レビューメディア「ジグソー」

初めて触ったハイレゾ端末

 

! スペック


 

サイズ(W×H×D):約59.2×約79×約14.4(mm)
重量:約122g
内蔵メモリ:32GB
拡張スロット:2(各32GBまでサポート)
連続再生時間:24bit/192kHz → 約12時間  MP3 → 約20時間
対応ファイル形式:MP3、FLAC、WAV、WMA、APE、OGG
 ファームウェアv1.30以降 → ALAC・AIFF(最大192kHz/24bit)、AAC(最大320Kbps)
サンプリングレート:8kHz、16kHz、32kHz、44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、176.4kHz、192kHz
量子化ビット数:8bit、16bit、24bit (※24bitは、WAV/FLACのみ対応)
D/Aコンバーター:WolfsonWM8740(High-EndAudioDAC)
ライン出力端子:3.5mmイヤホン、光デジタル出力端子

 

 

! 付属物


 

・画面用プロテクトシート、背面用プロテクトシート
・microUSBケーブル
・専用ポーチ
・クイックスタートガイド
・保証書(本体1年/付属品90日)
・microSDカード 2GB (24bitサンプル音源×5曲プリインストール)

プロテクトシートはすでに貼り付けられており、「プロテクトシートを保護するシート」は簡単にはがせるようになっています。さらに予備としてもう1枚ずつ、プロテクトシートが付属していました。

 

 

! インターフェース


 

122gの筐体ですが、持った感じではやや重量感があり、少し前の分厚い携帯と同じくらいでしょうか。ただ軽すぎないところが逆に高級感や信頼感を出していて良いと思います。

電源ボタンがトップにあり、これを長押しすると電源が入ります。スリープ解除はワンタッチでOK。
操作は基本はタッチパネルで行え、「次の曲・再生(停止)・前の曲」を操作できるボタンがサイドについています。

ボリュームは0.5単位で調整ができ、0~75の約150段階の調整が可能で、サイドのダイヤルやタッチパネルで調整ができます。

 

操作は基本的にはタッチパネルで、選曲やイコライザの調整、基本設定などはタッチパネルで行います。曲の再生画面からはトップメニューとオプションが選べます。

 

 


トップメニュー(ミュージックリスト)には、上から順に、
 ・再生中の曲(再生中のプレイリストが表示されます)
 ・すべての曲
 ・アルバム
 ・アーティスト
 ・プレイリスト
 ・ジャンル
 ・再生頻度の高い曲
 ・マスタークオリティ(24bit音源だけ再生)
 ・フォルダ(フォルダから直接再生)
が表示されています。

オプション画面は項目が横に5つ並んでおり、左から
 ・EQ(イコライザーのオンオフとユーザEQの設定)
 ・プレイリストへの追加
 ・曲情報
 ・リピート設定(リピートしない/全てリピート/1曲だけリピート)
 ・再生順序(ノーマル再生かランダム再生か)
が表示されています。

イコライザは[ 62/250/1k/4k/16k ]の各項目ごとに設定でき、指でなぞるだけで設定できてしまいます。ただこのタッチパネル、ちょっと汗ばむと割りと誤操作を起こします。

 

 

! 比較①:クラシック


 

比較方法:FLAK音源をMP3(44.1kHz/196kbps)に落とし、FLAKとMP3とを聞き比べる

使用楽曲:ベートーベン ピアノソナタ8番『悲愴』の第2楽章

ピアノソナタが私は好きなのですが、中でも一番好きなのがこの楽曲。なので、最初のクラシック音楽としてこれを選びました。購入はe-onkyoというハイレゾ音源を購入できるサイトから。

聞き比べてみたところ、わりとはっきりとした違いが1つありました。それは「低音域」。FLACは低音域もしっかりと響き、まさに「ピアノ線が震える感じ」も伝わってきそうですが、MP3は低音域と同時に高音域が鳴ると、まるで遠慮して後ろに引くように、すっと響きが消えてしまいます。

これがいわゆる「音楽プレイヤーの分解能」と呼ばれる物なのでしょうか。低音域が潰れたり隠れたりすることなく、しっかりと出るべきところで出ているという点では、AK100はまさにクラシックを聞くにふさわしい装置だと思いました。

 

 

! 比較②:ジャズ


 

比較方法:FLAC音源をMP3(44.1kHz/196kbps)に落とし、FLAKとMP3とを聞き比べる
使用楽曲:Shanti 『BORN TO SING』より

