お久しぶりのプレミアムレビュー、どうぞ宜しくお願い致します。
さて、今回の「WN-AX1167GR」商品ページを見ると、以下の様な謳い文句が書いてあります。
”新技術「360(さんろくまる)コネクト」搭載で家じゅう電波が届く!
無線LAN 867Mbps(※1)&有線LAN Giga対応ルーター”
最近のルーターは廉価帯でも1000BASE-T&IEEE802.11ac対応は多くなってきましたので、
「360コネクト」がどの位のパフォーマンスを示すのか、調べて行きたいと思います。
付属品は必要最低限。あれ?説明書は?と思ったら詳しい設定はインターネット上で見てくださいとのこと。
セットアップガイド一枚に必要最低限の設定方法が書いてありました。
360コネクトとビームフォーミングを全面に打ち出したデザイン。
付属品LANケーブルはCat.5e。1000Base-Tには対応していますが、
コネクターは一体型ではなく、自作ケーブルでよく使われるプラスチックパーツ。
終端装置との接続であればこれで問題はないでしょう。
比較対象のルーターは以下の二種類。
・NEC ATERM WG1200HS(802.11ac対応、デュアルストリーム)
・ASUS AC68U(802.11ac対応、トリプルストリーム)
計測機器は以下の二種類。
・Broadcom BCM94352HMB搭載ノート(802.11ac-2T2R)
・Apple iPhone6(802.11ac-1T1R)
使用ソフトウェアは「SoftetherVPN Sever 通信スループット測定ツール」
ホームネットワークで完結するため、プロバイダ混雑などの影響を与えません。
サーバーPCはそれぞれのルーターに1Gbpsの1000BASE-Tで接続。
iPhoneの計測にはSpeedtest.netを利用。
使用サーバーはSoftether開発元の筑波大学内から接続された2Gbps回線。
突出して強くはないが、超超高負荷でない限り問題ナシ!
今回テストとしては二種類行いました。
1.安定した通信スループットが有線、無線部分ともに出るか?
2.高ビットレートの無線経由の再生に耐えられるか?
まずは1つ目。
1Gbpsリンクでルーターに繋がれたサーバーと、1Gbps(有線)/802.11ac(無線)で相互に接続し、速度を計測する。
場所として、無線で3箇所、それに加えて有線で計測しました。
まずは家庭内で一番遠い場所。
直線距離にして12M、コンクリート製の壁、木の扉を二枚挟んでいます。
・WN-AX1167GR 143Mbps
・RT-AC68U 250Mbps
・WG1200HS 216Mbps
次に木の扉1枚、直線距離7M。
・WN-AX1167GR 350Mbps
・RT-AC68U 423Mbps
・WG1200HS 298Mbps
最後に目視できる位置、直線距離2M。
・WN-AX1167GR 510Mbps
・RT-AC68U 608Mbps
・WG1200HS 328Mbps
有線1Gbpsリンク(Cat.6)
使用ケーブルはこちら
・WN-AX1167GR 839Mbps
・RT-AC68U 950Mbps
・WG1200HS 950Mbps
以上、四カ所の結果を見ると、
外部アンテナ機種には流石に対抗できていないが、似たような値段帯の内部アンテナ機種と比べると安定して速度が出ている。
有線に関しては、残念ながら、他機種に大きく離される傾向となった。
(遅すぎると思って繰り返しテストをしたが、これ以上は出なかった。)
NGN網内折り返し等を使わないかぎり、ベストエフォート型のネットワークでこれ以上の速度が出ることはまず無いので、十分な性能を持っていると言えます。
1Gbps回線契約なので、ホームネットワーク内ではありませんが、ビームフォーミング対応のiPhoneでもSpeedtestを実行。
上から順に、ASUS近距離、中距離、遠距離、I-O DATA近距離、中距離、遠距離です。
ビームフォーミング、360コネクトはあまり体感できませんでした。
そして2つめのテスト。
先程の測定ツールのサーバー内に置いてある高ビットレートの映像をコマ落ち、バッファ待機無く視聴できるかのテストです。
テスト用の動画の概要は以下の通り。
H.264/AVC High4:2:2Profile 1080p VBR 36Mbps 5分間
音声は1Kのテスト信号(俗に言うカラーバーの音です。)
有線1Gbpsリンクでは停止すること無く安定して再生できました。
802.11ac環境ではどうなるでしょうか。
・WN-AX1167GR
バッファ待機0回、倍速再生時(72Mbps)は7回。
・RT-AC68U
バッファ待機0回、倍速再生時も0回。
・WG1200HS
バッファ待機2回、倍速再生時は100回近く。
結果として、高負荷動画となると厳しい性能でした。
一般的に、地上波デジタル放送が15Mbps程度、NHKBS1で24Mbps程度です。
もちろん再生プレイヤーや機器性能にもよりますが、無線接続の場合、
今後の4K8K放送のビットレートとなると厳しいかも知れません。
初期設定は少し残念。自動設定はうまく働かず。
計測のためにオートモードとして接続した所、APとして認識せず、Webブラウザから設定し直す必要がありました。
とはいっても必要な設定はこれ一度きりで、面倒な設定はありませんでした。
面倒なことになると勝手に想像していたIPv6ですが、そんな心配は御無用、
これからのインターネットに必要とされるIPv6パススルーは一切設定不要で接続完了していました。
小規模の家庭にオススメの一品。
○メリット
・このルーターは、安定した最新規格のWiFiルーターが欲しい、初心者向けルーターの上位機種にあたると考えました。
記事執筆時点での最安値は6970円と802.11ac搭載ルーターでは破格の値段。
ルーター部分、有線部分、無線部分共に平均的な性能レベルではあるが、多くの一般家庭では突出した性能は必要とされないため、コストパフォーマンスを考えるとオススメの一品。
上位機種にありがちな巨大なアンテナも無く、コンパクトに収まっていると思います。
○デメリット
・残念ながら、ガッツリPCゲームをやったり、サーバーを公開するという人、有線1Gbpsのついでに802.11acを導入したいという人にはあまりオススメできない。
・I-O DATAさん自体がLANケーブルに尽力しているわけではないので難しいかもしれないが、ペラペラな被覆のLANケーブル(Cat.5e)が付属なのは少々残念。
BUFFALOは廉価帯でも、質の良いフラットケーブル(Cat.6)が採用されており、I-O DATAの手作り感溢れるケーブルは取り回し、断線可能性を考えても検討の余地があると思います。
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