MM型カートリッジ DENON DL-109D 1978発売 定価22000円
DENONにはDL-103というレジェンドクラスのMCカートリッジがあり、その機構をMM型のカートリッジに応用して、円形マグネットやダンパー、テンションワイヤーを組み
込み製造されたのがDL-107 , 次世代が今回のDL-109シリーズ・カートリッジです
従来はMMカートリッジはゴムダンパーだけでカンチレバーを保持し、高級機にはテンションワイヤー(レコード針が動かないようにワイヤーでカンチレバーを固定します)位でした。 DL-107, DL-109シリーズはサマリウムコバルト円盤状マグネットとゴムダンパー、テンションワイヤーでカンチレバーの支持を明確にしたものです テンションワイヤーは簡単なものでは鋼線で後部に半田付けですが、凝っているものはネジ止めもありました DL-107交換針はネジ止めですが109は交換針ホルダーを挿すタイプです。
ビニタイでロックされたピラミッドパワーですが手間が掛かっています
DL-109はDL-107の発展型ですが円盤状マグネットとE字型コアで磁気回路を構成されており、新たにDL-109では4コイル12ポールを採用し、ダブル・プッシュプル方式としています。これによりコアに発生する磁性の直線性に優れた領域を2つの直列についだことになり、直線性の拡大と歪の低減を実現しています。また、マグネットの磁力線を無駄なく利用しているので高感度となっています。また、1つのコアでコイルの巻線を2倍にすると出力インピーダンスが4倍になりますが、この方法では2倍で済み、誘導雑音や高域の周波数特性に有利となっています(オーディオの足跡さんからのコピーです)
MMカートリッジですが発電するコイルも凝っています その為か本家MC型DL-103よりも高価な
カートリッジとなりました このコイルは左から L- , R- , L+ , R+ とシリーズ接続になります
このコイル構造は作る人には苦しみの製品だったでしょうね コイルを先に作って、コアに差し込んだのか、1からコイルをコアーに巻いていったのか知りたいものです コイルを作ってコアーに差し込んだのかも知れませんね (SONY XL-15はそうだったが 普通のMM型カートリッジは殆どコイル組み立てをポールに嵌め込むタイプと思います) 。
針先が取れていました アルミのカンチレバー肉厚が薄いので腐食しやすいのです テーパータイプとか2段構成で繋いだカンチレバーは肉厚が薄く折れやすいです
最初に交換した針(左) 右はZ-1Sの針を加工して試聴してみました
↓ダンパー(本来は緑矢印の所でマグネットの左に付きます)は画像に写っていないのでカンチレバーを抜いた時に針スリーブに残っているようです この針先は無垢針で使いたかったのですが”飛んでイスタンブール”になってしまい違う針を使っています その後確保...
↓画で緑矢印はテンションワイヤー(ピアノ線?)でマグネットにつながっていて針先の振動でフレキシブルに カンチレバー、マグネットが振動します 緑矢印の左側はスリーブに収まってネジ止めされて固定されます
拡大できます
DL-109D : 特殊楕円針 22000円 1978年
DL-109R : 針先には曲面半径0.65ミル=16.5ミクロンの丸針 18000円 1978年
こちらの針はZ-1S系改造 正規針改造後 ちょっと傾いています
今回は針折れの交換針を修理した物と、Z-1の交換針を加工した物を使いました Z-1の針も差込はやや緩いけど音はでます。
PART1 折れた部分に手元に有った針を接合
高域がかなり上がっています... オリジナル針を継ぎ針加工版
高調波 かなり少ないです
元々CD-4対応で50KHzまで再生するので20KHz付近を上げてそれ以上はだら下がりという具合ですね http://tvpc.jugem.jp/?eid=5
DL-109R(丸針)
定格
PART2 Z-1S針が差込み可能なのでサイドカット再生実験
こちらも高音が上がっていますが此方が聴きやすいです Z-1S加工針版
オリジナルに比べて平坦ですが分離度は良くないようです
再生してみて
Z-1S交換互換針では高域は押さえられているようで聴きやすいです 最初のほうの針は高域出過ぎで
チリチリします 高音の出ない?レコードには良いかも?
