所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。腕のあるジャズピアニストにして名声あるセッションマン。そういった自身の立ち位置、評価が固まった人が新しいフィールドに出て行くことは難しいものです。そんな中晩年まで新しい世界に果敢に挑戦したひとの作品をご紹介します。
Victor Feldman。1950~70年代を中心に活動したマルチプレイヤー。当初ドラマーとして音楽界に現れたが、その後ヴィブラフォンやパーカッション、ピアノと進み、晩年のリーダー作はほとんどキーボーディストとしてそのプレイを残してきた。
本作は1982年の作品。ちょうどジャズにロック/ポップ調のわかりやすいメロディ・構成を加えたクロスオーバーが流行っていた時期。彼のこのリーダー作も、その方程式で語られる。フュージョン、とくにジャパニーズフュージョンはかなりロックの比重が強く、ハードなものが多いが、これは軽やか。それはこの手の音楽では珍しく、フルートが通しで入っているからかもしれない。
メンツはVictor Feldmanがアコピとローズ、Hubert Lawsがフルート(アルトフルート含む)、Harvey Masonがドラムス、Lee Ritenourがギター、Abraham Laboriel (Sr.)がベース、パーカッションがAlex (Neciosup) AcuñaとMilt Hollandという感じ。HarveyとAbeの盤石コンビにAlexの躍動感溢れるパーカッションとくればノリノリのイメージだが、VictorのローズとHubertのフルートが軽やかで、大部分は意外にライト。
「Secret Of The Andes」。ラテンアメリカっぽい民族音楽風のリズムがひとしきりやられ、異国風の鉄琴のようなミュートしたオルゴールのようなな音で呈示されるテーマをその後ピアノがなぞる。ドラムはいわゆるバックビートではなく、16ビートのハイハット+バスドラム中心のパーカッシヴなものでかなり躍動的...と思ったら、この曲だけドラマーにAlexが入っている。Alexならこのノリ、判るな。あとイントロなどの民族音楽風のパーカッションの複合リズムはHarveyやAbe、Victor自身に加え、後に“Generation Band”で共演することになる実息Trevor Feldmanも加わった大所帯によるのもの。でもここでの聴き所はVictorのパーカッシヴでラテンでジャジィなピアノソロで、イントロの民族音楽調のリズムや「Andes」というイメージで軽く聞き流すと、中間部の熱いプレイを聞き逃す。
「Stick Together」は、Leeのギター炸裂!コンプレッサーの効いた音色でブルージィ、メロはあまり後年は聞かれないほどアーミングを使って表情豊か。支えるVictorのピアノプレイもゴージャス。意外だったのが、この手の曲調に合うと思っていなかったフルート!ちょっとリップノイズ大きめで、コード弾きガンガンなピアノやわりにハードなギターに負けていない。
「Let's Go Dancin'」。フルートで軽やかに始まるフュージョンチューン。これはドラムスかな。Harveyのフィルインが素晴らしい。いわゆるロック系の派手なものではなく、スネアのロールやハイハットでリズムリードしながら部分的に使うシンバルのタッチなどが、この軽やかな曲に彩りを添えている。Abeのベースも高速ランニングベースでノリノリ!
このアルバムはホントはVictor Feldman個人名義だけど、日本初出時には先に触れた“Victor Feldman's Generation Band”の作品群
とともに“L.A. SUPER RHYTHMS”とまるで“The L.A. Express”
をパ○ったような名前で上梓。その後の再発盤ではジャケットも含めて変更され、Victor Feldmanの単独名義になっている。オトナの事情?w
残念なのが古いCDなためか、とても録音レベルが低いのと(最近のコンプレッサーを薄くかけて音量ベースをあげて音圧を稼ぐのが好きなわけではないけど、あまりに小さすぎる)、曲にプチプチとノイズがのること。さすがに古い録音とは言え、マスターテープにそんなノイズはのってないだろうから、CDの蒸着面、傷んできちゃったかなぁ...そこ☆マイナ1で。
【収録曲】
1. Secret Of The Andes
2. Chasin' The Sunrise
3. Let Me Count The Ways
4. Stick Together
5. Valentino
6. Let's Go Dancin'
7. Down In Cancun
「Secret Of The Andes」
楽曲自体は良いが録音が...
経年劣化なのかもしれないが....(実際にこれとは別だが1枚読み込みが難しくなった盤があるので)
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購入金額
3,500円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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