RATOC製フルバランスポータブルヘッドフォンアンプです．型番末尾にAKとありますが，Astell&Kern製のデジタルアウトを持つDAP用に発売されました．とはいえ，デジタルアウトがあれば，何でも接続できます．CD-PやPC，DDCなど，使い道は広いです．

　すでに，RATOC製バランスポータブルヘッドフォンアンプは，持っているのですが，フルバランスの音に挑戦しました．

　このREX-KEBシリーズのバランス出力は，2.5mmモノラル×２という構成で，あまり汎用性ありませんが，自作改造は簡単です（モノラルプラグの入手に課題はありますが）．

　しかし，すでに上記REX-KEB01F用に，バランス化改造してしまったヘッドフォンが3台もありますから，さらにフルバランスで聴きたくなるのが自然の流れ（？）．．．．

　ということで，中古のREX-KEB02AKを入手しました．

　REX-KEB02AKとREX-KEB01Fを並べるとこんな感じです．

　REX-KEB02AKの方が，一回り大きく，重いです．

　REX-KEB02AKのI/O部です．

　このREX-KEB02AKの入力は，デジタルの光/同軸しかありません．USBが無いのです．

　よって，USB-DACとして使うことが出来ません．DDC出力を入れて上げる必要があります．

REX-KEB02AK自体は，24/192まで対応していますが，DDCが24/96までだとフルスペックで使用することは出来ません．

　CDをCDPで聴き，そのデジタル出力を本機に入れることで，フルバランスも可能です．

　また，PC用のサウンドカードは,24/192出力対応が多いので，ハイレゾ音源はそんなに困ることはありません．

　それから，ヘッドフォン出力は，アンバランスの3.5mmステレオも備えていますから，フルバランス化していないヘッドフォン/イヤフォンもそのまま聴くことが出来ます．ただし，バランス/アンバランスを同時に聴くことは出来ません．アンバランスが優先されています．

　また，ヘッドフォンのHigh/Lowが切り替えられます．

　DACは，ES9018K2Mで，HPA部は，バランス用にTPA6111×２，アンバランス用にTPA6138Aと，贅沢な仕様です．DACのフィルターは，SlowとSharpが切り替えられます．どちらかというと，Slowが好みですが，これは，HD650(+シルバーコートOFC線)で聴いているからかもしれません．

　電源は，バッテリー内蔵ですが，microUSBケーブルで電源が取れます（同時充電も可能）．

　モバイル用として使うことはありませんが，フル充電で約10時間程度使用可能だそうです．

　音質は，非常にクリアーです．ほとんど味付けがなく，細かい部分まで描写される感じです．スピード感がもう一つなのは，ESSのDAC特性かもしれません．ただ，その分，聴き疲れせず，長時間聴いていられます．

　USB-DACというより，I2S接続のDACで聴いている感じに近いです．

　バランス接続は，さらに音の広がりが向上し，低域がしっかりします．この傾向は，REX-KEB01Fと同じです．

　マイナスポイントは，音量がやや低いこととホワイトノイズが大きいことです．音量は，高インピーダンスヘッドフォンは，ボリューム最大でも聴いていられる音量までしか取れません．また，低インピーダンスイヤフォンは，ホワイトノイズが目立ちます．おそらく，低インピーダンスイヤフォンで聴くことは想定されていないのだと思います．純粋なオーディオメーカーなら，許容できないくらいのホワイトノイズがあります．

　これが，5万円だとオススメできませんが，1万円以下で購入出来るなら，十分ありです．

古い据え置きCDPでも，デジタルアウトに本機を接続すれば，現代的なワイドレンジな音に変身します．

　バッテリー寿命の心配はありますが，ACアダプタから供給できますから，据え置き用に中古品を確保するととても遊べます．