EOS Mシリーズは初代を酷評しつつも購入し、ごくたまに使う程度でした。
ミラーレス一眼としては、先に買ってあったSONY NEX-5Nの方が良く出来ていましたし、使い勝手の良いレンズと組み合わせたことによって、EOS Mとは異なりそこそこ使うようになっていました。
初代EOS Mは多少改善されたとはいえ、緩慢なAFが厄介ですし、女性向けのアピールで小ささばかりを追求した結果、撮影する機械としての使い勝手が極めて悪いものとなっていました。AEの精度などはSONYよりもカメラを造り慣れているなという印象は受けるのですが、カメラとしてはお世辞にも出来が良いとはいえません。
後継となったEOS M2はAFこそある程度改善されたものの、基本設計は初代から継承していたため、カメラとしての出来は依然として好ましいものとはいえませんでした。最近安売りを見かけるようになったものの、EOS M2を買おうという気には全くならなかったのです。
そして先日、キヤノンの本気をアピールして発表された3代目EOS Mが、このEOS M3です。
新製品の発表報道を見て、今回は過去のEOS Mシリーズよりは魅力的に見えました。きちんとグリップ出来る形状になっています(そのためかSONYの旧NEX系に少し近い外観となった)し、操作系も電子ダイヤルをメインに据えた、他のEOS(の中位以上の機種)に近いものになっていたからです。
資料を見る限り性能もまずまず良好そうで、価格がこなれたら購入を検討しようという程度の興味は持っていました。
それが何故発売直後に買うことになったのかといえば、台数限定で用意されたEVFキットと、デビューキャンペーンの実施です。詳細はこちらでご確認下さい。
まず、EOS M3はシリーズとして初めてEVFに対応したのですが、このEVFは高級コンパクトカメラPowerShot G1X MkII用に用意されていたものと同型で、単売価格33,000円というものです。これがEOS M3のEVFキットであれば単体価格プラス3千円前後で提供されるというのです。
私はNEX-5Nを使っていても無意識のうちにファインダーを探してしまうような感覚の持ち主ですので、EVFであってもファインダーは欲しいと思っていました。改めて3万円払って買うのは躊躇しますが、これが僅かな追金で付いてくるのであれば非常に魅力的です。EVFがセットされるのは合計25,000台で、数だけを見ればある程度余裕がありますが、これは各種レンズキットなどとの合計ですし、さすがに価格がこなれる時期まで残ってはいないでしょう。私はレンズやマウント変換アダプターは初代EOS Mによって既に揃っていますので、ボディー単体で買うつもりでしたから、あまり数に余裕は見込めないと考えたのがまず1点目です。
そしてもう一つのデビューキャンペーンですが、これはユーザー登録と申込が済んだEOS M3購入者先着5,000人が対象となるもので、
・ボディジャケット EH27-CJ
・ネックストラップ EM-E2
・オリジナルレンズキャップケース
がプレゼントされるのです。
カメラを実際に使うときには、少なくともボディジャケットとストラップは用意するつもりでしたが、これを改めて買うと実に1万円近い出費となるのがネックでした。それがプレゼントされるのであれば、かなりお買い得感が増すということで、先着5,000人に入るべく、急遽発注したというわけです。
当初は殆ど全ての販売店で納期は2週間程度となっていたため、5,000人には間に合わないかと思っていたのですが、3月29日注文で3月31日発送、4月1日到着という予想外に早い納品であったため、無事間に合いました。
というわけで、EOS M3を見てみましょう。
まずは外箱です。EVFキット用のものとなっています。
箱を開けると、本来のEOS M3の箱とEVFがそれぞれ収められています。
レンズキット等と同じ箱を利用しているのか、かなり空きスペースがあります。
本体です。先代までと比べると無骨さが感じられる外観ですが、個人的にはこちらの方が好みのデザインです。
正面から。先代までは無かったシャッター下のグリップが目立ちます。ボタン配置なども一新され、外観上の共通点はほぼありません。
背面から。やはり電子ダイヤルが目を引きます。
左がEOS M3、右がEOS M+EF-M 18-55mm F3.5-5.6 IS STMです。EOS M3にレンズを着けていませんので少し小さめに見えますが、EOS M初代と比較すると一回り大きくなっていることがわかります。
