レビューメディア「ジグソー」

BriseAudioらしく、機器の特性を素直に表す

以前、BriseAudioがStayHome期間にtwitterでリツイートキャンペーンを頻繁に行っていた時期がありました。

 

以前から同社の製品を愛用していたこともあり、キャンペーンにも毎回参加していたのですが、その中の1回、6月中旬の回で当選したのです。景品は、3.5mmステレオミニ - 3.5mmステレオミニのショートケーブルプレゼントか、同社の取り扱い製品どれか1点を半額で購入できる権利のどちらかで、ショートケーブルも欲しいけれど意外と使う頻度は低いだろうと思い、半額購入券を選択しました。

 

 

半額で購入できるとなると、欲しいケーブルは多くあります。イヤフォン用のASUHA、ヘッドフォンケーブルTOTORIのSENNHEISER HD650/HD6XX向けなど、候補は色々と考えていました。ただ、不幸にしてこの時期は他に結構出費が大きかったので、あまりこの分野に資金を投入するわけにもいかず、結果として選んだのは6月末で生産完了となる予定だった、ヘッドフォンケーブルのスタンダードモデルSTD001HPの、Audeze EL-8シリーズ専用端子のものでした。

 

 

Audeze EL-8 Open Backは現状でSENNHEISER HD650/HD6XXに次いで使われているヘッドフォンですが、この製品用のサードパーティー製ケーブルはまず存在していません。端子形状が平形4極という、この製品以外でまず見かけることの無い仕様であり、それほど売れたわけでは無いEL-8シリーズのためにリケーブルを用意してくれるメーカーなどまず無かったのです。

 

以前TOTORIの試聴イベントに出向いた際に、BriseAudioではEL-8専用端子のケーブルも制作可能と伺っていましたので、比較的安価に入手できるSTD001HPで作っておくのが面白いと思い、結局これをオーダーしたわけです。

 

この時期はオーダーが混み合っていたそうで、約1ヶ月の納期を経て手元に届きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

以前購入したイヤフォンケーブル、SHP-001は廉価製品のためか保証期間は3ヶ月だったのですが、レギュラーモデルであるSTD001HPは12ヶ月保証が付いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

EL-8のようなゴツいヘッドフォンを持ち歩くことはまず無いだろうということで、今回は6.3mmステレオプラグでオーダーしました。ケーブルは1.3mだと普段の位置からほぼ動けないため、2.5mとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

保護カバーがかかった状態ですが、EL-8シリーズ最大の難点となる平形端子がこれです。実はBriseAudioさんでも、この端子でオーダーされたことは今まで無かったようで…。念のため部品と極性の配置情報は持っていたので、制作可能だったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

木製スライダーと、6.3mmフォーンプラグは他の製品でもお馴染みのものです。

 

更新: 2020/10/01
総評

オーディオ的には確実に向上する

実はこのケーブルは納品後まもなく、一度修理に出ています。片側の端子で接触不良が発生してしまったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

原因はこの平形端子によるもので、ハンダ付けされている部分付近の強度が不足していたようです。ここでサポートの方とやりとりをして、実は現物と合わせたことが無いという話を聞いたわけです。

 

そこでこのケーブルを返送する際に、EL-8 Open Backの本体も合わせて送り、現物合わせで再調整していただいたのが現在の形となります。

 

 

 

 

 

 

 

写真では判りにくいのですが、端子の根本付近の厚みが増していたり、触ってみると改善点が判ります。

 

 

この状態で音質の評価も行います。FOSTEX HP-A8との組み合わせで聴きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、BriseAudio製ケーブルらしく、特定の帯域の強調感などは無く、解像度が高くフラットなHi-Fiサウンドという印象を受けます。

 

ただ、同時にEL-8 Open Backの音質的な癖が強調される部分があります。付属ケーブルと比べると中域の特定の帯域が持ち上がっているように聴こえるのですが、これは付属ケーブルで目立たなかった癖がSTD001HPによりはっきりと表れるようになったと解釈するべきでしょう。

 

STD001HPの方がレンジの広さが感じられるのですが、付属ケーブルはやや狭い帯域の端の方に少し強調感を持たせて、結果的に持ち上がった中域が中和されるように上手くチューニングされていたことが判りました。

 

結論としては、ケーブルそのものの実力は付属品より数段上。ただ、ヘッドフォンとの組み合わせによる総合力としては付属品にも相応の魅力はある、ということになります。

 

それでも、オーディオ的な正確さなどの要素は間違いなく向上しますので、導入の価値はあったと思います。そもそも、Audeze純正で用意された、SONY PHA-3用バランスケーブル以外で、EL-8シリーズ用のアップグレードケーブルが存在しているというだけでもありがたいわけですから。もっとも、ひょっとするとSTD001HP for Audeze EL-8は世間にこの1本しか存在していないのかもしれませんが…。

  • 購入金額

    18,900円

  • 購入日

    2020年07月22日

  • 購入場所

    BriseAudio直販

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