レビューメディア「ジグソー」

得られるものは大きいが、やはり高い…

私が普段使っているヘッドフォン、SENNHEISER HD650は元々「バランス接続にも対応できるヘッドフォン」という条件で探した結果購入したものです。

 

 

 

当時はまだバランス接続できるヘッドフォンを持っていなかったこともあり、LUXMAN DA-100に接続して使っていて、バランス接続ケーブルも用意していませんでした。今にして思えば、この時点ですぐにバランスケーブルを用意しておけば、比較的低価格のものも手に入っていたのですが…。

 

現在はバランス接続対応のヘッドフォンアンプは、以下の2台を持っています。

 

 

 

 

 

前者のREX-KEB02AKはバランス出力が2.5mmプラグというあまり汎用性の高いものではなく、バランスケーブルを用意するならRAL-DSDHA2の方かと考えていました。こちらはXLR-12C×2というピン形状であり、他にもこの構成のヘッドフォンアンプは用意されています(LUXMAN P-700uなど高価な製品ばかりですが…)ので。

 

この形状に対応するケーブルは、かつては上海問屋からも出ていましたし、オヤイデ電気からも比較的低価格なものが出ていたのですが、現在はいずれも製造完了品となっていて、今となっては最安値クラスとなってしまった、このiHP-35S-XLR/1.3mを入手してみることにしたのです。

 

もっとも、比較的低価格といってもヘッドフォンケーブルに払える金額とは思えないので、普段CD等を購入するのに利用している楽天スーパーポイントを貯めて、4桁価格で買えるようにしてから購入しましたが…。

更新: 2015/09/15
総評

アンバランスの標準ケーブルとは明らかに違った音

 

 

 

 

メーカーの製品紹介でも強調されている通り、確かに良い仕上げのコネクターですね。もっともケーブル自体の太さはそれほどでもありません。昔ならこのケーブルでこの値段ではかなりの不評を買うことになったでしょう。

 

 

アンバランス、バランス共にRAL-DSDHA2の各端子に接続して試聴してみました。アンバランスはHD650標準添付のケーブル、バランスはiHP-35S-XLR/1.3mという組み合わせです。foobar2000にASIOプラグインを追加してASIO出力で使っています。

 

 

じっくり聴き込むまでもなく、全く次元の違う音であることが判ります。

 

「Chicago XXXVI "Now" / Chicago」は公式のハイレゾ音源やLPから起こした16bit/44.1KHz WAVソースを再生してみたのですが、アンバランスのハイレゾよりも、バランスのWAVの方が遙かに情報量も解像感も上回っています。低域方向の量自体はそれほど大きくは変わらないのですが、力感がまるで違っていて本当に同じソースを再生していたのか思わず確認してしまったほどです。アンバランスの音もそれだけを聴いている分には全く悪くはないのですが、バランスと比べてしまうとワンランク以上あらゆる意味で劣っているといえます。

 

 

 

先日からインナーイヤーフォンの試聴で使っていたソースも改めて聴いてみましたが、「Get Lucky / Daft Punk feat. Pharrell Williams」はベースの音にきっちりと芯がありますし、ハイハットの透明感やキレの良さは私の持っているどのポータブルプレイヤーでも全く太刀打ち出来ないという次元です。

 

 

 

 

基本 的には解像感が高く引き締まった音なのですが、「Vivaldi Vs. Vertigo / David Garrett」のヴァイオリンは美しく響いて全く刺さるような刺激はありません。むしろ今目の前で弾いているのではないかと錯覚するほどに弦の響きが細 かく伝わってくるのです。HD650やRAL-DSDHA2でここまでの音を出せるとは思わなかったというのが本音です。中途半端に解像感の高い機器では 演奏や録音の粗が目立つばかりなのですが、ここまできちんと解像感があると細かいニュアンスを余さず伝えるという印象になってきます。

 

 

 

 

そして先日ハイレゾ音源としての出来に疑問を呈したばかりの「Snow halation / μ's (32bit/96KHz)」ですが、この組み合わせで聴くと印象としてはむしろ地味に感じるのですが、今まで分解されずに固まりのように聞こえていた音がかなり綺麗に分離して、コーラスの声が一人ずつそれぞれ聞き分けられるようになりますし、付帯音が取れて空間全体の見通しが大幅に良くなります。もっとも、そうは言ってもやはり録音やマスタリングにきちんとこだわればCDでも出せる音だとは思いますが…。

 

 

 

ここまで聴いてきたソースについては特に不得手と感じるものはなく、総じて解像感の高いHi-FiサウンドというこれまでのRAL-DSDHA2に抱いていた印象は保っているものの、その完成度がまるで違っています。実売価格3万円程度のヘッドフォンアンプでここまでの音が出るとは全く想像していなかった次元の音があっさりと出てくるようになりました。

 

 

もっとも、この素晴らしさはiHP-35S-XLR/1.3mを使ったからなのか、RAL-DSDHA2のバランス出力の出来が素晴らしいだけなのかは判断できません。このケーブルを入手したことでこのバランス出力の音を体感できたのは非常に有意義だとは思いますが…。

 

iHP-35S-XLR/1.3mの難点はやはり価格でしょう。ネットショップ等で調べた限りでは1万5千円を切っている店は無く、私の感覚ではヘッドフォンケーブルに払って良い金額ではありません。しかもこれが今となってはHD650用のバランスケーブルとしては最安値クラスなのです。もしこれが普段から4桁価格で買える程度の製品であったなら、間違いなく☆5つを付けていました。

  • 購入金額

    16,900円

  • 購入日

    2015年09月15日

  • 購入場所

    ビックカメラ楽天市場店

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2015/09/15

    ADLのケーブルは確かにいいのですが,高いですよね.
    まぁ,サエクよりは良心的ですが,高級ヘッドフォン1台分ですからね.

    私も上海問屋での再販に期待しているのですが,なかなか出ないですね.
  • jive9821さん

    2015/09/15

    >harmankardon さん

    そうなんですよね。今回は半分以上を楽天スーパーポイントで賄ったのですが、それでも正直まだ高いと思っています。ニッチな分野の製品である以上やむを得ない部分はあると思いますが…。

    ただ、一度この組み合わせを使ってしまうとLUXMAN DA-100のアンバランス接続で我慢できるか、少し不安に感じてしまうほどの強烈な印象であったことは事実で、納得は出来ないが理解は出来る高さ、という感覚です。

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