所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。メンバーの変遷や嗜好の変化でデビュー当初と音楽の表現形が変わってしまうグループがあります。初期に貼られたレッテルでむしろその後の活動にわりを喰ったか、実力のわりに現在は知る人が少ないグループをご紹介します。
PRISM。ギターの和田アキラとベースの渡辺建を中心に、ギター森園勝敏、キーボードは久米大作と伊藤幸毅、ドラム鈴木“リカ”徹という大所帯でデビューしたバンド。カテゴリー的にはクロスオーバー~フュージョンの売り場に配されることが多かったが、他のフュージョンバンドと違ってもともとロック色が強く異色な存在だった。
そんな彼らもメンバーチェンジを経て方向性も変わってきた。時は1980年代早々(CDは後に買い直したモノ)。cybercatがPRISMに注目したのがこのあたりからで、そこから遡っていったので、PRISMと言えば、このヘヴイでドラマチックなプログレ系インストバンドのイメージが強い。実際にはここまでヘヴィなのは本作と次の「∞」だけで、先にご紹介した“NOTHIN’UNUSUAL”
以降は、技巧度は落ちていないまでも昏さという点ではこのMOONレコード時代の2作には及ばない。このときのメンツは「=(イコール)PRISM」といえる、ギターの和田アキラと、ベースとヴォーカルの渡辺建に加えて、サックスとキーボードの中村哲、ドラムスは青山純という構成。サックスがいるのと、青山のヘヴイなドラミングが最大の特徴。
「Rhythm Of The Lights」。2小節1パターン(下記)で前半スローな16ビートと思わせて2小節目は8ビートになるというリズムパターンの青山のドラム、フレットレスベースで腰高の渡辺のライン。ヘヴィな和田のメロディラインとオーバーダブされたクリーンなカッティングの対比が印象的だ。
「The First Sky And The Last Sea」、実はこの曲でヤラレタww。変拍子ではないのだけれど、妙に不安定な拍割りとコード進行の曲でプログレちっく。中間部の青山のオンビートドラムソロ、というか16小節にわたる大フィルイン大会がすげ~ww。渡辺のヘタウマ(ウマヘタ?)なヴォーカルもプログレっぽい。中村のサックスはウマいわけではないけれど盛り上がりには欠かせない。
「Wind」は和田節。PRISM伝統の?壮大で幻想的な曲。印象的なギターのアルペジオで始まり6/8を12/16のように細かく刻む正確無比でヘヴィな音色の青山のドラムの上で、和田のギターが朗々と歌う。エンディング向けの感動的な曲。ちなみに「Wind」と言う曲は2カ所(初盤リリースはアナログレコードなので、本来の企画としては「各面のラスト」)に入っているが、なぜか「Reprise」とついている方が、演奏時間が長く、曲として起承転結があるのでこちらが正規?←「Reprise」がない方は1分足らずの小曲。実はライヴではもっと長いが。
MOONレコードではこのあと“∞”
を出すが、それでレコード会社との契約は切れ、メンバーは離散し暗黒時代へと突入する。2年後「後から振り返ると名盤」と呼ばれる“NOTHIN’UNUSUAL”
を出すものの、レコード会社との契約は再び数年で切れ、1990年代になって「環境3部作」で復活するまで、またファンは待たされることになる。
変わり続けるアーティストを、売る側がフォローしきれなかったのだろうか。
現在はこのMOON時代の2枚は入手難だけど、フュージョン好きよりむしろプログレが好きな人に聴いてもらいたい名盤。再販希望で!
【収録曲】
1. Rhythm Of The Lights
2. Tearscape
3. I Know That
4. Wind
5. The First Sky And The Last Sea
6. While You Blink 8 Times
7. Footprints On Water
8. A-So-Bi-Ma-Sho
9. Wind (Reprise)
「Wind (Reprise)」
プログレとジャズの華麗なるフュージョン
ゼヒ聴くべき。
つか聴かずしてPRISMを語るなかれ。
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購入金額
2,200円
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購入日
1991年頃
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購入場所
きっちょむさん
2012/05/19
キング・クリムゾン、イエス、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、
ピンク・フロイド・・・。
いまどきの流行音楽より、よっぽど複雑で、深く、メロディアスなんですよね。
初めて聴いたときは衝撃的でした。
日本のプログレバンドは聴いたことが無かったので、
タメになります。良いバンドですね^^
cybercatさん
2012/05/19
PRISMはデビュー当初は(メンバーがクロスオーバーしているせいもあり)THE SQUAREと似たような路線だったんですが、このMOON時代のあたりからかなりプログレチックになりましたね。その後少し環境音楽っぽくなってしまったこともあったんですが...
1970年代後半はかなりの人気を博したバンドだったんですが、いまは知る人ぞ知る、になってしまいました。