先に書いた通り、約3千円というケーブルではありますが、純正のケーブルと交換すれば明らかなアップグレードが見込めるだけの実力を持ったケーブルであることは間違いないと思います。

早速HD650の純正ケーブルから、このケーブルに差し替えてみました。

断線した古い方と比べると、まだややアタックに対する反応が鈍い気もしますが、これは使い始めだからでしょう。前回の購入時も使い始めの音は少し眠かった気がします。

ただ、そのような状態であっても、純正ケーブルとはそれなりにはっきりとした差が表れます。やはり低域方向の解像度や深みは間違いなく向上しています。今聴いている「Hotel California / Eagles」でも、曲序盤のバスドラムの音の深さが全く違っています。

純正ケーブル比で音場の広さそのものはさほど変わっていないと思いますが、分解能の差が大きいのでしょう。全ての音がきちんと分離していて、エコー成分もきっちりと表現されるようになりました。LPから起こした「I.G.Y. / Donald Fagen」では、この曲の圧倒的ともいえる緻密な音作りが充分に堪能できるだけの力があります。純正ケーブルではこの曲は聴いていてそれほど凄さを感じられなかったのです。

有名ブランドの対応ケーブルでは、少なくとも2～3万円払わないと買えないものばかりであることを考えれば、約3千円で純正ケーブルより明確に音が向上するこのケーブルの存在価値は極めて大きいものがあります。Amazonのマーケットプレイスで購入する程度しか入手方法がないのは弱点ですが、HD650等をお使いであれば、1本持っておいてまず損はないケーブルだと思います。