既に日本では正規代理店が取り扱いを停止したため、新品を入手することが出来ないオーディオアナログ製品ですが、会社自体は継続していることを確認しました。 FBページもありますよ。
私の愛器は、最初のプロダクトであるインテグレーテッドアンプの改良型。
その名も「プッチーニRE」。 REはリモコン対応を意味する記号。
プッチーニは、オペラ蝶々夫人で有名なイタリアの作曲家名。
他にもドニゼッティ、パガニーニ、ヴェルディ、ロッシーニ、ベリーニ。マエストロ等、クラッシクに関係するネーミングを配しているのが特徴。
スタイリッシュな小型アンプや、真空管ハイブリッドCDプレーヤー、セパレートアンプより重たいかもしれない超弩級インテグレーテッドアンプなど、多くの商品が出回っているはずです。
しかし、中古ショップ・Webで目にすることは余りありません。
きっと私がそうしているように、ずっと愛されているからだと思います。
きっと飽きないんだと思います。
たぶん、イタリア製なのに壊れないからだと思います。
そう思う理由をお伝えしたいと思いました。
フロントにはふたつのノブがあるだけ
輸入アンプにしばしば見受けられる、フロントパネルに電源SWを持たない構成です。
裏面パネル3P電源ソケット横に、シーソーSWが備わりますが、普段は操作せずにスタンバイ状態で待機する仕組みです。
AB級動作アンプですので、スタンバイ状態での発熱はほとんど感じませんし、消費電力も気にするレベルではありません。
スタンバイ解除は、ボリュームノブを回すことで行われます。
パネル左端に備わるLEDランプが赤から緑に変化します。 もちろんリレーの動作音も聞こえます。
そのボリュームノブは、低価格アンプながらアルミ削り出しのしっかりとしたもの。
アッテネーター式ではなく、連続可変式なので、その質量を感じながらスムースな操作感を得ることが出来ます。
リモコンは、基盤に取り付けられたボリューム素子をマイナス方向からモーターで駆動する方式。
音量の上下とシンクロする形でツマミもスムースに回ります。
セレクターノブは左右に20度程度だけ回すことができます。 ノブが直接信号経路端子に直結する構造ではなく、電気信号をセレクター基盤に送る仕組みです。
選択先はノブの右側縦方向に並ぶ6つの赤色LEDが示します。
操作感は独特で、バイン・バイン・とバネを感じる不思議なものです。
薄型でノブが少ないアンプという外観から受ける印象とは違い、入力端子のひとつにPHONOがあります。 筐体蓋を開けて基盤上のSWを操作する必要がありますが、MC/MMに対応します。
取説に図解説明がありますが、簡単に完了します。 トップカバーネジを回す手間だけです。
1系統のテープデッキ録再端子も備わりますが、流石に利用する方は少ないかもしれません。
その場合、RCAプラグが並ぶ背面に小さなトグルSWがありまして、それを操作すると、REC出力端子が、通常の入力端子に切り替わります。
スピーカー出力端子は1系統のみ。 太いケーブルを利用する場合は、ラグの用意が必須です。
私はUラグを使ってます。
ヘッドホン端子は備わりません。
オーディオアナログ社製品に共通する 素晴らしいデザインのリモコンが付属します。
これはステンレス削りだしの芸術的なもの。 その重量は実測235g!
人によっては「落とすと割れそう、壊れそう。怪我しそう」と否定的な感想をお持ちになる場合もあるようです。
また、電池(単4・2本仕様)を交換するために、ねじ回しを用意する必要があります。
音量の上下(絞り切ることによってスタンバイ状態になるので電源SWを兼ねる)・音量のミュート
・入力切り替え これらを操作する5つの小さなボタンが備わるだけの構造です。
金属製の小さなボタンなんですが、日本人の感覚なら、裏側からフィルムで押さえるだろうと思えます。 そんな事はしていないので、振るとカチャカチャと音が出ます。
また、電池交換時に上下分割するのですが、その隙間がきちんとしてません。
手作り感満載です。
でも、そこが格好良いと思うんです。
日本の会社では決してGOサインが出ないデザイン・構造だと思います。
単純な操作系が生む意外な効果について
最初は電源SWが裏面にあることに抵抗感がありました。
それまで愛用していたTechnicsのプリアンプSU-A6が、
シーリングパネルを持つ多機能型でしたのでトーンコントロール回路はおろか、
バランスつまみすら備わらない事に不安を覚えながらの購入でした。
でも、それが良かったと思える今があります。
ラックスマンのエントリーモデルに始まり、ビクターやテクニクス、借り受けたパイオニアやトリオ。 それらを手放した(廃棄した)理由は、ボリュームやセレクターの不具合。
俗にゆう「ガリ」や、何度もセレクターを回さないと音が出なくなる事でした。
このオーディオアナログアンプが採用している「ボリュームノブをミニマムに回した時にスタンバイ状態になる」方式なら、電源投入時にボリューム修道部分にカーボンが溜まる心配がありません。