音質的にはデフォルトでも高音が上がりすぎますね CD-4のために50KHzまで再生する要望があった所為か高域再生(スペックでは35KHz迄) に重点を置いていたようです 低音はさらっと出ています歪は少なくてボーカルは聴きやすいです。従来のカンチレバーの後部にマグネットがくっついている物よりも歪がかなり少なくて聴きやすいですね。
針(テンションワイヤー)を固定している、もの凄く小さなビス、閉めるときはカンチレバーを奥にしっかり差し込んでダンパーを抑えるように締めないと低音が出なかったり、針を下ろすと「びょーよ~ん」となったりします ネジが緩んでダンパーが固定されないとマイクのハウリングみたいになる ← ダンピングが効かない MCカートリッジでマイクのハウリング様音声が出るのはたぶん緩みです
今でもJICO社から交換針購入は可能です 2種類あります
PART3 初期に失くした針が見つかった 取り付ける
その後、絨毯を粘着テープでSWEEP 探して針を見つけたので変更しました
2回めの針交換後...
針圧変化に対する周波数特性
WaveSpectraでキャプチャーした画像 Reaperで撮ったものとほぼ同じ
針圧 1g 1.5g
2g 2.5g
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PART4 交換した針を再調整 ダンピング効果大?
最終形態 (針を奥に押し付けてネジ固定、ダンパー効果を上げた結果です)
針圧1.5g 高域の上がっているのは如何にも取れませんね カートリッジ本体のコアーやコイルの特性ですね
1KHzに対して10KHzは15dB UPしてます 上がりすぎていますよ...
交換針を最終形態 のもので聴いた音質ではピークが10KHzに移動した所為かきつい高音のチリチリした音は出ません 高音は明快、歯切れの良い音ですが強めです、低音も出ていますがやや軽い押し出し感というべきで、重厚な低音ではないです ボーカル曲を聴いても歪の少なさは驚きです レコード内周でも歪まないですね。
ボーカルも聴きやすいし、高音が強めですが、凛とした再生音で、高音も低音も充分出ているし、それでいて音声は明瞭 素晴らしいです MM型を超えた音質?で不思議な感じのカートリッジですね 4コイル12ポールE字型コアの導入が良い結果になったものと思います アンプのプッシュプル回路でクロスオーバー歪みを打ち消すようなものなのか
(バイアス不要ですが...)。
PART5 確認でもう一度、針を交換してみた。
下図で高域が上がるのはピークを可聴帯域外へ押し出せば良いのですが、そこが難しい...カンチレバー共振周波数を可聴帯域外へ押し出す方法が如何すれば可能なのかは判りません Qダンプするということでダンパーなのかな、カンチレバー(テーパー、長短)なのか、或いは楕円針か、材料も無いので不明です JICO製の新しい針を購入すれば済む事なので(元々の性能なのか、結果がわかる)一旦中止 普通に聴こえるし....弄っても変わらないので元々こういう性格のカートリッジみたいです。あまり弄っていると壊しちゃいそうですから...
赤い線が周波数特性 緑線はノイズです
完全に言い訳ですが....ネットから... オリジナルでも20KHzで5dB位は上がっている
数箇所のブログから画像、文章をコピーさせていただいています 申し訳ありません。
↓今回使ったレコード針....新古針 無垢針では無かったです
2回目に使用した針
最初に使用した針 接合丸針
最終的には此方に落ち着きました
最終版SWEEP波形測定使用機器
2018-10-9 誤記訂正 誤AudioSpectra → 正WaveSpectra efuさんすみませんでした..orz
2019-1-16 TRS-1007 SWEEP波形 UP LOAD
2019-11-30 最終版SWEEP波形
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購入金額
0円
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購入日
2018年頃
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購入場所
通販
aPieceOfSomethingさん
2018/10/09
タコシーさんのカートリッジシリーズはいつも楽しみにしていますが、
今回のはものすごい分量の実験ですね。プレミアムレビューも顔負けのような...。
DL-103はもちろん知っていますが、DL-109と103の関係は知りませんでした。
とても勉強になりました。
タコシーさん
2018/10/09
私の俄カートリッジ探求?を読んでくださりありがとうございます
DL-107,109はDENONらしくなく意外に冒険したカートリッジですね
カートリッジは小さくて場所も取らないし、音が意外に変わりますよね
SPは大きすぎて集めようにも我が家では場所がありません
いろいろやっている内に文章の量が多くなりますね
一日で書くわけでもないので、だらだらやっている内に多くなって取り留めなく
なるって感じですね 文才が無いだけなんですよね...w