ParheliaはAGP版を長く使っているのでこのAPVeは2枚目のParheliaになる。
Parheliaの名前を冠しているとはいえ、AGP版Parheliaに搭載されていた「Parhelia-512」ではなく、廉価版のP650向けだった「Parhelia-LX」を採用している。
基盤配置も同じParheliaで128MBながら大きく異なっており、発熱量も低下したのかAGP版よりファンが若干静かな印象を受ける…が、高回転の小型ファンであることは変わりなく、高音域が耳障りだ。
ドライバ及び対応OSは双方共通で、古いチップにも関わらず、公式ではVista用64bit版ドライバまで用意されている。このVista64bitドライバを使用すれば、Windows7 64bit版でも付属ユーティリティ共々動作する。但しチップ自体のDirectX9対応が限定的なので、Aeroは動作しない。
512とLXの違いは、3D関連の機能を削り、逆にマルチモニタ関連の仕様を拡充したものになっている。なので3D性能で見るとこのParhelia APVeはAGP Parheliaに負けてしまう一方、マルチモニタの解像度・デジタル/アナログの組み合わせ等の制限が緩和されているのだ。
私が丸6年以上使ったAGP4x版のパッケージは、3Dフライトシム等3D性能を積極的に強調しているのに対し、このAPVeはマルチメディアや動画関連を意識したパッケージとなっており(AGP版は日本語版、APVeは英語版パッケージなので一概には言えないが)、内容には大きな差が出ている。
この「2つのParhelia」の差は、MATROXの路線変更を象徴しているとも言えるだろう。
その後発売されたP690は、性能は維持しつつ再設計による発熱量の低下を行い、P650/750/Parhelia APVeの後継という扱いになった。3D性能を意識して投入された「Parhelia」は路線変更を経てP6XXに統合されるという形となり、その名は終焉を迎える事になる。
その後発売された「Mシリーズ」はWindows7、そしてWindowsAeroに対応するなど時代に沿った路線維持の正当進化を行い、名前こそ消えた「Parhelia」もParhelia-LXチップを継承した先述の「P690シリーズ」が継続販売されている。
製品名としては消えたが、搭載チップとしては生きている「Parhelia」。その姿に名前の語源である「幻日」を連想してしまうのは、私だけだろうか。
さて、このPCIexpress版Parhelia、付属品完備3970円という(Parheliaにしては)破格の値段につられて購入してしまった訳だが、私にとっては非常に危険なアイテムなのだ。
私のメインPCは、AGP版Parheliaに拘ったせいで非常に特異な構成になっている。
LGA775ソケットAGPスロット&DDR2スロットを持ったASRock製「変態」マザー、改造BIOSを使用してこのマザーの使用可能限界性能といえるE7600&DDR2 4GB化。
しかしWindows64bitを使用しているもののVIAチップセットの制限により実質32bit容量のメモリ。2つしか無いSATAポートとAHCI使用負荷の縛りがあるので本来の性能を出せないSSD。
足りないUSBポートに、USB3.0やeSATAといった高速インターフェイスには非対応。
それらを我慢して、なんとか改善して、使い続けているのは全てAGP Parheliaの為。
しかしだ。このParheliaAPVeを使えばどうなる?答えは明白だ。
AGPという枷が無くなるのだから、最新のCPU…手持ちの2700Kに限らず、AMD FX 8150による8コア化だろうが、8スロットのDDR3を持つi7-3960を使ってのワークステーションばりの性能だろうが、このParheliaにを搭載できるのだ。
3D性能を削られたParheliaといえど、正直今のスケールでみたら0.5が0.25になったようなもの。CPUでいくらでもリカバーできる程度だしそもそもこのPCでゲームはやらない。
それを証明するかのごとく、先日のレビューマシンにAPVeを挿した時のスコアは全てにおいてメイン変態PCを上回っている。D2Dの値だけ上回っているのは「Parhelia512」の意地なのだろう。
ならば色はどうだ?そうだ発色だ。ぶっちゃけ見た感じ差はわからんっつーかモニタ側の設定でどうにでもなるんだが、一応以前ParheliaとRadeonHD4670を比べたらDVIでも差が出ていたのだ。
NEC PA241WのDVI系統2(左)に、E7600&Parhelia AGP、系統1(右)にi7 2700K&Parhelia APVe。
準備はできた。以前使ったテスト画像が見当たらないので突貫で作った。
OK、さっぱり差はわからねえ。当たり前だ。同じParheliaで同じOSで同じ画像で同じ出力形式で同じモニタなのだから。正直以前HD4670との差が出たコトに驚いたくらいだった。
こうなるのは判っていた。PCIex版をとっとと入手していればこんな扱いにくい珍妙な構成の自作PCなど作らなくてもParheliaを使い続けることは可能だった。Pentium4マザーが不調になった時、大人しくこのAPVeを買っていればよかったのだ。
Parheliaに拘り続けるという事自体はっきりいって自己満足の領域だったのに、更にAGP版を無理して使い続け、いつしか「方法」が「目的」となり、副産物だったはずの奇妙な構成をしたPCをいかに強化・変態化するかに意識がいっていた。あくまでパソコンは道具だというのに。
APVeを入手した今、このPCは最早奇妙な組み合わせで動かすかの実験PCとしかなりえない。2700KにZ68マザー、16GBのDDR3に120GBのSATA3SSD…同じ発色のParheliaを使い、圧倒的な高性能を叩き出すパーツはそろっている。
私はパソコンのサイドパネルを開け、各所のネジを外し、Parheliaを取り出し、そっと箱にしまった。
Parhelia APVeを。
本件に関しては、一切の検証を無かった事とする。
そう、私は2つのParheliaを比較の上、AGPにこだわる必要など何処にもないという事実は知らないのだ。だから「あの」PCを2012年も使い続けるんだ。手段と目的が入れ替わった典型例。
…あ、PCIexとAGPスロット両方持ってるんだからデュアルParheliaとか…(オイ
2011/12/31
2012/04/09、前日よりAGP Parheliaに画面乱れが発生していたのでついにこちらへ交換する事に。とはいえこれも発売は05年だけにどれだけ持つはか判らない。せっかく変態構成を維持するぞと決意したのに4ヶ月でこのザマとは、まだまだ私も根性がないですね。
とにもかくにも高音域のファンをどうにかしたいので手持ちにあったジャンククーラーを装着。
ParheliaAGPと穴位置が異なる分少々ムチャだが汎用クーラーが装着できた。
しかしそのクーラースペーサーが不良品でバックパネル無しでの無理やり装着になってしまっていたので、ZALMAN製クーラーへ更新。
長くもってくれるといいなあ。
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購入金額
3,970円
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購入日
2011年12月頃
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購入場所
PC DEPOT
はにゃさん
2011/12/31
どうも下小川さんの買うものには微妙に惹かれるんですよね…
やばいなぁ。
とっぷりんさん
2011/12/31
ぱへりあへの愛を感じるレビューでした。
(誤)・まだあのパーツつかってんのか?
(正)・まだいけるよな!
下小川さん
2011/12/31
微妙にズレたモノばかり買ってるんで結局は実用性無いものが多いですが!>私のモノ
というわけでパヘはまだいけるよな!
Vossさん
2012/01/01
新年早々、軽く吹いたわwww
つか、2700Kのマシンにコレ入れればええやん・・・・
下小川さん
2012/01/01
アーアーキコエナイ
まあ、今のParheliaを半ファンレス化改造してしまっているので、同等の静音化を目指すとAPVeも改造しなきゃならないのが一応厄介なポイントではありますが…まあ、変態PCが何らかのカタチで不調になったら考えます。