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“feat.初音ミク”どこ行った

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。2010年代初頭、商業音楽界界隈でもボカロ曲が注目され、毎月のように様々な企画アルバムがリリースされました。ボカロ曲はボカロであるだけで、ウリになる...そんな時代に現れたコンピアルバムをご紹介します。

 

EXIT TUNES。フジテレビ/ポニーキャニオン系のレーベル。動画サイトで興隆した新しい音楽をリリースするレーベルで、「歌ってみた系」と「ポカロ曲系」がレーベルの二本柱だった。

 

前者には、ろん、ぐるたみん、灯油、_(アンダーバー)、ヒゲドライバーといったレジェンド級の歌い手さんが所属して界隈を盛り上げていたが、後者にも、40mP、cosMo@暴走P、蝶々Pなどボカロ曲全盛期のボカロPたちが名を連ねた。

 

このレーベルからは、それらスターPたちの作品を集めて、“EXIT TUNES PRESENTS Vocalo~”と題したコンピアルバムが数多くリリースされたが、

本作もそのひとつ。

 

“EXIT TUNES PRESENTS Vocalonation feat.初音ミク”。ただ全19曲の中、8曲しかミクは歌っておらず、ちょっとアルバム名詐欺??ただ、MEIKOKAITOといったクリプトン・フューチャー・メディア第1世代のボカロや、イケメンヴォーカリストGACKTの声をベースにした神威がくぽや、彼が参加している(というていの)ボカロバンドVanaN'Ice(他メンバーは鏡音レンKAITO)の楽曲など、一般に使用頻度が高くないボカロの曲もあり、バラエティに富んでいて楽しい。

 

巡音ルカGUMIという、女声ながら中低域に芯があって「強い」声のボカロを使って、テクノな世界を表現するのはEasyPopの「ハッピーシンセサイザ」。♪ハッピーシンセサイザ/君の/胸の奥まで/届くようなメロディ/奏でるよ/つまらない「たてまえ」や/ヤな事全部/消してあげるから/この音で♪とボカロの機械臭さをあえて消さずに、前面に出したことで、打ち込み!という感じの硬い縦ノリのバックに合った世界が表現されている。

 

名曲「妄想スケッチ」は、40mPミク曲。ストーリー性がある歌詞と、覚えやすくキャッチーなメロディが素晴らしい。特にBメロの♪零れ落ちた空の涙/偽りの雨が/冷たい頬を伝わる/枯れ果てた心の海に/一輪の花が/咲いた ♪の部分がバックの薄さもあって印象に残る。王道のJ-POP路線なのに、意外にクレイジィな音色でアクが強いシンセソロが対比として印象的。

 

切なくて、哀しい詩をミクが切なく歌うのは、黒うさの「リスキーゲーム」。ドラマチックなストリングスの音が、最高。♪最終まであと5分/無くなった口数/「来週またね」なんて声/揺れるコートへと手を伸ばした♪切々とではなく、ちょっと言葉を切り気味に軽めにミクに歌わせたのが、逆に感情が溢れるのをガマンしている感じがして、むしろ切ない。

 

GYARIはの提供曲は、ボーナストラック扱いで、このアルバムに収められた4曲(妄想スケッチ⇒どういうことなの!?⇒(ドラムソロ)⇒千年の独奏歌⇒(パーカッションソロ)⇒Nyanyanyanyanyanyanya!)をセッションする...ことになる寸劇を担当(←こっちがメインではないがウソではない・・・冒頭1分ほどボカロたちの寸劇あり)。曲の「ボーカロイドたちがボカロネイション収録曲をセッションしたようです」は、ジャズ風セッションなので、トランペットソロやサックスソロが入っているが、これらは本来の「GYARIワールド」のジャズバンド編成では「ない」楽器なので、新鮮。演奏中もボカロたちの声が入っているのが、セッションっぽいと肯定的に評価するか、曲を聴くのにはジャマと見るか。歌うのがルカメインというのが、GYARI作品では珍しいか。

 

あと、この“EXIT TUNES PRESENTS Vocalo~”シリーズの初回盤には、色々アイテムが付いているのがお約束で、CD1枚分の厚さの別ケースに色々入っているのが通例だったが、本作には

・クレジット型フェイクカード(アルバム名がクレカのように型押しされたカード)

・ジャケットイラストを男組とと女組に分けた2つのストラップチャーム

・ジャケットイラストのステッカー

がついてきている。

 

自分としてはオマケはウェルカムな方なのだが、一番外の外装剥がすと本体(CD)とバラバラになってしまうのがチョット...

オマケ多いな...これらは左上のスリーブケースには入らない
オマケ多いな...これらは左上のスリーブケースには入らない

 

このシリーズのイラストはイラストレーター左が手がけた
このシリーズのジャケットイラストは、イラストレーターが手がけた

 

GYARIのセッションはいつものメンツ(担当楽器少々チガウけど...)
GYARIのセッションはいつものメンツ(担当楽器少々チガウけど...)

 

2010年代前半を彩ったボカロ曲を手元に置きたいなら、オススメの作品です。

 

【収録曲】

1. Fire◎Flower 2011(halyosy feat. 鏡音レン)
2. 千年の独奏歌 (refine)(yanagi feat. KAITO)
3. Nyanyanyanyanyanyanya!(daniwellP feat. 初音ミク)
4. どういうことなの!?(くちばしP feat.初音ミク)
5. 腐れ外道とチョコレゐト(ピノキオP feat.初音ミク)
6. リモコン(じーざす(ワンダフル☆オポチュニティ!) feat.鏡音リン・レン)
7. ハッピーシンセサイザ(EasyPop feat.巡音ルカ・GUMI)
8. LOVELESS×××(SCL Project(natsuP) feat. VanaN'Ice)
9. 壊セ壊セ(E.L.V.N feat.MEIKO)
10. 妄想スケッチ(40mP feat.初音ミク)
11. リンネ(ハチ feat.初音ミク)
12. 神曲(おにゅうP feat.初音ミク)
13. Blackjack(ゆちゃP feat.巡音ルカ)
14. ハンコウセイメイ(YM feat.GUMI)
15. 藍色の蝶(マチゲリータ feat. 神威がくぽ)
16. レンラクマダー?(ライブP feat.鏡音リン)
17. リスキーゲーム(黒うさ feat.初音ミク)
18. 修道少女と偶像少女(cosMo@暴走P feat.初音ミク)
19. ボーカロイドたちがボカロネイション収録曲をセッションしたようです

  (GYARI(ココアシガレットP) feat. Vocalonation Band)

 

「EXIT TUNES PRESENTS Vocalonation feat.初音ミク」

更新: 2021/09/06
必聴度

ミクにこだわらないなら、数多くのヒット曲が入っていてオトク

2010~2011年頃のボカロ界隈を、ジャンルにこだわらずに集めている。

 

 

でも、「feat.初音ミク」はタイトル詐欺。

  • 購入金額

    880円

  • 購入日

    2021年07月23日

  • 購入場所

    メルカリ

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