SENNHEISERの定番ヘッドフォン、HD650を以前から使っていた訳ですが、そのHD650と同クラスで人気を二分する定番モデルと言えば、AKG K70x系があります。
厳密には同系統のシリーズモデルとして
・K701(初代。現在は製造完了)
・Q701(クインシー・ジョーンズ シグネチャーモデル。ここからリケーブル対応)
・K702(現行のレギュラーモデル)
・K702 65th Anniversary Edition(K702をベースに小変更を加えた記念モデル)
・K712 PRO(上記記念モデルベースで添付品などが変更された上位モデル)
があり、さらに同一型番でも製造時期などによって細かく仕様が異なっていたりします。
この違いをわかりやすく解説しているeイヤホンさんのブログ記事がありますので、詳しくはこちらをご覧下さい。
HD650はヘッドフォンをどれか一つだけ使えと言われれば、迷わずこのモデルを選ぶという程度に気に入っていますが、そうなってくるとそのHD650と人気を二分するK70xシリーズも気になってしまい、そのうち買ってみようと思っていました。今までに販売店での試聴は何度かしているのですが、やはり自分の環境で聴かないと何とも言えない部分がありますからね。
というわけで、付属品欠品という理由で値段が下がっていた中古品を買ってみました。
比較的最近の製造分で、製造国はほぼ例外なく中国になってしまったようですね。
付属品欠品だったはずなのですが、国内代理店を通っていることがわかる保証書や、説明書などが付いていますし…。
欠品と書かれていたケーブルも残っていて、6.3mm-3.5mmの変換アダプターもきちんとありました。「付属品:本体のみ」という表記は何だったのか…。
後期モデルでは装着感も改善
これが比較的最近の製造分であるというのは、このヘッドバンドを見ればわかります。
K701/Q701/K702でどうしても好みが分かれるポイントであったのが、ヘッドバンドのフィット感を改善するとして設けられていたコブのようなパーツでした。これが合う人は気にならないのですが、合わないと装着していると違和感しかしないとか、痛くなってくるとか、色々と批判された要因となっていました。実際に私も販売店でK712 PROとK702を同時に試聴した際に、このコブの存在は結構気になっていまして、K712 PROの方に好印象を持っていましたからね。
AKG側もその評判を理解したのか、K702 65th Anniversary EditionやK712 PROといった後発のモデルではコブを廃して革が頭部に接触するように変更されました。そしてレギュラーのK702でも、比較的最近の出荷分からこのコブなしヘッドバンドへと変更されたため、コブが無いものは比較的最近のものという事になる訳です。
さて、折角ですから音質の方にも触れておきましょう。今回は基本的にこの組み合わせで試聴しています。
よく「低音のHD650、高音のK70x」と言われますが、一聴すると確かにそのような印象を受けます。
しかし、だからといってHD650の高域の質が悪い訳でもなければ、K70xの低域がきちんとでていないという訳でもありません。
HD650は空間が濃密で、量感や空気感を存分に味わえるという良さがあるのですが、K70xは透明感があり響きの美しさが目立つという特徴があります。特にピアノやヴァイオリンの響きの美しさはこの製品の大きな特徴です。
例えていうならこの作品のヴァイオリンなどは、K702の良さがはっきり出るソースと言えるでしょう。ヴォーカルの美しさを評価されている部分もある製品ですが、個人的にはヴォーカルの子音部分が強調される傾向の音と感じますのでこの辺りはHD650と比べても一長一短でしょうか。
ただ、個人的に今までの試聴で今ひとつ評価出来なかった部分があったのですが、自分の環境で聴いてはっきりと理由がわかりました。私が良く試聴ソースに使う
辺りのソースを聴いたときに、中低域の密度感が薄くなる傾向があったのです。面白いことにアニソンの一例として試聴に使う「東京1/3650 / 南條愛乃」辺りの、日本国内で制作されているようなソースではこの傾向は全く出ません。
以前試聴した記憶ではK712 PROではこの密度感の薄さはさほど感じませんでしたので、ひょっとするとイヤーパッドの構造の差が影響しているのかも知れません。K702 65th Anniversary Edition以降では低反発素材を採用しているため、耳への密着度は高まっているはずですからね。もっとも、交換用イヤーパッドの部品代にも大きく差が付いていますが…。
個人的な好みで言った場合、HD650の満足度を10点満点とすると、K702は8.5~9点程度でしょうか。実力的には確かに良い勝負ではあると思うのですが、私が聴くソースとのマッチングという意味でやはりHD650の方に分があると感じました。ちなみに以前から使っているaudio-technica ATH-AD10やSONY MDR-1Rを同じように採点すると8~8.5点程度ですね。
もっとも、中古市場に目を向けた場合、何故か新品価格の差以上にK70x系は安く入手出来ることがありますので、コストパフォーマンスという意味では素晴らしいものがあります。新品で買うなら素直にK712 PROをお薦めしますが、中古で今回程度の価格であればK702でも文句なしにお買い得と評価出来ます。
なお、ケーブルをOYAIDE HPSC-X35/2.5mに替えてみた際のレビューも追加しましたので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
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購入金額
11,318円
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購入日
2016年05月26日
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購入場所
ソフマップ
harmankardonさん
2016/05/26
広い空間は,K70xの特徴ですね.
