LW-1800EVO.IIと今回のKS-Stage101EVO.IIとは、使われている素材は全く同じ筈です。それなのに、出てくる音が明らかに違うのです。

 

具体的には、KS-LW-1800EVO.IIでさほど伸びないと評していた低域方向が大きく変化します。ベースラインは重量感と太さが一気に増えますし、バスドラムのキックが力強く明瞭になりました。

 

音場の広さなどはさほど変わらないものの、エコーなど間接音が増えて、しかもその存在が明瞭になってきます。KS-LW-1800EVO.IIの時にドナルド・フェイゲンの声が若々しい方向に変化すると書きましたが、KS-Stage101EVO.IIではPC-Triple C導体のKS-LW-1500EVO.IIに近く、落ち着きと味わいが出てくるようになりました。ブラスの鮮やかさは相変わらずありますが、KS-LW-1800EVO.IIよりは落ち着き、浮ついた感じがなくなりました。

 

そして、KS-LW-1800EVO.IIで気になっていたハイハットのタッチに感じられた曖昧さが解消されています。KS-LW-1500EVO.IIと比べるとまだタッチは少し弱めですが、PC-Triple Cは元々このような表現が少し強調される傾向も見られますので、KS-Stage101EVO.IIくらいの表現で適切なのかも知れないと感じられます。

 

トーンバランスとしてはKS-LW-1800EVO.IIに近いのですが、低域方向が大きく充実したうえに、高域方向もより素直に伸びるようになったため、出てくる音には大きなグレード差が感じられます。

 

 

伺った話では、Stage1の「磨き」を施した導体の平滑度が1だとすると、国産のPC-Triple C線材で0.6~0.7程度、海外製OFCでは0.5程度でしかないそうです。オーディオケーブルでは導体表面の平滑度が音質に影響すると考えるメーカーも少なからずあり、自社ケーブルの平滑度を売り文句とする製品もあるほどですから、「磨き」によってそれを高めるという手法は実はとても理にかなっているのではないかと感じます。

 

 

「磨き」のレベルを上げていくことでより大幅な音質の向上が見られることは、過去の経験でも明らかなのですが、Stage1の「磨き」でも磨くことの意義は十分に感じられます。特にKS-LW-1800EVO.IIとKS-Stage101EVO.IIとの間の差は5千円分とは思えないぐらいに大きく、可能な限りStage系を選択することがおすすめとなります。

  • 購入金額

    16,500円

  • 購入日

    2021年03月31日

  • 購入場所

    KS-Remasta

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