所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。新たなジャンルとの出逢い．．．いつも耳に入る音楽でイイナ、というのを気にかけたりしている。場合によってはその場で確かめて買って帰ったりする。そんな突然新たなジャンルを識ることになったきっかけの作品をご紹介します。

「女子JAZZ」、そういう分野が確立したのは2010年頃だろうか？それまでジャズの中にもボーカルものとインスト、というおおぐくりのジャンル分け以外にもモダンジャズ、スタンダードジャズと言った作風による違いや、ビッグバンド、トリオという編成の違い、電気モノを入れるか否かの音色の違いなどで様々なジャンルがあった。

ただいずれのジャンルもプレイヤーに対する深い洞察を要求するとか別アレンジの知識を要求するとか、きちんと聴くには知識が必要な分野とされていたのは事実。それ故ジャズのリスナーはマニア化して閉じた世界を形成していた。それが女性向けのガイドブックなどの整備で、ウンチクなどにこだわらず「良いものは良い」と直球で来る一般の女性たちに間口が広がった。

その「女子JAZZ」のカテゴリーの中に、「ディズニーや流行歌のように知名度の高い曲をジャズアレンジで演奏する」というものがある。さらにこの中にも幅があって、「元曲のカラオケにジャズっぽいソロを挟んだだけ」というお手軽なものから「元曲のメロディの一部、コード進行などのみを採って、それからインスパイアされた演奏を即興で行う」といったかなりディープなものまで。

今回ご紹介するのは、そこまでディープなものではなく、元曲のメロディは完全に判る。ジャズと言っても過半はジャズテイスト、程度。ただ識っているメロディがカッコよくアレンジされているなぁ～、と足を止めるきっかけになった作品でもある。グループ（ユニット名）は、キーボーディスト野上朝生が使う名義の1つ、ALL THAT JAZZ。野上がキーボードを弾き、他の楽器は基本打ち込み。歌入りの曲はCOSMiC HOMEのクワバラユリコが歌っている。クワバラは、ポップデュオの片割れなので、加藤登紀子や米良美一の歌のようにガッツリ対峙することなく、肩の力を抜いて聴ける。ジブリの主題歌や挿入歌で取っつきも良いし！

「海の見える街」。もっともジャズっぽいかな．．？4ビートをベースに、ちょっとシャッフル気味に進むこの曲は結構ガンバってプログラミングしている。スネアの装飾音、ヘッドのバウンスを拾ってロールっぽく“サザッ”といわせるドラマーの手癖っぽい奏法も再現している。野上のピアノとも合ってイイ感じ（つか、即興でなくあらかじめ決めたソロと、打ち込みなので「決められた合い方」であり「即興で目を見交わしてビシッと」ではないが）。

「やさしさに包まれたなら」は．．．これはジャズじゃないな。元歌がユーミンなので当然とも言えるが、歌い方もポップスの歌い方だし、リズムも2ビート。まぁ、ウッドベース（の音）でベースがとられるのと、ピアノのヴォイシングがジャズ風なので、ジャズテイストって感じ？

「風の谷のナウシカ」は、イントロあとのブリッジ部分がツースリーのようなリズムカウントでカッコイイ！！けどこれもジャズとは言わないな、8ビートだし。でもハイスピードでジャズ風の味付けがされたこの曲はイイ！これが魔窟ヴィレヴァンで聴こえて興味をもったワケ。グリスを多用した野上のダイナミックな演奏が聴ける。これはこれでアリ？？

まあ「2」

の方にも書いたけどジャズ、というのと「打ち込み」は相性としてはイマイチなんだけど、ポップスのジャズ風アレンジ、と考えれば目を三角にする必要もない。曲としては「2」よりも有名どころが揃っているので、「通り」はよいし。

肩肘張らずに聴きましょうｗ

中身とは関係ないが、テトはもう少し可愛く．．．

【収録曲】
1. 君をのせて（「天空の城ラピュタ」挿入歌）
2. 海の見える街（「魔女の宅急便」挿入曲）
3. やさしさに包まれたなら（「魔女の宅急便」挿入歌）
4. 風の通り道（「となりのトトロ」挿入曲）
5. となりのトトロ（「となりのトトロ」エンディング主題歌）
6. 人生のメリーゴーランド（「ハウルの動く城」主題歌）
7. カントリーロード（「ハウルの動く城」主題歌）
8. もののけ姫（「もののけ姫」主題歌）
9. 風の谷のナウシカ（「風の谷のナウシカ」シンボルテーマソング）
10. ナウシカ・レクイエム（「風の谷のナウシカ」挿入歌）
11. 時には昔の話を（「となりのトトロ」エンディング・テーマ）
12. 崖の上のポニョ（「崖の上のポニョ」主題歌）

出逢いの．．．「風の谷のナウシカ」