※ 2012.08.04 加筆修正
ついに解禁となりましたねivy bridge。
今回のレビューでは、ivy bridge最上位CPU Corei7 3770Kと前世代CPU Corei7 2600Kを、様々な視点から比較検証してみたいと思います。
目次:
(1). イントロダクション
(2). 外観
(3). 仕様
(4). ベンチマーク
(5). 消費電力
(6). 温度比較
(7). 総評
パッケージは文章が若干違う程度でほぼ同じです。
横に並んでいたら間違えて購入してしまいそうです。笑
3770Kの産地は初期出荷でよく出回るマレーシアでした。
そのうちコスタリカなんかも市場に出回ってくるのですか?
CPU背面には抵抗やコンデンサが並んでいますが、配置と数が変更になっています。
(CLWさん情報ありがとうございます!)
付属CPUファンは2600Kと比べてフィンの厚みが若干薄くなっていました。
TDP77W対応によるところの設計変更でしょうか?
しかし、実際のところヒートスプレッダとコアの間には、
半田ではなくグリスが塗られている情報もあり、放熱性は今ひとつという情報が飛び交っていることを考えても、Sandy bridgeに比べ熱いのですから、設計仕様を変えたほうが良い気がします。
IvyBrdige世代3770KとSandyBridge世代の2600Kの仕様を表に纏めてみました。
IvyとSandyで大きく異なる点は、製造プロセスルールが32nmから22nmにが微細化されたという点。それによりTDP95Wから77Wに減少されています。そのほかにも最新トレンドに合わせ、メモリ駆動周波数の向上や、PCIe3.0への対応、CPU内蔵グラフィックスの更新など細々と変更がなされています。しかし、CPUマイクロアーキテクチャ自体に変更はありませんので、CPU単体性能の比較だけなら、大きな差は生まれないとのことです。
前々世代CPUであるNehalemからSandyBridgeに世代交代する際にはCPUマイクロアーキテクチャの変更があり、周波数や性能面において劇的な進化がありましたが、それに比べると今回の変更は、割と小粒のものになると思います。
なぜ、CPUマイクロアーキテクチャを更新しないのかというと、Intelは「Tick Tock」という開発手法で、新CPUを投入しており、“Tick”で製造プロセスルールの更新、“Tock”でCPUマイクロアーキテクチャを更新するという形で、製造プロセスルールとCPUマイクロアーキテクチャを同時に更新しないことにより、安定した性能アップを図っているようです。
つまり、IvyBridgeは「Tick Tock」でいうところの"Tock"にあたる製品。消費電力などの削減を主眼として開発されたCPUということになります。
3770Kと2600Kの性能の比較をベンチマークで検証していきたいと思います。
今回の性能比較検証を行うために、以下のPC環境を用意しました。
CPU内蔵グラフィックスの性能差を明らかにするため、外付けGPUを使用していません。
また、定格/4.2GHz/4.4GHz/4.5GHzとオーバークロック時の挙動なども併せて調べ、Sandy BridgeとIvyBridgeで異なる点があるかどうかグラフ化しました。
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【OS】Windows7 Ultimate 64bit
【CPU】INTEL Corei7 2600K
【CPU cooler】CNPS9900 MAX RED LED
MB】MSI Z77A-GD65
【RAM】CMZ16GX3M4A1600C9・・・4GBx2枚の8GB構成
【SSD-SYS】Plextor PX-128M2P
【SSD-GAME】インテルSSD X25-M G2 120GB
【HDD-DATA】WD2002FAEX
【GPU】CPU内蔵グラフィックス
【CASE】Antec DF-85
【PSU】Antec HCP-850
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┏■ CINEBENCH R11.5
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CINEBENCH R11.5は、メニーコア対応の演算処理計測を得意とするベンチマークソフトで、CPU単体のパワーを図るには最適です。
グラフを見る限りは、定格/4.2GHzまでは、ほぼ誤差レベルながら3770Kが2600Kに辛勝し、
4.4GHz/4.5GHzから3770Kが2600Kを突き放す形でスコアに伸びが見られました。
しかし、単純に3770Kはオーバークロック時の挙動は速い!と結論づけられるものではなく、グラフをよくよく見てみると、2600Kのスコアが4.2GHz以降伸び悩んでおり、4.4GHz/4.5GHzで値が殆ど変わらなくなってしまっています。