AKGはケーブルがイマイチなので,本当の実力はリケーブルしないとわかりません.
性格は変わりませんが,評価は変わると思います.
jive9821さん
2016/05/26
実は「付属品全なし」という表記にだまされていて、ケーブルも早々に買ってしまいましたので、近日中にリケーブルの結果もレビューしたいと思います。
ただ、HD650も標準ケーブルでの音を基準にしていますので、RAL-DSDHA2とiHP-35S-XLRの組み合わせによるバランス接続で別格の音になってしまいますからね。どうせならK701の4芯ケーブルを維持してminiXLR 4pinにしておいてくれれば、より面白いところでした。
Takahiroさん
2016/05/26
jive9821さん
2016/05/26
まあ、あると書かれていた付属品が無いよりは、無いと書かれた付属品がある方が有り難いのですが、ケーブルは見ればわかるだろうとツッコミを入れたいところでした…。
ひょっとするとQ701やK712 PROといったシリーズモデルはケーブルが2種類付いてくるので、1本しか無いから欠品があると勘違いしたのかも知れません。
harmankardonさん
2016/05/26
ケーブルが無くても,この値段は,お買い得だと思います.
Q701で,4芯ケーブル化しようと考えたことがあるのですが,LからRへのケーブルが,ヘッド部のワイヤー自体をそのまま使用していることがわかり,止めました.
K70x系のバランス化は,やはり,両出ししないとダメだと判断しています.
HD650の純正ケーブルは,高級ケーブルには負けますが,純正としてはよくできていると思っています.解像度は不足していると思いますが,バランスが非常にいいです.
個人的な印象は,Q701をいくらリケーブルしても,HD650のバランス化には勝てませんでした.
jive9821さん
2016/05/26
本来はK712 PROが良いといっていた私がK702を買った理由は、この値段にあった訳です。ソフマップのポイントも少しありましたので、支払いは4桁で済んでいますし…。
バランス化のためにケーブル両出しというのは、使い勝手も含めてハードルが高いですね。K70xは大人しくこのまま使うのが正解という気がしています。
HD650の純正ケーブルは、質自体が良い訳ではないと思うのですが、HD650の持ち味を殺さないところが美点なのでしょうね。リケーブルすれば質は向上するのですが、純正状態もさほど悪いとは思いませんからね。
明日の夕方に時間があれば、リケーブルしたK702をじっくり聴いてみようと思います。今日は純正状態をじっくりと聴き込んでおこうと思いますので…。
harmankardonさん
2016/05/27
低音増強のかんたん改造です.”K702 シール剥がし”でググってみてください.
Q701でもさらに効果が確認できました.
jive9821さん
2016/05/27
シール剥がしの件は知っていたのですが、個人的にはK702の個性を考えるとあまり低域の量感が増えない方が良いのかなと考えていました。
リケーブルと送り出し環境の変更で、これはこれで良いんじゃないかな、と思える程度の音になってきたというのもありますが…。思いの外emagic a6|2mとの相性が良かったので、当分はこの状態で使ってみようと思います。