現在メインPCに接続しているFOSTEX HP-A8には、電源ケーブルとしてOrtofon 7N-PSC 2.0Sという製品を組み合わせています。
中古で買っていることもあり、実売価格こそ手頃なものの、汎用の電源ケーブルとの比較では明確に音質が向上する程度の効果はあり、これまで愛用してきました。
しかし、私がここで使っている7N-PSC 2.0Sは1.5mのものなのですが、HP-A8とタップの間はさほど離れておらず、1m以下でも充分接続は出来ます。できれば1.5mの7N-PSC 2.0Sは他で使いたいということで、これに代わるケーブルを何か探して、入れ替えようと思っていました。そこでたまたま見つけた、このEx-pro AC-1を取り敢えず使って見ることにしたのです。
パッケージの表面には「AC Cable for Audio」としか書かれておらず、裏面のバーコード部分を見ると製品名が判るようになっています。
プラグ及びコネクターは、いずれも定評あるAET製のものが使われています。いずれも3千円前後で単売されているものです。
ケーブル部分自体はEx-pro独自設計品であり、構造及び特徴は同社の製品情報ページに記載されています。1mで標準価格14,000円(+税)ですから、オーディオ用の電源ケーブルとしてそれほど高価な製品ではありませんが、表記スペックは価格帯の割に充実しているという印象です。
PSE-018HGのプラグ部分は真鍮製だと思っていたのですが、AETの製品情報を調べてみると金メッキだったようです。まあ、ここはそれほど拘りがあるわけではありませんが…。
整っているが、やや面白味には欠ける
それではHP-A8で、元々使っていたOrtofon 7N-PSC 2.0Sと比較試聴してみましょう。なお、7N-PSC 2.0Sはその製品名から判る通り2.0SQ、AC-1は3.5SQですので見た目にはかなり差があります。7N-PSC 2.0Sは、見た目だけなら機器の標準添付品とさほど違いが無いように見えますので…。
まず、7N-PSC 2.0SをAC-1に付け替えてみると、明らかに変化するのが低域の重量感と力感です。ベースの音がより深く沈み込み、またバスドラムのアタックもより明瞭になります。また、高域方向もより緻密に表現されるようになります。
しかし、その反面音場は7N-PSC 2.0S程には拡がらず、やや狭い空間の中で密度が濃く描写されるという印象を受けます。また、間接音や響きという要素については、AC-1の方が少なくなり、直接音が強く表現されてきます。
例えば「Earth Song / David Garrett」を聴いてみると、ヴァイオリン(厳密には電子ヴァイオリン)の音はAC-1の方が明瞭に表現されるのですが、ややきつさを伴ってしまう感覚があります。程良くエコー成分が乗ってくる7N-PSC 2.0Sの方が聴きやすく感じられるのです。
「Green Flower Street / Donald Fagen」では、ハイハットの明瞭さや緻密さはAC-1の方が上なのですが、これもヴォーカルに付いているエコー成分が7N-PSC 2.0Sの方が明らかに多めに表現されます。
また、低域も高域もより明瞭なのはAC-1であるにもかかわらず、何故かスネアドラムのアタックにキレが感じられるのは7N-PSC 2.0Sの方でした。
オーディオ的に優秀なのは間違いなくAC-1の方なのですが、改めて比較してみると7N-PSC 2.0Sにもこのケーブルならではの魅力は十分にあることは理解できました。とはいえ、物理的な長さの問題がありますので、今回はこのままHP-A8にはAC-1の方を組み合わせることになりますが。
新品で購入しても1.5万円以下のケーブルですから、その価格帯としてはAC-1は充分によくまとまった製品であるといえます。ただ、今回の購入価格で無ければ、もう少し評価は辛くしていたかも知れません。
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購入金額
5,400円
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購入日
2019年05月25日
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購入場所
HARD OFF
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