レビューメディア「ジグソー」

毎度お馴染み針折れジャンク

私は基本的にMCカートリッジ愛好者ですが、時々気が向くとお買い得度の高いMMカートリッジを買うことがあります。何といっても代表例はSHUREの名機V15 typeIIIで、針折れジャンクは1,080円、純正MR針付きは11,000円でそれぞれ入手しています。

 

 

 

 

 

 

 

そして、このV15 typeIIIと組み合わせるべく、主にJICO製の交換針を色々と買いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

V15 typeIIIは探している知人もいるので、まだまだ格安品を買うつもりでいたのですが、探していてふと目にとまったのが、V15 typeIIIの次世代となるV15 typeIVのジャンク品でした。

 

V15 typeIVは一応後継という位置付けで発売されたのですが、それほど人気が出なかったことが影響したのか、V15 typeIIIと併売され続け、元々V15 typeIV向けに開発されたMR針がV15 typeIII向けにも用意されていたわけです。

 

そのV15 typeIVですが、typeIIIの純正針仕様と比べれば中古価格は落ち着いていますが、元々MMカートリッジとしては高性能かつ高級な製品であり、普段はそこそこ良い値段が付きます。しかし、私が見つけたジャンク品は3,300円となかなかお手頃でした。V15 typeIV向けの針を持っているわけではありませんが、その値段を見るとつい買ってしまいます。

 

 

 

 

更新: 2023/10/23
総評

typeIIIよりも「普通の」高音質

一応上の写真のように針折れ対策はされて届きましたが、最初から針先はないわけで…。

 

 

 

 

 

 

 

カンチレバーの先端部分だけが脱落している形で、恐らく湿式の針先クリーナーを使いすぎて腐食してしまったパターンではないかと思います。audio-technica辺りは自社で湿式クリーナーを売っていてそれなりに配慮されていますが、海外製の針では湿式クリーナー厳禁のものも結構ありますからね。

 

 

 

 

 

 

 

正面からの雰囲気はV15 typeIIIからはかなり変化しましたね。個人的にはtypeIVのデザインの方が古そうに見えてしまいます…。

 

 

 

 

 

 

 

マウントブロック部がかなり小さく、率直に言ってヘッドシェルに装着しにくい形状でした。typeIIIの方が使い勝手は良いでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

質の良いシェルリード線が余っていませんでしたので、仕方なく定番のaudio-technica AT6101で組み立てました。振動系の軽さを活かすように、ヘッドシェルも剛性の割には軽量なaudio-technica AT-MS11を組み合わせています。

 

 

 

 

 

 

 

 

前述の通り私はV15 typeIV向けの交換針は一切持っていません。実は外装は不格好になりますが、V15 typeIVにはV15 typeIII向けの交換針が使えるという情報がありましたので、今回はJICO製のS楕円針(接合)を組み合わせて動作チェックしたところ、ボディに問題が無いことがわかりました。

 

その上でV15 typeIIIとの音質差について触れておくと、少なくとも私の感覚ではtypeIIIから一足飛びで進化していると感じます。V15 typeIIIは良くも悪くも古い音で、1960~70年代辺りのジャズやアメリカンロックを粘っこくこってりとならすのが持ち味ですが、V15 typeIVはそれよりも解像度や音場の広さは大幅に進歩していて、前述のtypeIIIよりも新しめの1980年代辺りの洋楽が似合う音になります。

 

面白いことにV15 typeIIIでは高域方向のヌケの悪さや濁りが気になったJICO製S楕円針でも、むしろクリアさや爽やかさがよく出てくるようになり、普通にaudio-technica AT150E辺りと並べて使いたくなるような音です。

 

恐らくV15 typeIIIの音が好きな人には素っ気なく感じられたり、味が感じられないということが不人気に繋がったのだと思いますが、どちらがより幅広いソースを高い水準でこなすかといわれれば、間違いなくV15 typeIVの方です。

 

ただ、前述の通り台座のブロックが小さく取り付けが安定しにくいなど、きちんとした音を出すのにそれなりに使いこなしが要求されるカートリッジでしたし、きちんと実力を発揮させられずに低い評価を下した人も決して少なくないと思います。そもそも定番ヘッドシェルのaudio-technica AT-LT13a辺りでは一般的なターンテーブルのトーンアームで要求されるオーバーハング長に合わせるのも難しかったでしょうし。

 

動作チェックとして少し聴いただけではあるのですが、私としては先代の強烈な個性の前にかすんでしまい、正当な評価を受けられなかった不運な名機という印象です。

  • 購入金額

    3,300円

  • 購入日

    2023年10月05日

  • 購入場所

    HARD OFF

11人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • harmankardonさん

    2023/10/23

    MMの針折れジャンクを見つけても,交換針が高価な現在では,購入をためらってしまいます.
    MCの針折れでもそんなに変わらないと思ってしまう,異常な世界になってしまいました.
  • タコシーさん

    2023/10/23

    3.3Kは凄いです ヤフオクでは考えられません
    ヤフオクもメルカリも高値維持で困ります
    珍しいのは転売ヤーの領域ですし、一般人は落とせないですよ。
    やたら高くなったオークションです。
  • jive9821さん

    2023/10/23

    > harmankardon さん

    私もV15 typeIIIの針を流用できると知らなければ
    多分買っていなかったと思います。

    世間一般全てが値上がり傾向ではありますが、
    オーディオ業界、特にアナログ関連は異様な値上がり
    となっていますからね…。
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