今度は現代曲で聞き比べてみました。使った曲は上記e-onkyoで売られていた、Shantiさんの曲。ランキング上位にあり、視聴してみてかなり聞き惚れてしまい、アルバムで買いました。

 

さっそくFLACとMP3とで聞き比べてみたのですが、FLACの方は余韻部分にある高音域がしっかりと最後まで聞こえ、音が広がるのがわかります。

1曲目の『Aqua's Lullaby』は緩やかなテンポで流れ、アコギの音が実に心地よく、Shantiさんの歌声も綺麗に澄んで聞こえ、小さいプライベートな部屋などで歌ってもらうとまさにこんな感じに聞こえるんじゃないかと想像してしまいます。原音に近い印象がありました。

 

5曲目の『Our Song』の冒頭は雨音から始まるのですが、優しい雨の降り注ぐ草原を思わせる爽やかな情景が浮かび、Shantiさんの歌声にマッチしていて大変良かったです。

 

 

! 比較③:CDをFLAC化・その1 アイリッシュ音楽


 

比較方法:CD音源をAudioGateを使い、FLAC(24bit/96kHz)とMP3(44.1kHz/196kbps)に

     変換して聞き比べる
使用楽曲:Flook 『Rubai』より G.D.'S

大好きなアイリッシュグループ、『Flook』のアルバム3枚をFLAC化してみました。CDを高音質化したところで、所詮CDに入っているのはCD音質。しかし『効果がある』との噂なので、やってみました。

G.D.'S はHooper's LoopからPressed for Timeへと連続して続く曲で、前奏のようなものなのですが、ここで問題が発生しました。それは『ギャップレス再生』ができない(最新ファームウェアを適用すればできるようになるそうです)こと。そのため、この2曲の間にわずかに無音の時間が生まれています。

加えて、曲の終わりも端折ってしまうため、その次の曲Grannyでも1曲目の終わりが途中でブチッと切れてしまい、非常に不自然な感じになってしまっています。これはやはり何とかしてもらいたいところですが、やればいいことは分かってるのにできないってことは、きっと難しいんでしょうね。

ちなみにFLAC化する際にはAudioGateというKORGのソフトを使用したのですが、これはCDから取り込む際に複数の曲を1曲にまとめることができるため、その機能を使うことでシームレス再生ができるFLACファイルにすることはできました。

音質の比較についてですが、Flookの構成はティンホイッスル・アイリッシュフルート・フィドル・パーカッションの4種の楽器がメインですが、テンポが早い曲が多く、笛が激しい旋律を奏でているときも細部まできっちりと再生できていたと思います。

 

! 比較④:CDをFLAC化・その2 ゲーム音楽


 

比較方法:CD音源をAudioGateを使い、FLAC(24bit/96kHz)とMP3(44.1kHz/196kbps)に

     変換して聞き比べる
使用楽曲:DARK SOULS 『DARK SOULS Original Soundtrack』より

FlookのCDは実際の録音であるのに対し、ゲームのサウンドトラックは完全にPCだけで作られた音なので、ダイレクトにCDに録音されているはずと考え、こちらでも比較してみます。

結論から言うと、こちらは予想に反してあまり差が感じられませんでした。一番歌声が多い『Nameless Song』でも差は感じられず。もっと明確な差がでてくるかと思っていたのですが、ゲーム音楽の場合、人の耳に聞こえにくい音域をCDに入れる段階ですでにカットしているのかも。

あるいは、音楽のみならずゲーム本体も含めて1枚のディスクに全て詰め込まないといけないため、音楽も圧縮されてこういう結果が生まれたのかもしれません。

 

! 比較⑤:MP3同士で比較


 

比較方法:同じMP3を『AK100』と『ZEN Mozaic』で聞き比べる
使用楽曲:今まで聞いてきた音楽多数

最後に今まで使ってきたZEN Mozaicを使用し、『MP3をそのままAK100に持ってきて比較』ということをしてみました。

こちらも大して変化がない・と思いきや、重大な変化が起こりました。重低音が鳴る一部の楽曲において、『音割れ』がなくなったのです。というか、今までそういうアレンジなんだろうと思っていたのが、AK100で聞いてみるとちゃんと綺麗な重低音が鳴っていたことに驚愕。

歌声はどちらも『今まで通り』の感じで出ていました。ただ、私の普段聞いている曲は、考えてみたら比較的声の高い人の歌が多いため、あまり差を感じられなかったのかもしれません。

