所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。歌を歌うとき、自分の声を変えず感情を込める歌い方と、声音まで換えて曲に入り込むタイプとがあります。そのうち後者を得意とする歌い手の、より幅広い声音が味わえる2ndアルバムをご紹介します。
ゆめこ。歌い手。彼女の特徴としては、確かな音程やきれいな声音といった一般的に歌い手に求められているものに加え、学生時代から演劇をたしなみ、声優事務所に受かったこともあるというその経歴から、清らかな声からゲスい声、娼婦のような色気がある声からショタ声まで使い分ける七色の声音と、歌に物語を付け加える「演じ歌い」が有名だが、1stアルバム
はそのあたりはやや封印した形で届けられた。
アルバムとしては、極端な演じ歌いがない分統一感があったが、「歌って演じてみた」系から彼女を識ったcybercatとしては、若干物足りなかったのも事実。
そんな彼女が3年ぶりに出した2ndアルバムが“Good Night”。「演じ歌い」は相変わらず封印だけれど、彼女の声のヴァリエーションはより広く楽しめる内容になっている。
ちなみにこのCD、2枚組になっているが、ともに5曲ずつの収録で、全ての曲が3~5分少々の曲なので、1枚で収めようと思えば収まる量。
ただ、白と黒に塗り分けられた2枚のディスクに入っている曲はそれぞれ風合いが違っていて、「あえて」分けているのだと思われる。
イギリスのバラッド「Scarborough Fair」で幕をあける1枚目の白い盤に収められた曲達は、どちらかと言えばクラシカルでリズムが明確ではないものが多い。ゆめこの歌い方も、吐息多めでささやくような優しい歌い方やファルセットを使った透明感ある声が多い。
その「Scarborough Fair」は、いわゆる「サイモン&ガーファンクル版」だが、ハープとトライアングルのような音とで幻想的に進むバックに、ゆめこの深みのある声が載る。「聖なる」という感じの雰囲気が良い。
ラストの「Good Night」は、ゆめこのオリジナルで、伴奏はピアノのみのミディアムテンポの曲で、歌い方的にはクラシカルな雰囲気だが、造りはポップス~フォーク系の楽曲の造りなので、上手く2枚目の橋渡しとなっている。
黒いDisc2はボカロ曲やJ-POPが収められていて、ややリズムの存在感が増している。とは言っても、ピアノの他にパーカッション(カホンやコンガなど)+ベースが入る程度なので、ビートが効いているという程ではない。こちらはグンと力を増したゆめこの芯のある声が楽しめる。
出だしの「ライムライト」は、蜂屋ななしによるボカロ曲だが、ジャジィとは言うものの、ややサイケな感じに歌われる元曲に比べて、このヴァージョンはやや遅めで、伴奏はパーカッシヴなピアノ+ベース+カホンでとてもオシャレ。元曲より遙かに好きだなぁ..スキャット風の中間部や転調して盛り上がるラストなどはゆめこの素敵な声に酔える。
ラストの「月のワルツ」は以前ここでもレビューした、
諫山実生の歌う「みんなのうた」のために書き下ろされた曲。幻想的なアニメーションと軽く歌う諫山の歌声で人気を博した曲だが、ゆめこはより深い声で歌う。コンガを中心とするパーカッションとピアノ+ベースでより「砂漠感?」が出ている感じ。
自分としてはDisc2の彼女の声の方が、より好きではあるけれど、1枚目の尊い感じの歌い方も良いな、と。
自分としては、彼女のショタ声(←1コーラス目と2コーラス目の落差がスゴイ)も好きなので、ぜひ3枚目は演じ歌いも聴きたいなーとそれを待ちつつ、このアルバムを堪能してます。
ディスクには「喪に服すとき」のヴァイオリンのクレジットが記されたカードが
購入時に端数を切り上げる形で少しBoost(寄付)したので、お礼のカードが。
【収録曲】()内オリジナルアーティスト
<Disc1>
1. Scarborough Fair (Simon & Garfunkel版/イギリスバラッド)
2. Viator (rionos/映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」主題歌)
3. cloe (山本千夏/「地球少女アルジュナ」挿入歌)
4. 喪に服すとき (ハンバートハンバート)
5. Good Night (オリジナル)
<Disc2>
1. ライムライト (初音ミク+GUMI by 蜂屋ななし)
2. Lemon (米津玄師)
3. プロトディスコ (v flower by ぬゆり)
4. Departures〜あなたにおくるアイの歌〜 (EGOIST)
5. 月のワルツ (諫山実生)
ゆめこ2ndアルバム“Good Night”クロスフェード
聖なる感じ~ジャジィで小洒落た感じの声まで楽しめる
ゆめこの「幅」としてはまだ「全部」ではないけれど。
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購入金額
2,635円
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購入日
2019年09月11日
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購入場所
ゆめっこSHOP(BOOTH)
北のラブリエさん
2019/10/07
アレンジも声を聞かせる感じでうるさくなくて。
白と黒ってのがQueenⅡを思い出しますw
cybercatさん
2019/10/07
ちょっと試聴版短すぎてイイトコロまで行ってませんけど。