付属品が何も無いため大幅に値下がりしていたPHILIPS Fidelio L1を買ってみました。かつてプレミアムレビューにも出ていて、一度は使ってみたいと思っていたのですが、この程度の価格であれば仮に気に入らなくても諦めが付く程度ですからね。
本体から短いケーブルで3.5mmステレオプラグが出ていますが、本来はこの先にリモコン付きのケーブルを取り付けて機器と接続します。しかし、今回はそのケーブルが欠品していましたので、インナーイヤーフォン(詳細失念)に添付されていた、3.5mmステレオ延長ケーブルで代用しました。一応プラグこそ金メッキされているものの、ケーブル部分は細く、お世辞にも質の良いケーブルとは思えないものです。後日もう少しマシなケーブルを用意するつもりでいますが、今回はこのケーブルで試聴します。
明らかに低域寄りのバランスだが…
それでは早速試聴してみましょう。今回からヘッドフォンアンプにはFOSTEX HP-A8を利用しています。HP-A8はヘッドフォン出力が2系統ありますので、比較試聴の相手となる製品と同時に聴き比べられるようになったというのが有り難いところです。
音質の基準としては、普段主に使っているSENNHEISER HD650を使います。HD650はAKG K70xシリーズと対比されるときには「低域のHD650、高域のK70x」と称される、どちらかというと低域方向の魅力を語られることが多い製品です。
まずはこの中の「VIVA LA VIDA」を聴いてみると、ヴァイオリンの質感などはまずまずですが、HD650よりは少し固めの表現となります。伸びやかさやヴァイオリンの質感ではHD650が優勢ですが、Fidelio L1もかなり細かい音まで再現していて、総合的に見ればなかなか魅力的な音です。ただ、途中でバスドラムが入ってくるところになると、あまりの低域の量に圧倒されます。
ここで不思議に感じるのは、普段の私はあまり低域にパワーバランスが偏った音は苦手にしていて、final製のイヤフォンなどに対しては割合否定的です。ところがこのFidelio L1は明らかにローブーストでありながら、不快感が無いのです。正直言って、このようなローブーストは体感したことがありませんでした。
次に180g盤LPからハイレゾ(88.2KHz/24bit)WAVで起こした「Hotel California」を聴いてみると、本来はさほど大げさではない筈のLP盤の低音が、まるでハイレゾ配信(flac 192KHz)版のような分厚い低音となります。ただ、これも出ている音を総合的に聴いていると全く悪くはありません。ギターの弦の音が少し固めかつ派手目になるのは、中高域に少しピークが出来ているためでしょう。ただ、このピークも圧倒的な存在感となる低域の対になる要素として必要なのかも知れません。
このアルバムの「Chinatown」では、さすがに低域が少し多すぎるかなという感じは受けます。ラーメンの味で例えると味付けが濃すぎる豚骨ラーメンのイメージでしょうか。ただ、低域の量が多すぎること以外はかなり良い雰囲気が出ていることは見逃せません。
この製品と比較すると「低域のHD650」の低音がかなり薄く聞こえるようになってしまうという、圧倒的な低域方向の量と、それを不快に感じさせない巧みな音作りがこの製品の持ち味ということが出来そうです。
低域方向の分厚さがこの製品ならではの濃密な音場を構築している訳で、決して優等生的なサウンドでは無いものの強い個性が魅力に写る、そんなヘッドフォンといえそうです。
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購入金額
5,162円
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購入日
2016年11月07日
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購入場所
ソフマップ・ドットコム
harmankardonさん
2016/11/09
jive9821さん
2016/11/09
実は他に買い物してちょっと懐具合は厳しいのですが、税抜きで5千円割れとなっているのを見つけてしまうと、とりあえずは買ってみようということになってしまいました。
この値段でこれ程面白い音を出してくれれば文句なしです。常用するとは思えませんが、時々気分を変えるために使うような存在となりそうです。