手に持つと大きさだけではなく重さもかなり増したことがわかるのですが、ある程度重くないと逆に写真は撮りにくいと思いますので、決して悪い方向の変化ではないと考えています。
確実に「カメラ」に近づいた
使おうとして、まず初めて気付いたのがEOS M/M2とはバッテリーの互換性が無いということです。実はテストではEOS Mの周辺機器を全て拝借しようと思っていたのですが、早々に目論見は崩れました。
初代のEOS MではLP-E12(7.2V 875mAh)だったのですが、このバッテリーの持続時間が短いこともEOS Mシリーズの弱点でした。これがEOS M3では少し大型化してLP-E17(7.2V 1,040mAh)となりました。端子部の構造などは変わっていないと思うのですが、バッテリーの長さ、厚さが変更されたため互換性はありません。容量は2割ほど増えていますが、持続時間は約1割の伸びにとどまっていて、EOS M3のボディーは少し消費電力が増えてしまったということでしょう。
その割にレンズ駆動電力が弱いという指摘もあります。実はEOS M3の発売直後から、TAMRON製のレンズで上手く動かないものが多数あるということが話題になっているのですが、この原因はレンズへの供給電力が不足しているためだといわれているのです。EOS Mシリーズの強みはEFマウントレンズとの互換性ですから、動かないレンズがあるというのは大きな弱点といえます。
それはともかく、EOS Mから拝借した、EF-M 22mm F2 STMとの組み合わせで軽く撮影テストをしてみました。さすがに純正のEF-Mレンズですから、問題は発生しません。
まずはプログラムオートで単に撮影してみました。
大きさ以外は完全に無加工です。
空の色はなかなか実際の光景に忠実ですが、桜(アメリカンチェリーですが)の花が少し暗くなってしまいます。これはAEの特性上、大抵のカメラでこうなるので仕方ないのですが。
ここでEOS M3の良さと感じるのが、露出補正を専用の電子ダイヤルで行えるという点です。しかもライブビューにイメージが反映されるため、どの程度の補正をかければ良いのかも一目でわかります。
モニターで出来映えを確認しつつ、+1EVとしてみたものです。花の色はこれくらいに見えていましたので、概ね意図通りの写りといって良いでしょう。
当然露出補正自体は従来のモデルでも出来るのですが、EOS M3では電子ダイヤル化され、直感的に操作出来るようになったため、積極的に使いこなそうという意欲がわきます。
既存のEOS Mよりは撮影道具としての快適性は大幅に増しました。しかしまだまだ手放しで褒められるほどの出来に達したとは思いません。
実は購入前に展示品のあった販売店でSONY α6000と使い比べてみたのですが、AF速度を含めた全体的な応答性は圧倒的にEOS M3が劣っています。個人的には、EOS M3でEVFキットとデビューキャンペーンが用意されていなければ、α6000を買っていたと思います。もっともα6000はもう少しがっしりと作られていれば素晴らしいと思うのですが、少し頼りなさを感じる辺りは気になりました。
それでもEOS M3では初代のようなイライラするような遅さはかなり改善されましたので、許容範囲には入ってきたという印象です。瞬間を狙うような撮り方ではなく、1コマずつじっくりと作り込んで撮影するのなら充分です。
率直に言って初代EOS Mは他社の水準に追いつけていない出来だったと思うのですが、EOS M3でようやくライバルの中に割って入れる程度の実力を身につけたという印象を受けました。
なお、今回はボディーに絞って書いていますので、EVFについてのレビューはまた別に書きたいと思います。
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購入金額
58,120円
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購入日
2015年04月01日
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購入場所
カメラのキタムラ
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