Donald Fagen。Steely Danの中心人物。Steely Danって変なバンドで、当初はきちんとツインギター+キーボード+リズム隊(ベース+ドラムス)にボーカルがいた6人編成のバンドだったが、自分たちの頭の中にある音世界を再現するのには自分たちでは役不足、と凄腕スタジオミュージシャンをどんどんいれて作品を作った。この手法で作られた名盤が“Aja”。
この時点でバンドには二人しか残っておらず、ライヴもリアルの演奏ではレコーディングの品質が担保できないとかでやっていなかった(後年はコンサートもやるようになったが)。このときバンドに残っていたのはキーボード/ボーカルのDonald Fagenとベース/ギターのWalter Becker。その後名盤“Gaucho”を残して彼らは解散するが、本作はその後出されたDonaldの2作目のソロとなる。ただ今作ではWalterがプロデューサー(ギターとベースも)として協力しており、まさにSteely Danの再来。
Steely Danと同じく、参加ミュージシャンてんこ盛りでアンサンブル、というかアレンジの妙を魅せる。ころころ替わる曲調と入れ替わり現れる音。いったいいくつの楽器を使っているのか。
「Trans-Island Skyway」はむずかしい軽くシャッフルしたドラムにエレギがオシャレに絡む。Donaldのパーカッシヴなエレピと半ばファルセットで軽く歌われるメロディーライン、まるで名盤“The Nightfly”の「New Frontier」の様なイメージ。これは彼の世界。ドライで、夢の中のようで、とてもCOOL!!
「Snowbound」は表面上は少しDonaldらしくない音づくり。曲を通して大きなボリュームで鳴るゆったりとしたグルーヴのWalterのベース。コードをつけるギターはスライドを使ってちょっと南方系。ところどころに控え目に入るオルガン(Hammond B3 by Paul Griffin)がCOOL、と思ったら、ギターソロはJAZZっぽい結構ぶっこわれたもの。結局コードワークはかなりキレてて、「構築された」という言葉がぴったり!!
「Teahouse On The Tracks」。この温度感のない曲はどうだ!ジグソーパズルのように各パーツと各楽器をつなぎ合わせて曲が構成される。クラビがエレピが生ピが一小節ずつ入れ替わるくらいのめまぐるしさで、ポイントポイントで使われる。決してサウンドコラージュのように難解な曲ではないのだが、端々まで目が行き届いており、音楽の高揚感と言うより冷静な計算が感じられる。Birch JohnsonのトロンボーンソロもCOOOOOOOOOOOOOOOOOL!
以前のようにきら星のようなトップミュージシャンの名がちりばめられているわけではないけれど(それでもThe Doobie Brothers
のCornelius Bumpusがサックス吹いたりしてるけど)、Walterの参加が後のSteely Dan再結成の呼び水になったことを思うと、記念碑的な盤。Donaldの音世界に浸りながら、カマキリ号に乗って旅に出よう!
【収録曲】
1. Trans-Island Skyway
2. Countermoon
3. Springtime
4. Snowbound
5. Tomorrow's Girls
6. Florida Room
7. On The Dunes
8. Teahouse On The Tracks
「Trans-Island Skyway」
-
購入金額
1,800円
-
購入日
1995年頃
-
購入場所
北のラブリエさん
2012/06/23
かく言う私も大好きです。
cybercatさん
2012/06/23
>いかにもcybercatさんが好きそうw
あ、当然“The Nightfly”ももってるんですが、あえてこっちから←ひねくれものw
>かく言う私も大好きです。
⇒同類?同類??ww