旧型のiPod/iPhone/iPadで利用されていた、30P Dockコネクター向けのアナログライン出力ケーブルです。出力側はRCAピンとなります。
これだけなら何ということもない製品なのですが、このシリーズは端子形状の違いで
・RCA-RCA
・3.5mm-RCA
・3.5mm-3.5mm
・iPodコネクタ-3.5mm
・iPodコネクタ-RCA
と製品が出ていて、iPodのDockコネクターもオーディオ端子の一種と見なして大まじめに設計されたケーブルとなっています。
導体は単線PSC+(パーフェクト・サーフェス・カッパー+)、ダブル・バランス・非対称配置を採用、端子部には「金メッキ ピュアー “パープル・カッパー” RCAプラグ」を採用など、私の持っている通常のRCAケーブルでこれほどのグレードのものはないほど、凝りに凝った製品です。
それだけに発売当時の希望小売価格は13,000円(1m)という、およそiPod用のケーブルとは思えない、すさまじい価格が付けられていました。iPodユーザーがそんな高価なケーブルをわざわざ買うだろうかと、疑問を持たずにはいられませんが…。
確かに良いが…
まず最初に断っておきますと、星の評価はあくまで今回の購入価格を踏まえたものとなっていて、通常の販売価格であれば間違いなく星は2つ以下です。
今回はヘッドフォン出力時の音質が歴代で最も好みだった、iPod 4G 20GBを久しぶりに引っ張り出してきて試聴用としました。emagic emi6|2mに入力して、そのヘッドフォンアンプでSONY MDR-1Rを鳴らすという環境です。
音を聴いてみての第一印象としては「思ったよりはずっと良い」でした。iPodらしく決してHi-Fiという音ではないのですが、勢いと華やかさがあり音楽を楽しめるというものです。ヘッドフォン端子の印象と基本的には共通の傾向なのですが、低域方向の余裕がぐっと増しますのであまり深く聴かなければこれがiPodの音だとは思えないぐらいに感じられるのではないでしょうか。
もっとも高域方向は質的に劣化が激しく、ハイハットの音などは「Pamela / TOTO」のように本来は質感の高いクリアな曲でも、まるでMIDIの打ち込みのように感じられてしまいます。
中高域に派手さがのるのはこの世代のiPodの特徴ですが、この味付けが聴きやすさにつながる楽曲も少なくはないものの、「君が笑む夕暮れ / 南條愛乃」などではヴォーカルがやけに細身に感じられてしまい、一言で言ってしまえば安っぽく感じられてしまいます。
試聴した結果として最も率直に感じたのは「ケーブルが明らかにオーバースペック」ということです。どう頑張ったところでiPodのライン出力が高品位のオーディオの水準に達しているとは思えず、これほどこだわったケーブルが必要な機器ではないでしょう。Lightningのようにデジタル出力であればもう少し上の音を狙えるのでしょうけど、Dockコネクターのアナログで得られる音の水準には、どう考えても限度があります。2万円前後の機器で使うために1万円を超えるラインケーブルというのは、やはりやり過ぎな気がします。
今回はDockコネクター用のケーブルとしてごく普通の金額だったので満足感しかありませんが、これに本来の価格は到底出す気になれません。
-
購入金額
980円
-
購入日
2015年09月26日
-
購入場所
ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。