コンティニュアスアナログボリュームは、昨今流行りのどこまでも回り続ける電子ボリュームと異なる、しっとりとした良い感触を伝えます。 ノブの質量も効いているでしょう。
電子式セレクター方式はリレー切り替えと同義ですので、この部分の接触不良とも距離を取れます。
ミュートはリモコン側だけから操作可能です。 リモコン中央部のボタンを押すと、入力経路が遮断される形で作動します。 ボリュームやその駆動モーターに負担をかけない良い設計だと思います。
購入後、あっという間の10年ですが、一切の不具合がありません。
ほとんど使っていないとはいえ、件のリモコンに最初から入っていた単4電池も健在ですし、心配していた液漏れもありません。
イタリア車を愛用していましたので、質感・操作感・製品から感じる情熱などには期待が大きかったのですが、やはり心の何処かでは心配もありました。
嬉しい予想違いです。
フロントパネルは価格以上 リアパネルは価格以下
40ミリ経のアルミ削り出しノブが2つだけ備わる、10ミリ厚のアルミ製フロントパネル。
動作状況を知らせるLEDが左にひとつ、ノブの間に6つ。
赤外線リモコン受信窓がひとつ。
レーザー刻印で目立たぬように掘られた文字。
これがフロントパネルにある全てです。
そのシンプルな外観は、人で云うと年齢不詳。 2万円にも見えますし20万円にも見えます。
ノブに触れたり、重厚なリモコンを見ると、ある程度の価格の商品であることが推察されるでしょう。
天板は黒い鉄板につや消し加工をした後、コの字型に折り曲げただけのものがネジ止めされるだけ。
背面に並ぶRCA端子は金メッキのものですが、特別なものではありません。
1系統だけのスピーカー端子も、また特別なものではなく、太い芯線はラグの使用が求められます。
電源ケーブルは、アンプの価格に相応しい(別売りなら0.5万円程度か)の太めのものが用意されます。 コンセント側も3P 仕様ですので、音質面に配慮された2P 変換プラグが付属します。
今は正規代理店がありませんが、次も縁があれば、と思わせてくれます
満足してます。 音に興味を示されるお客様には、アンプのことだけでなく、逸品館のことやプロケーブルのトランスのことをお伝えしています。
音に興味が無い方にも、多分他のどこにも無いステンレス削りだしのリモコンをお見せすると
話が弾みます。
スピーカーを切り替えたり、MCとMMを繋ぎ変えたり、トーンコントロールを駆使したり は出来ません
綺麗な高音、陽気で明るい中音が楽しめます。
方CH・40Wの小出力ながら、鳴らしづらいと言われ続けたYAMAHA NS-1000Mのウーファーを働かせる事が充分できる低音。 伸びて、そして弾みます。
前のTechnicsSU-A5パワーアンプは、方CH120Wの出力でしたが、この40Wのプッチーニの方が、遥かに豊かな低音を響かせます。
ただ、この低音は(日本で使う環境下では)プッチーニだけで成し得なかったのも事実。
アンプ購入後8年近くを経て、ようやく導入した
200V〜100Vダウントランスの存在があってこそです。
またこのアンプは輸出先に合わせて電圧仕様を変更していますが、
日本仕様は100〜125V指定商品が配給されています。
プロケーブルトランスに備わるコンセントから、ためらわず125Vを選択してます。
プッチーニ導入直後から、それまでより上質な高域と中域、それとステレオイメージが楽しめていましたが、豊かな低音と言えるようになったのは、電源トランス導入後です。
プロケーブルトランスの記事にも書いておりますが、トランス工事前夜に、設置室内に残っていた壁埋め込み調光スイッチ盤を撤去するだけで、明らかな音質向上を感じました。
主に高域の改善でしたが、その場に居た誰もが確認出来た大きな差異です。
そして、ダウントランス導入後に得られた、全体のレベルアップ 特に低域方向への伸長は驚くべきモノです。
当時プッチーニには、スペシャル・エディションモデル(SE)が存在していました。
REが小さなトロイダルトランスが一個装備されているのに対して、SEはダブルトランス仕様でした。
遥かに上質な低音と伸びが得られると書かれていました。
定価ベースではその価格差は8万円と大きなものでした。
その8万円でプロケーブルのダウントランスが買えます。 工事費も含めて充当できます。
そのままでも十分美味しいアンプですが、トランス込みで考えると、総支払額は増えるものの、
得られる音質を考えると、恐ろしいC/P比という表現も許されると思います。
表題に書いたとおり、繋げる事ができるスピーカーは1系統ですし、ヘッドホン端子もありません。
出入力切り替え端子は5(テープデッキを使わなければ6)系統備わります。
MM/MC切り替え可能なPHONO端子があるのは好事家にとって嬉しいところ。
トーンコントロールもバランス回路も備わりません。
でも、お気に入りのスピーカーを音楽性豊かに鳴らすことが出来ます。
100万円のB&WやSonus faberには不釣り合いでしょうが、お気に入りの(上がりの)スピーカーをワンセットだけお持ちなら、この意外に丈夫なアンプも選択肢に入りませんか?
