ただしその発売から約3ヶ月あまり、その恩恵は限定的だった。「OSとしてWindowsを使用する」と言うことの利点は、ことビジネスシーンにおいては「日本で事実上の標準となっているMicrosoft Officeが使える」ということとほぼ同義であるが、それまでは旧来の考え方に基づく「Microsoft Office 2010シリーズ」
の選択肢しかなく、Windows 8の方向性である
. ・タッチパネル対応
. ・クラウドとの統合
. ・デジタルデバイスのパーソナル化へ対応
といった特徴は活かされず、単に「デスクトップモードで動作する」Microsoft Officeアプリケーションに過ぎなかった。
そこを改良したのが、Officeの最新バージョン「2013」(そうそう今度からは統合スイートとしてのOfficeには年号や愛称はつかず、単に「Microsoft Office」となる。構成製品が「Excel 2013」だったり「Access 2013」であるだけ。)。
特に
. ・タッチパネル対応
. ・クラウドとの統合
はその対応が顕著。
今まで、タッチパネルと言っても結局マウスやキーボード入力の「代用ができる」レベルであって、それ以上のものではなかったが、今回はタッチパネルで入力することを前提に作られている。また、いままではオフラインの1PC上のファイルではない、といってもネットワーク上のファイルの共有やファイルの新旧管理といった程度のものだったが、今回のOfficeは前提が「ファイルはクラウドへ保存するもの」という設定になっており、複数の場所から複数のデバイスがアクセスすることを念頭に置いて作られている。
この「新しい」Officeの特徴をいくつかの場面で見てみよう。
【Excel 2013】タッチパネルへの対応は進んでいる。今までのOffice 2010では入力デバイス側だけの対応だったため、指先やタッチペンで選択するにはボタンなどが小さすぎ、ズームをするなど、余分なひと手間が必要だった。それが今回のOfficeからはまず「マウス操作」か「タッチ操作」かを切り替えるボタンがある。タッチ操作の場合、メニューのボタンが一回り大きくなり、押しやすくなる。さらに、タッチとマウス併用である場合は、先ほどのボタンがどちらのモードであっても入力デバイスを感知し、それに最適なパレットが出現するなどかなりインテリジェンスな制御がされている。
このあたりの「主として」こちらを使うが、他方も使わないわけではない、という良くあるシチュエーションに配慮されている。
Excelでの関数自動提案。A列に「市外局番」、B列に「市内局番」、C列に「番号」が文字列で記入されているシートがあり、D列に「電話番号」としてA列とB列とC列をつなげたものを作りたいとする。今までであれば、「&」で各セルをつなげて書くか、CONCATENATE関数で合成してD列を作り、オートフィルで下まで引っぱってという作業が必要だった。つまり関数の知識が必要だった。
やりたいことを行うだけで、Excel側から「やりたかったのはこれですか」と提案がある。関数を覚える必要がないわけだ。
【PowerPoint 2013】PowerPointはスライドショーをアシストするモードとそれに対応したタッチパネルならではのゼスチャーが追加されている。いままでも「スライド一覧」という表示形式はあったが、あくまでそれは「編集モードの一形態」であり、どのスライドを編集するか、ということ選択するためのものだった。今回スライドショーモードでの一覧形式が追加された。画面をピンチするとスライド一覧が表示されるが、それはスライドショーモードでの事なので、アニメーションを設定していた場合それが作動する。いままで右クリックして表示されるスライド名から判断してページ移動していたのが、より直感的に移動できるようになった。
ちなみにこの機能のキーの割り付けは「-」だ。一方、「+」にはスライドのズームが割り付けられている。このほかにもスライドショーのワイド画面対応などかゆいところに手が届く機能強化がされている。
【OneNote 2013】
いままでOneNoteというとネットワークが完備されている企業向けのアプリケーションで、「個人使用」というのはあまりイメージになかったが、今回クラウドとの統合と複数デバイスでの作業が念頭に置かれた設計で、個人の発想ノートとしても使えるツールとなっている。活字、手書き文字、図形、手書きのマーカー、表などを自由に配置できるこのソフトに思いつきをメモし、クラウドに置いて置けば、いつでもどこでもその発想を発展させることができる。
【SkyDrive】
そしてこの新しいOfficeを支えるソリューションがクラウド保存スペース&アクセスアプリ「SkyDrive」。各アプリのデフォルトの保存先は今までの「マイドキュメント」から「SkyDrive」となった。実はこれこそがこのOfficeの根幹だと思われる。閉じたネットワークから開かれたクラウドへ。自宅PCと会社PCの同期という概念からクラウド上にあるデータの編集と共有。異なるデバイスでの閲覧、編集。ネットワーク構築の専門性とインターネット上の保存スペースの特殊性を取り除いたクラウド。
この「開かれて」いて、「垣根が低く」、「何からもアクセスできる場所」を保存場所と規定したことが今回のOfficeの最大の特徴ではないだろうか。このOfficeは今までのOfficeとは違う。単に「より簡単に」「より便利に」「より賢く」という方向性(だけ)ではないなにかがある。それはタッチパネルとウインドウ(窓)を感じさせない造りでデジタルデバイスのパーソナル化の方向性を打ち出したWindows 8
同様、個人で複数のデジタルデバイスを持つ時代に対応した「個人の生産性向上」を目指しているところかも、知れない。
【構成アプリケーション群】
Word 2013:日本語ワードプロセッサ
Excel 2013 :表計算
PowerPoint 2013:プレゼンテーション
OneNote 2013:デジタルノート作成ソフト
Outlook 2013:電子メール機能を持つ個人情報管理 (PIM) ソフト
Publisher 2013:印刷物・マーケティング資料作成
Access 2013:リレーショナルデータベース
InfoPath 2013:XMLオーサリングソフト
Lync 2013:チャットやオンライン会議機能を持つコミュニケーションツール
-
購入金額
0円
-
購入日
2013年02月頃
-
購入場所
makibisiさん
2013/02/11
いまだに、2007以降のリボンタグになれない私がいます。。。;w;
cybercatさん
2013/02/11
aoidiskさん
2013/02/12
タッチ操作を見ていると、これを見越してのリボンか?
と勘ぐりたくなります。
操作も、機能も先走りではなく、配慮が一段と上がったようですね。
これ楽しみですね。
cybercatさん
2013/02/12
>リボンには慣れませんが、
>タッチ操作を見ていると、これを見越してのリボンか?
自分はキーボード+マウスの時はほとんどCtrl+のショートカットを使っているので、リボンは場所取るだけであんまり好きでなかったんですが、タッチで使うとあら不思議。結構使いやすいインターフェイスです。
久しぶりにOfficeで「イイネ!」という感じデス。