信頼できる値は、定格/4.2GHzまでと考えるのであれば、CPU単体性能においては、
IvyBridgeとSandyBridgeにおいて性能差は殆ど無いと考えるのが妥当と言えるでしょう。
内蔵グラフィックスの比較では、SandyBridgeのHD3000をIvyBridgeのHD4000が圧倒的に上回っており、性能比2倍向上と言う謳い文句は伊達では無いと言えます。
┏■ スーパーπ
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円周率計算プログラム「スーパーπ」は円周率を1.6万桁~3355万桁まで計算することができるWindows用プログラムです。CPU性能により、演算時間が変わるため、Benchmarkソフトとしてよく利用されているのですが、此方でも3770Kと2600Kはほぼ互角、若干ながら3770Kが優位という結果になりました。
CPUマイクロアーキテクチャの更新でないので、妥当な結果といえますが、
SandyBridge所有者からすれば、もうちょっと頑張って欲しいと感じる残念な結果です。
┏■ CrystalMark 2004R3
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CrystalMark 2004R3 は詳細なシステム情報収集機能を備えた総合ベンチマークソフトで、CPU性能以外のMEM性能やストレージ性能なども複合的に測定してくれます。
今回のような同一ソケットによる新旧CPUの比較を行う場合、CPU単体性能だけで無く、MEM周波数などの足回りの速さもPC性能に影響してくるため、CPU入れ替えによる全体性能の向上を見るためには、総合系ベンチマークは必須だと思います。
さて、肝心の性能比較を見ていくと、IvyBridgeである3770Kが2600Kを完膚なきまでに圧倒していることが分ります。詳細スコアを見てみると、ALU(整数演算速度)と、GPU(グラフィック性能)で、大きくスコアに差をつけています。さすが最新CPU、細かく見ていけば旧世代CPUと確実な差があるというが分りました。
┏■ PCMARK7
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PCMARK7は実際にソフトウェアを動かした時を想定し、サンドボックス内で実操作を模したエミュレートを行いスピードをはかるため、今回検証に使ったベンチマークソフトの中では、最も実挙動に近い結果を残してくれます。
ここでは予想に反して、定格~オーバークロックの全て環境下において旧世代のCPUである2600Kが3770Kを上回るスコアを記録しました。
スコアを細かく見てみると、CPU演算処理/GPU処理関係など全ての点で3770Kが上回っているのですが、「Video transcoding - downscaling」というテストのみ、大幅に2600Kを下回る結果となっていました。
Video transcoding - downscaling
CPU : 2600K / 3770K
SCORE:21080.27 / 6257.57 kB/s
3770Kに弱点が?と言いたいところですが、実のところ計測時のPCMARK7は3770Kに最適化されていなかったと思われ、直近に計測し直した結果では、3770Kが2600Kを上回る結果となっています。
最新CPUのベンチマークテストにはこういう落とし穴があるので、
気づかないと間違った報告をしてしまいそうです。
┏■ Final Fantasy XI
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ファイナルファンタジー11動作確認用のベンチマークで、
IvyBridgeが発表された当初から試してみたかったテストの一つです。
恐ろしい結果ですよね。オーバークロック4.5GHzのHIGH設定では、さすがにGPUパワーの壁にぶち当たっている感はあるものの全く問題なく動作するスコアを取得することが出来ました。
およそ9年前になるでしょうか、学生時代に半年ほどファイナルファンタジー11をプレイしていた時期がありまして、そのときに用意したパソコンがPen4 2.8GHz/MEM512GB/nVIDIA 5700と、当時としてはミドルハイグレード相当の性能で、スコア3000前後程度だったと記憶しています。
3770Kに内蔵されているGPU、HD4000が単体でそれを上回るスコアです。
勿論、CPU性能に助けられてる面もあるでしょうが、9年という年月を経て、
外付けGPUを超える性能を勝ち得るに至る・・・。
なんだか、時代を感じるベンチマーク結果です。
