T-SQUARE、今でも活動を続ける「ジャパニーズフュージョン」の老舗バンド。活動開始は1978年だから30年選手。その長寿バンドの転換点となったのがこのアルバム「NATURAL」。このときのメンバーはギター安藤まさひろ、サックス伊東たけし、キーボード和泉宏隆、ドラムス則竹裕之、ベース須藤満。つまり同バンド最大のヒット曲「TRUTH」=F1テーマソングの時の黄金メンツ。さすがに30年超の長寿バンドになるとメンバーチェンジは避けられないが、このときのメンツは比較的長くバンドに在席した。リズム隊の若い二人はその「TRUTH」あたりから15年にわたってバンドを支えるし、キーボーディスト和泉宏隆も多少先加入の先脱退になるがやはり15年バンドにいた。そして安藤まさひろと伊東たけしはデビュー時から連続してバンドに在籍していた。そんな安定期、とも呼べる彼らが新しい風を呼び込むためにとったのが当時LAフュージョンで人気を博していたThe Rippingtonsの中心人物Russ Freemanをプロデューサーにすえることだった(一部の曲は共作)。結果、The Rippingtonsのように構築・計算された音像処理と伊藤のとるラインの明快さと和泉の運指の流麗さが際立つすばらしい盤となっている。直前の2枚の「TRUTH」路線のロック色が強かったものにかわり、さわやかな音色・楽曲と凝った音像処理/残響処理で彼らのアルバムでは特異な存在となっている。
「CONTROL」。深いディレイをかけたギターのカッティングで始まり、ドラムがインしてくるが、ハッとするほど際だった音色。このアルバムで多用されるスプラッシュシンバルのキレが良い。伊藤のEWIもリバーブが効いておりさらにオーバーダビングにより独特の太さを持っている。これだけ深い音響処理をしているにもかかわらず゜、「間」が大切にされたアレンジで、ブレイクの余韻がたまらない。
「WIND SONG」。サビ以外は常にシンコペーションリズムのキーボードシーケンスでリズムリードされる曲。ドラムはサビ以外バックビートを叩かない。遠くで鳴るキラキラしたキーボードのリフがThe Rippingtonsっぽいが、それもそのはずRuss Freemanとの共作だ。ピアノ(音響処理が深いので生ピかエレピかわからないが)の流れ落ちる水のようによどみなく流麗な和泉宏隆のソロがすばらしい。
曲調的には浮いている「RADIO STAR」も本編収録版の方が遊んであって、英語での男女の寸劇がイントロに被っていたり、イントロ後のドラムのタム回しが音響処理によりベンドダウンする効果音に加工されていたりして楽しい。音の破裂感がノリを出している。
所持する盤は初回限定盤の特典8cmCDが付属するタイプ。こっちに入っている「RADIO STAR」の方がEXTENDはされているが音加工は少なめで寸劇もない、というリミックスの方が地味というおもしろい造り。このアルバムの後彼らには大転機が訪れる。デビュー当時からのフロントマン、伊東たけしの離脱だ。もともと海外、特にLAでの活動を志していた伊東が独立するきっかけになったのがこのアルバムなのか、伊東のLA志向が本アルバムの制作でも飽き足らなかったのか、どちらが先かはわからないが...現在伊東は復帰しているが、和泉と則竹、須藤が今度はいない。黄金メンバーの最後の一花となった盤。
そうそう本アルバムは彼らが全米進出を伺っていた時期のものであり、ミックス違い(曲も少し絞られている)の「U.S.Version」も存在する。あ、当然持ってますが...(^^ゞ【収録曲】
<DISC-1>
1. CONTROL
2. DAISY FIELD
3. WIND SONG
4. WHITE MANE
5. HAPPY SONG
6. SNOWBIRD
7. LABYRINTH OF LOVE
8. UP TOWN
9. RADIO STAR
10. LAST RAINDROPS
<DISC-2(8cm)>
1. RADIO STAR(REMIX)
2. GO FOR IT
T-SQUARE official site
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購入金額
3,200円
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購入日
1990年頃
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購入場所
kazさん
2011/10/29
私も、持ってます、このアルバム。
EWI欲しくて欲しくてたまらなかったんですよね~。(今でも欲しいですが、笑)
cybercatさん
2011/10/29
>EWI欲しくて欲しくてたまらなかったんですよね~。(
そっちいきますか~!!