一応リケーブル対応品ではあるものの、専用規格コネクターであるためにケーブルの選択肢が狭いオーディオテクニカ製イヤフォン、ATH-IMシリーズ。現在は後継のATH-LSシリーズが発売されていますが、このATH-LSシリーズとも別形状という、何とも困った仕様です。
もっとも、誤解の無いようにいえば、ATH-IMシリーズの端子形状は耐久性や取扱の簡単さという意味では、広く普及するMMCXよりはずっと優れています。ある程度普及していれば良く出来た端子といわれていたでしょう。
そんなATH-IMシリーズ向けの数少ないサードパーティー製ケーブルの一つが、このG&V IM-NIELLOです。恐らくATH-IMシリーズ向けのリケーブルとしては、もっとも実売価格が安いのがこのIM-NIELLOではないかと思います。
ケーブルは細身かつ柔らかいもので、取り回しは良好です。ATH-IMシリーズの標準添付品はSHURE掛け用の形状に固定されていますが、このケーブルにはワイヤー等は無く装着の自由度は高くなっています。
純正ケーブルよりは情報量が多い
それでは、ATH-IM02で標準添付のケーブルと音質を比較してみます。
プレイヤーとしては、ポータブルアンプであるONKYO DAC-HA300を使いました。
試聴ソースは、Chicago XXXVI "NOW"などの、LPから起こした88.2KHz/24bitのWAVを中心としています。
標準添付のケーブルと比較すると、明らかに中低域の密度感が向上します。ATH-IM02自体は高域寄りで少々細身のバランスなのですが、このケーブルとの組み合わせでは中低域の厚みが増すため、音場の密度が向上します。純正ケーブルで失われていた低域方向の情報が、いくらか復元されたように感じられます。
その反面1~4KHz辺りは標準ケーブルよりもやや少なくなり、結果的にはフラットな方向に近づいているといえます。ATH-IM02の性格上、低域の重量感のようなものはそれほどありませんが、多くのソースをそつなく鳴らす方向に変化しますので、普段使いにはこのケーブルの方が合っているのではないでしょうか。
もっとも、以前ONKYO DP-CMX1のプレミアムレビュー時に自作したバランスケーブルのような劇的な変化というほどでは無く、あくまで純正ケーブルの性格を保ったまま低域方向が充実したという音です。
ケーブルを透明チューブで覆った構造となっているため、タッチノイズも割合良く抑えられている方です。ただ、3.5mmステレオミニプラグがストレート形状のものであり、DAPなどと組み合わせた際に少々邪魔になってしまうのが惜しいところです。コネクター周りの構造を考えても、この状態で持ち歩くと割合短期間でコネクターの根本付近が傷んでしまいそうです。
価格の割に音質面での満足度は(IM02との組み合わせでは)得られますし、タッチノイズへの配慮もありますので、3.5mmプラグの仕様を除けば高く評価して良い製品です。L字プラグであれば文句なしにお薦め出来るところです。
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購入金額
1,830円
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購入日
2017年06月10日
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購入場所
Amazon
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