プリアンプ 「TRIO L-07C」
人間は耳より眼で見た物を判断することが多いが、オーディオ装置でもデザインが良いと音質も良いだろうと思い込み、デザインが悪いと製品が良くても売れない訳で、人間の外見もそうなのかな 第一印象と優しい女には気をつけろって知り合いが言っていたが...
TRIO(現KENWOOD) 1977年発売 L-07C, SONY TA-E86のハムノイズの修理の為、当アンプを購入しました。 当然置き場所が無いので薄型プリアンプにしました 薄型プリアンプはYAMAHAやテクニクス、SONY , 山水 , LUXMANなどがありますがYAMAHAはヤフオクで割と高く他のも良いものに出逢えなく見つけたのはTRIOでした。
TRIOプリアンプを調べて通販で購入しました 私にとって初めてのTRIO製品です(昔、kencraftのパワーアンプは作ったことがありますが、あのイメージは良くなかった)今回は或るオフ店で購入で機能は正常でしたが、長い年月でだいぶ修理されていた形跡がありました そこで電解コンデンサーを全部交換しましたが数個液漏れしていて足が腐食しているのもありました いつもながらオフ店売買でボリすぎだなと思う。
このアンプはしっかり感というか、材質を贅沢に使っています ツマミもアルミ削りだしでパワースイッチツマミもアルミ材ですね。デザインはメカニック感は無く外観の魅力無し? 測定器か? 前面大きなツマミ 下画像で左からマスターボリューム、テープセレクト、インプットセレクト。 テープREC側でソース音源がREC出力されます マスターボリュームはクリック付きです。
このセットはパワーアンプ接続時低インピーダンス送出のため、GAIN ATTなる物がMASTER VOLとシリーズに入っています ケーブルの長さに影響を受けないように出力側にGAIN ATT VOLを配置し、MASTER VOLの位置でインピーダンス不変にしたのかも つまり音量ボリュームが2段構成です
トーンコントロール BASS,TREBLEは1クリック毎に抵抗とコンデンサーを切り替える方式です 普通の抵抗アッテネーター式?では無いですね...
スイッチ経由コンセントが3個あるのはモノラルパワーアンプを2台接続時、アンプ後部のリモート端子からパワーアンプの電源入り切りが出来るのでコンセントが2個以上必要だったためです。
PHONO1:MM型カートリッジ PHONO2:MC型カートリッジ とPHONO端子が別系統になっています 前面のINPUT SELECT釦で切り替えます レコードプレーヤー2台必要というか、MCヘッドアンプがあれば一台ですが、何でもスイッチ回路を通過させないで信号をダイレクトに回路に送り込みたかったようです その割りにはフォノ端子→内部のコネクター→MCヘッドアンプ回路 とコネクター経由してたら接触抵抗出ちゃうんじゃないでしょうか 聴いても判りませんが。
フォノ端子は金メッキも分厚くてお金は掛かっているようです これが普通なんでしょうが金メッキなの?と見間違う金メッキのメーカーもありますからね
上面ケースは鉄板かと思いましたら磁石が付きません アルミ製の鋳物様で分厚いんですね 極薄鉄板製の現状では考えられないですね この上ケースは左右4本のネジを外して後部へ外す方式です。
後部からの俯瞰図
回路は左右にキチンと分かれています(後部:入力端子側が左CHです) 中央をアース兼用のステーでシールドしています(バスアースと言うらしいです)全体に作りが剛健です 鉄板も厚いしガッシリ作られていますね 華奢なところが無く立派です。
コンデンサー類はオリジナルでは全てELNA製です
青いのはトーンコントロール切り替え用のタンタルコンデンサーです
抵抗とタンタルコンデンサーはトーン回路のスイッチで切り替える各周波数対応の素子です
電解コンデンサーが3個交換されていました
底面から見たところ 左から黒いATT , BASS , TREBLE , MASTER VOL , TAPE モニター 、ファンクションセレクト 、黒いATTの左のシャフトはサブソニックフィルタースイッチ
金メッキのフォノ端子から入力信号はハーネス経由で基板のコネクターに繋がります 此処はコネクターはあり得ないと思いますが(下図 右下)
電源トランス出力配線周りとヒューズ 右はAC-OUTLET関連 むき出しですね
黒いGAIN ATTは2軸なのでシャフトが太いです
黒いGAIN ATTと左から4個目のMASTER VOLは本来のボリュームですが他はロータリスイッチです
奥:ファンクションスイッチ、手前 : テープモニタースイッチ(デッキ2台でダビングなども可能)
スイッチ切り替えバネを見ると切り替えにトルクが必要な感じです 大型ツマミも必要な訳です。
オーディオラックのプレミアムレビュー来ないかなぁ~...