3770Kと2600Kの消費電力を測定してみました。定格電圧下におけるIvy Bridgeのスコアは素晴らしく、さすが最新微細化ルールである22nm適用をしたCPUだと感じました。2600Kと比べて20W以上の消費電力削減となっています。
ただし、オーバークロック後の消費電力の増大傾向は顕著で、全体的には2600Kを下回るものの定格運用時程の消費電力とはなっていません。理由の一つに、熟れた2600Kに比べ、オーバークロックの癖が掴み切れて折らず、余力を見て電圧を盛る必要があったという点があげられます。
今後、更なる情報展開が進めば、詰めたオーバークロックが可能となり、消費電力の差は大きくなってくると思われます。
むしろ問題点としては、2600Kの5.0GHzOCは簡単。3770KのOCは4.6~4.8GHzに壁があるということ。オーバークロックする以上、消費電力なんてある程度無視するものですが、その消費電力どうこうのまえに頭打ちする石・・・。
新リビジョンでは、是非廻る石になっているといいですねぇ。
最後に温度比較を実施してみました。
OCCTのPower Supplyによる20分間テストです。
予想通りの結果になったと言うべきか、コアグリスの3770Kは噂通り熱いです。
今回のレビューで4.5GHzに止めた理由はココです。
20分間のOCCTで70℃超え・・・。危険ですよ;
2600Kであれば5.0GHzでも70℃超えをすることはありませんでした。
更なるオーバークロックを試すには殻割りするしかないと思います。
もしくは、やはり新リビジョンのコアの半田化ですね。
Intel 最新CPU Corei7-3770Kは、噂通り2600Kを全ての面で上回っているCPUでした。CPU性能自体の向上は、ハッキリいて雀の涙ですが、微細化による消費電力の削減や内蔵GPUの大幅強化による全体性能の底上げはさすがと言わざるおえません。
特にファイナルファンタジー11のベンチマークでは、CPU単体だけで快適に動作しうる結果を残しており、9年・・・、10年越しの性能の進化には目を見張り、感動を覚えるほどでした。定格使用時におけるCPU性能としては文句無しでしょう。
問題は、オーバークロック時の伸びの無さと、温度上昇・・・。4.5~4.8GHz近辺で壁にぶち当たってしまうという問題と、ヒートスプレッダとコアの間に塗布された廉価グリスによる熱伝導特性の悪化の問題。どちらも、コアな自作erからすれば面白くはありません。CPU性能のみを考えれば、据え置きである現状、5.0GHzまで攻めることが出来る2600Kのほうが冷えてスコアの出せる石として面白いと感じます。
Kナンバーモデルは、暗にオーバークロックを推奨するかのような製品なわけですし。
せめて"K"ナンバーの付いたモデルだけでも、半田品にしてほしかったですね。
ただ、市場全体を考えれば自作ユーザーの数なんて数%程度でしょうし、その中でもOCを詰めていくユーザーは更に少ないでしょう。TDP77Wまで減少した石に半田は不要と考えるのも至極真っ当な発想だと思います。
いくつかの点において、自作er視点で不満の残る石ですが、全体性能としては文句の付けようが無く、現時点において、性能バランスの優れた製品だと言えます。是非、新リビジョンでは、Kナンバーモデルだけでも、半田に戻して欲しいですね。それだけで、もっと面白い石になっていくと思います。
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購入金額
32,700円
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購入日
2012年05月01日
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購入場所
CLWさん
2012/05/02
背面はコンデンサと抵抗だと思います。・・・(2極の半田ですから・・・あってもダイオードかなぁ)
やっぱり冷却の良いものが必要になるんですね。
ネイエフさん
2012/05/02
熱をもっちゃうのは残念ですが、消費電力の低さは魅力的です
Sheltieさん
2012/05/02
レビューの追記楽しみにしています!
きっちょむさん
2012/05/04
情報ありがとうございました。早速修正いたしました!
4.2GHz定格をOCCTに回して60℃前後になりました^^;
Sandy Bridgeは真冬でしたから一概に比較は出来ませんが、
それにしても熱いです;;
きっちょむさん
2012/05/04
逝っちゃいましたww
性能自体はやはり良い物ですし、
色々テストを重ねていきたいと思います^^
きっちょむさん
2012/05/04
4.8GHzとは豪気ですねっ!
そんな素敵OCレポート楽しみにしてますね^^
追記は月末までボチボチ足していこうと思います~。