最初は、ちょっと高いかも と思ったけど
スペックを見ても、手に持って重さを感じても、13万円はちょっと高いと感じてました。
でも、重たくて質感の良い、そして他に無い削りだしアルミのリモコンに惚れました。
音にも満足しています。 特にトランスを導入してからは十二分に満足しています。
その上、10年近く一切のメンテナンス無しで、一切の不具合が出ておりません。
見た目のインパクトは弱いし、ブランドイメージも確率しておりませんし、ある種の商品が持つ
「買う行為だけで得られる満足感」からは遠い位置に居るアンプです。
正規代理店の存在しない今日は、中古ショップや個人売買でしか流通しないと思うのですが、あまり見かけることがありません。
きっと私がそうしているように、愛されているのだと思います。
コンパクトだから、邪魔にされていないだけかもしれませんが、、。
もしショップで見かけたら、一度鳴らしてもらってください。
きっと明るくて、楽しい音が出ます。
きっとボリュームにガリは無いと思います。
余計な雑談
2006年のことでした。
地図を見ながら出掛けたのは大阪日本橋にあるオーディオショップ逸品館。
アキュフェーズのプリメインアンプの中古か、できればマッキントッシュの中古を探しに。
Webでも有名な逸品館の社長の案内で、相談・試聴をさせていただきました。
そこで初めて知ったのが、高級スピーカーで有名なSonus faberがプリメインアンプを出していること。 ムジカと名付けられたアンプは、ウォールナットのフロントパネルに、小さな真鍮製と思しきノブが3つ。 MOS-FET仕様の50W。
お店に置くなら、これが格好良いし音も良いとのこと。 ほんとに格好良いアンプでしたが、30万円を越える価格に躊躇していました。
その後、他の店員さんに代わってもらい試聴が続きます。
とにかく逸品館は、音がイイんです。 雑居ビルの一室なんですが、音がイイんです。
その日までに探検した 他の有名ショップとは大違いでした。
アバンギャルドやノーチラスに高級アンプを繋いだだけ、それだけではダメなんでしょう。
例えば、アンプやスピーカーのつなぎ変えに、他のショップならスイッチボックスを使いますが、逸品館では、ケーブルを直につなぎ替える事で対処されます。 スタッフの知識と記憶を頼りに。
スピーカーの奥には無造作に丸められた絨毯が見えました。 音を聴いて最善を尽くしておられるのでしょう。
その日は、愛用機が1000Mであることを伝えると、サイズこそ違いますが、能率と音調が近いPMCの2ウェイを用意されました。 このPMCも良い音でしたね〜。
音楽を聴きながら、お話を続けているうちに「どうしても今日、この店員さんから買ってあげよう」という気持ちが湧き上がってきました。 そんな気持ちになったのは生まれて初めてです。
自分の年齢がそうさせたのでしょうが、それに値するお店の姿勢と店員さんの質でした。
お財布の中身と、ラックのサイズ(DENONの2000番やmarantzは奥行きがありすぎて入らない)
と相談していると、ユニゾンリサーチも候補に上がりましたが、一日中通電しなくてはならないので真空管は断念しました。
もう私の好みの音調は店員さんに伝わっているようで、比較対象に出てきたプッチーニで決まり。
後に、私が友人に勧める形で、前述のソナスファベール・ムジカも、PMCのスピーカーも買ってもらいました。 みなさん逸品館まで足を伸ばして、自分の耳で確認してからの購入ですが、大満足されています。
私はもう5年以上行っていませんが、プロケーブル店舗と逸品館のハシゴをしなけりゃ。
これを見て想像する価格は29800円
定格出力 40w+40w(8Ω)
入力感度 LINE:1Vrms MM:10mVrms MC:1mVrms
入力 PHONE(MM/MC) LINE(4系統) TAPE(1系統)
外観寸法 W445×D365×H85㎜
重量 7.0Kg
これも余談ですが
200万円弱の日本車で革巻きステアリングホイールが装備されているものは少ないと思うのですが、もし存在していたとしても、同じ価格で売られているFIAT500のそれを上回る製品は無いと思います。
もしあるとすれば、やはりイタリア製のMOMOかNARDIのOEM装着でしょう。
ドイツ車なら、革巻きステアリングホイールは300万円を超えたゾーンにしか装備されません。
FIAT500の皮より質感の良い車種を探すと、500万円を越えるものにまで行き着きます。
信頼性、性能は日本車やドイツ車の方が上であることは間違いありません。
でも、人の手に触れる部分の質感や、エンジン音のチューニングはどうでしょう?
イタリア人は人を、そして人生を愛しています。 きっと我々より。
良い音を出すアンプに仕上げたから、細かい調整はしなくて良いよ。
後はスピーカーの置き場所などでこちらに合わせてちょ。
壊れそうな回路は省いたから、きっと長持ちするよ。
そんな事を言われているように感じました。
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購入金額
130,000円
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購入日
2006年頃
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購入場所
大阪日本橋逸品館
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