真面目に誠実に作られたアンプですが、使う楽しみという点では不満があるかもしれないですね オーディオは趣味なので毎日使う楽しみ(音がよいとか、デザインが良いとか
、ギミックが沢山あるとか)が無いと使うのが楽しくないかなと思う 丸いツマミばかりだし、電源ランプ(LED)が赤く点くだけ。それとフォノ入力端子がMC,MM専用と言うのもいただけないですね それはやり過ぎと言うか考え方次第かな。
OVER-ALL CHECK
其処で古いアンプなのでカートリッジからの周波数特性は大丈夫かいなと測定器で
簡単に測定してみました 使った機材は以下の物です。
1.周波数特性 efuさんのスペアナソフトWaveSpectraを使ってF特を計測
①アンプのMMフォノ端子にSWEEP信号(20-20000Hz)をSWEEP入力して、REC-OUT端子からPCでWavespectraを使いwaveファイルに録音して再生したのが下画像です RIAA回路を通しているので低音がUPしてます
(40HZ前後はゲインが上がりすぎて録音が難しいです)
上のWAVEファイルをWaveSpectraで再生したところ
フリーソフトAUDACITYのエフェクト--イコライゼーション--RIAA特性--反転で下のグラフにします B図
A図のファイルをB図の反転RIAA特性を通すと以下のWAVEになります。
結果
C図をWaveSpectraで再生すると以下の画像になります 20-20000Hzはフラットのようです
PHONO1-→ RECOUT 間の周波数特性
② PHONO1 → プリ-OUT 端子間でPHONO1にSWEEP信号を入力して、WAVE録音→逆RIAA変換しWaveSpectraで再生し、フラットか否かを確認する。
PHONO1(MM)にSWEEP信号を入力、 プリアウト端子で計測 (手順は上記同一)
結果②
100Hz付近のSWEEP RIAA特性は低域を持ち上げて再生するのでノイズも持ち上がります
2. 歪率 PHONO1から1KHZを入れてプリアウトで計測
下画像、黄色い矢印が高調波の歪率 オレンジ矢印は全ノイズ
歪率0.19%ってどうなのか? 仕様では0.003%ですので機材、測定がNG?