ということはMP3で歌声だけを聞く分には、どちらのプレイヤーにも差はないのかもしれません。むしろMP3の特性が『声質の極端な劣化を防ぎつつ圧縮する技術』である以上、高価ではないプレイヤーは人間の声の周波数帯域だけを、ピンポイントに調整しているんでしょうね。

 

 

! まとめ


 

正直、DAPによってそこまで品質に差が出るとは思っていませんでした。今までそうだと思っていた音楽が、実は違うものを聞いていたという衝撃。高いのにはそれなりの理由があるということですね。

今までティンホイッスル、エレアコギター、トランペット、ピアノ、コントラバスと色々な種類の楽器を触ってきましたが、『どんなに頑張ったって音楽プレイヤーが生音レベルになることはありえない、無理無理』と思い込んでいたこともあり、今まで音楽の音質については気にしたことがありませんでしたが、そんなことはないと痛感いたしました。

耳が肥えたかどうかについては、確かに違いは感じていますが、1か月後の追記にて再び感想を述べたいと思います。

長所
・とにかくハイクオリティ
・高級な質感
・フィルターが最初から取り付け済み
・張り替え用の予備のフィルターまでついてくる
・MicroSDを最大64GB分追加できる
・充電しながら再生できる

短所
ギャップレス再生が不可(最新ファームでできるようになったそうです)
・充電時間がやや長い
・クッションカバーに入れると気になるほど発熱する
・立ち上がるまでの時間が割りと長い
・胸ポケットに入れるには少し重い
・汗ばむと誤操作が多くなる

不具合?一時的なもの?
・長時間使用すると曲にノイズが入ってくることがある
・付与されたイメージ画像が乱れることがある
・MP3再生時、時々パルス音が聞こえる
(ただし、最大音量で10時間ほどエージングした後は発生せず)

 

 

! 追記 13/05/18


 

レビュー後にファームウェアがアップされていたことに気づいたため、1.30→1.33とアップデートしましたところ、起動時間が結構改善されました。

また、上記で述べている『長時間使用すると曲にノイズが入ってくることがある』現象ですが、これはやはり一時的なものだったようです。最大音量でバッテリーが尽きるまでエージングをかけましたが、それ以降その現象は発生しなくなりました。エージングは都市伝説という話も聞きますが、同様の現象が発生した方は一度エージングを試してみてもいいかと思います。

次に、ひさびさに以前のZEN MOZAICで楽曲を聴いてみましたが、やはり音質の差が歴然とありました。というか違いが感じられるようになったようです。低音が割れなくなったというのは前述の通りですが、ZENに比べてやはりあきらかにクリアな音質であると思いました。

特に音のフェードアウトが秀逸で、ピアノの消え入る様は実に繊細です。あれからさらにベートーベンの「月光」なども購入してみましたが、AK100で聞く音楽はギター系よりもピアノ系の方が私は好きでした。今は著作権切れのフリーFLAC音源を色々と漁ってます。

 


ちなみにFLAC音源の場合、DAWなどで作られた人工的な音楽ではあまり聞く意味が薄いので、実際にホールなどで演奏されたFLACを探すのですが、なかなか目的の曲は見つかりませんね。

例え作曲者が死後何百年たっていたとしても、今度は演奏者や指揮者に「著作隣接権」が発生してしまうため、ほとんどフリー楽曲にできないのだとか。なので演奏から50年以上経っているファイルしかフリーにならず、そうなるとかなり数が限られてしまいます。

ただクラシックの場合はかなり市販はされているため、オーディオに本気でお金が出せる人には、FLACが再生できるこのAK100は良いツールになると思います。かくいう私も今まではCDレンタルばっかりでしたが、この一ヶ月ですでに1万円分くらい音楽を買ってしまいました・。FLAC音源の凄さを知ってしまったら、買わざるを得なくなってしまう……お小遣いがヤバいですね!

ということで、人工的な音楽と、スタジオとかコンサートホールとかスカイウォーカーサウンドなどの環境で録音された「生音」の差を、はっきりと判別することができるようになりました。「クマミミは肥えた」と言っても良いのではないでしょうか!

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2013年05月頃

  • 購入場所

19人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • cybercatさん

    2017/02/25

    レビュー執筆時期が古そうなので、ご存知かもしれませんが
    >『ギャップレス再生』ができない
    いまの最新ファームならできますよ。
  • 宇佐木クマさん

    2017/02/25

    コメントありがとうございます。今のファームならできるんですね!

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