後日リトライ? 計測用の測定器も無いし色々試行錯誤。
発振器の歪率が0.8%以下なので0.2%は信号源が駄目なようです 後日、別の形で やってみようと思います。
2018-3-7(SAT) 再歪率測定
手持ちの発振器は歪率が悪いので、隣のPC上でWAVE GENというefuさんのソフトで発振させてアンプに入力して別PC上でWaveSpectraを動作させて測定してみた
結果 0.07% (仕様は0.003%) 素人測定なのでこんなものか...高調波だけの歪率
PHONO1に入れたので若干発振気味 良い値を取った。
結果----FLATな特性みたいで十分かと思います。
SONY TA-E86を使ってきましたがMCカートリッジのみハムノイズが出てきたので(もともと?)修理のため今回のアンプを購入しました ノイズ修理は難しそうです。
後日判ったが、原因はDL-103D(2個目)がコイル間でリークしていた 再生は可能なのに。
更に後日判ったのは、ハム音の原因はSTAXヘッドホンの電源トランス電磁漏えいが物凄く、それをカートリッジで拾っていたのが原因で、アンプから離したら正常になりました なんてこった 2年くらい悩んでいたのですよ。
音質 : SONY TA-E86と比べて繊細な音が出る、セパレーションも良い感じはします
あくまで感じですが。 音も柔らかい感じはします アンプは比較が難しいかな。
操作感: ロータリースイッチ類の操作がぐにゃぐにゃしてスパッと決まらないので
そのFEELINGがいまいちですね 音楽を聴くぞと思うときにぐにゃぐにゃでは
いけませんね ヤマハは操作感が軽すぎたけど(CA-1000等)、その点ソニーは
カチッと決まっていて良いですね よく練られています 下請けの部品業者は
大変だったはずですよね。
2021-4-1 記
その後、回路内に使っている信号用コンデンサーとリレーを交換してます
シャーシーフレームの下にリレーが在ったり、なかなか難敵でしたが昭和の ど根性でやり抜いたのです 1000μFコンデンサーは大きすぎて立てられず寝かせましたけど何時か再交換したいです 最近、サンバレーのSV-EQ1616D 真空管フォノアンプを組み立て使用しているので、半導体アンプ系は殆ど使用していませんのが少し残念です。
交換したコンデンサー類は持ち物登録はしていませんが殆どMUSE KZシリーズです。
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購入金額
33,000円
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購入日
2018年頃
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購入場所
ハードオフ
フェレンギさん
2018/04/06
タイトルのTRIOまで読んで TRIODEの真空管か? と早とちりしてました。
この頃のTRIOは L-01AやL-02A などなど 非磁性体筐体に拘って お金のかかったアンプを出していたと覚えております。
故長岡鉄男氏も推奨していたと覚えております。
スイッチや切り替え部が多いと、それなりにお手入れが大変だと想像しますが
仕上げ甲斐に繋がるとも言えますね。
アンスイッチドのACコンセントに、適当なACケーブルを挿入して 電源ケーブル変更による 音の違いを確かめるという術は 如何でしょうか?
この方式なら 切り替えテスト行いやすいので オススメです
タコシーさん
2018/04/06
最近はTRIOと言っても通じないですね 9R-59DやTX-88などの時代が輝いていた感じはします このアンプは真面目に誠実に作られています デザインは野暮ったいですが、部品や筐体には妥協してないですね TRIO(現KENWOOD)製品の購入には無縁でしたが、今頃になって中味を知った次第です 後々コンデンサーなど交換していきたいです。
電源ケーブルの音の変化ですか....このアンプは電源ケーブルには奢っていなくてちょっと細い電源コードです しかもやたら汚れが染みこんでいて拭き取りに大変でした
自分の部屋の電源の引き回しが多くて多分ノイズだらけです マンションですし、此処まで電源が上がってくるまでに息切れしてると思います 100Vあるかどうかが問題です。
コードの音質チェックは100Vに痺れると嫌なのでパスさせてください...w すみません...
そう言う楽しいことはフェレンギさんにお任せしますよ....オヨヨ!
jive9821さん
2018/04/06
L-01Aなどはこの思想がより徹底していて、筐体が木製(フロントパネル等は樹脂)となっていました。もっとも。40年近くも経過すると蓋部分のパーチクルボードが劣化してしまい、軽く力をかけただけで凹みが出来てしまうほど脆くなっていますが…。
タコシーさん
2018/04/06
非磁性体のケースなんですか..鉄を排除ですか 凝ってましたね で、シールドはしないと行けない訳ですけどね アナログそのものですね、デジタルの今じゃ考えられないです すごくきめの細かい事をやっていましたね 日本的です 当時の開発者は特徴を出そうと色々苦労してたんですね このアンプもトーン回路の素子を周波数毎にスイッチで切り替えていたり懲りすぎです スイッチ切り替えなのでトーン回路をスルー出来ます
パネルやケースは物量投入で儲かっているのかなと言う疑問はありますね 使わないから廃棄というのは勿体ない機材ですね デザインも素っ気ないですが慣れもあるんでしょう。
ちなみに電源ON表示は当時では珍しい赤いLEDです 目立たないですが。