我が家のインターネット環境は有線LANのみで限られた場所でしかネットに繋げない状態ですが、PLCアダプターがあれば利用範囲を拡大できるので、大変ありがたいです。―ファーストインプレッション―
PLCアダプター 「PLC-ET/M2-S」のサイズは約100(W)×60(D)×42(H)mmと思ったより大きめな感じです。
親機&子機セットとなっていますが、ものは同じで、側面スイッチで親機⇔子機の切替が可能です。
また「PLC-ET/M2-S」の他にもPLC対応5個口OAタップ「PLC-OP/TP5」も付けていただきました。
私もそうですが、PCユーザーなら電源タップ多用でタコ足配線状態というのは珍しくないと思いますが、そんな状態なのにPLCアダプターをコンセントに直挿ししてしまうと、数少ないコンセントが埋まってしまいます。
当機が到着する前はどうやってコンセントを空けるかと考えていたのですが、「PLC-OP/TP5」を使用すれば電源タップと併用できるので、そんな心配は無用になります。
アイ・オー・データ機器様、本当にありがとうございます。
ちなみに「PLC-OP/TP5」の背面に壁掛用の穴が明いているので床に直置きしてホコリがたまって発火なんていう事態を避けることが出来て良いと思います。
私は木製ラックにネジを埋め込み、それに引っ掛けて固定しています。ただ、ちょっと残念なのは延長ケーブルの長さが1mと短めなことです。
PLCアダプターはなるべくノイズの少ないコンセントに差した方が良いと思うのですが、1mでは遠くの埋まっていないコンセントから引っ張ることが出来ません―セットアップ―
「PLC-ET/M2-S」は出荷時に初期設定や親機・子機の設定が既にしてあります。
開封後に試しに親機・子機にLANケーブルを接続し、それぞれ別のコンセントに挿して子機のLANケーブルをPCに接続してみたのですが、あっけないほど簡単にネットワークに接続することが出来ました。
また、メーカーの説明にはルーターから直接つなぐイメージになっていますが、ハブ経由でも問題はありませんのでセットアップの自由度は高いと思います。―通信速度について―
セットアップが簡単となると、次は通信速度が気になるところです。
まず、測定の条件を記載しておきます。
測定は(1)、(2)共に2010年11月16日の20:00から21:00までに行っています。
(1)「PLC-OP/TP5」を親機側(出力側)に使用する場合
1.測定はBNRスピードテスト(http://www.musen-lan.com/speed/)で下り・上り共に3回計測して平均値を転送速度と仮定する。(単位:Mbps)
2.測定に使用するPCは「ASUS Eee PC S101」とする。(Atom N270 1.6GHz)
「S101」にはウィルスバスター2011がインストール済、ファイアウォールはWindows標準のものを使用
3.親機は有線LANを引いている自室(2階)に接続し、電源には「PLC-OP/TP5」を使用する。
4.測定場所は以下とし、コンセントは何も接続されていない箇所を使う。
ブレーカーA(緑で表示)
①2階 自室(別のコンセントに接続)
ブレーカーB(青で表示)
②2階 洋室
ブレーカーC(黄で表示)
③1階 居間
④1階 和室
※配電盤は1Fにあります。
5.比較は自室の有線LANケーブル時の数値を100%に設定し、比較をする。下りに関しては、親機と同じ部屋内でも55%台なので、アダプター経由だと速度低下はどうしても避けられないようですね。
親機とは別のブレーカーのコンセントからでも動作は可能ですが、速度の低下は顕著です。
同じブレーカー内である③と④で大きく差が出ているのは、おそらく居間には電話機などが置かれている為ではないかと思うんですが、②はある程度電子機器から離れたコンセントを使用しているのに、これほど速度が低下する理由は検討がつきません。
ちなみに速度は確かに低下していますが、実際に各部屋でネットの操作をしている時は自室で操作するときよりは重たい感じはするけど我慢できないほどではないです。
上りに関しては、意外にどの場所でも速度低下はあまりないようです。
もっとも、ネットサーフィンなどでは下りの方が重要なので、あまり恩恵はないかもしれませんが。
(2)「PLC-OP/TP5」を子機側(入力側)に使用する場合
1.(1)と同じ
2.(1)と同じ
3.親機は有線LANを引いている自室(2階)のコンセントに刺す。
4.(1)で接続したコンセントを使用し、さらに「PLC-OP/TP5」を経由する。
5.(1)と同じ下りに関しては、(1)と比べると全ての箇所で速度が改善されています。
特にひどかった②で4.726Mbps→7.770Mbps、③では4.173Mbps→10.479Mbpsとそこそこ上がっています。
また(1)よりも速度のバラつきが少なく、割と安定した数値になっています。
「PLC-OP/TP5」はノイズが発生する機器の電源を「PLC-OP/TP5」側に挿してノイズを軽減させるためのもので、コンセント自体のノイズを軽減させるものではないと私は思っていたのですが、同じコンセント状況で接続してこの結果なので、「PLC-OP/TP5」を経由させるだけでもノイズ除去機能が有効なのがわかりました。
逆に上りに関しては(1)よりも低くなっていますが、それでも有線LAN接続時の60%以上の数値なので問題はないのではないかと思います。
今回のテストを以下のように総括しておきます。
1.別ブレーカーでも使用は可能だが、速度低下が顕著。
2.同一ブレーカー内でも状況によって速度が違う。
3.「PLC-OP/TP5」は子機側で使用した方が速度低下を防げる。
「PLC-OP/TP5」を子機1台につき1個用意するとなると、子機を増設する際に本体の他に更に追加費用がかかることになってしまいます。※もちろん、親機用にも用意するのが理想だと思いますが。
そうなると増設費用が結構高くなってしまうので、出来ればノイズフィルター付コンセントの数が少ない安価でコンパクトなPLC対応OAタップがあれば便利だと思います。
(番外編)子機側(入力側)に市販の電源タップを使用する場合
子機側に市販の電源タップを使い性能が維持出来れば「PLC-OP/TP5」を親機側に使えるし、増設費用も抑えられるのではないかと思い、再度テストしました。
電源タップには通常タイプと雷サージ機能付の2種類を使用し、電源は全て2階の自室のコンセントに挿しています。
また親機と同じコンセントに接続した場合もテストしましたので、速度低下の参考にして下さい。②の通常タイプのタップでは速度がかなり遅くなっていますが、雷サージ機能付はPLCアダプター単独で挿した場合と同等くらいになっています。
④では意外にも離れたコンセントに接続した場合よりも速度が低下しているので、親機と子機の距離は近ければ良いというものでもないようです。―LAN内でのデータ転送速度―
「PLC-ET/M2-S」は親機に接続したLANケーブルと同じワークグループに設定することが出来ます。
設定方法はPLCだから特別な設定が必要ということはなく、通常の設定で問題ないです。
私は既にワークグループの設定をしていたので、PLCに接続を変えてもPCの設定をいじることなくワークグループに入れました。
そこでPLCを使用してのファイル転送速度を測定してみました。
(1)ワークグループ間のデータの転送速度
測定状況は以下のようにしました。
1.PCは私が普段使っているメインPCとサブPCを使用。
メインPC:Core i7-980X Extreme Edition+X58・ICH10R Chipset+Windows7 Ultimate 64bit
サブPC:Core2Quad Q9450+G41・ICH7 Chipset+Windows7 Ultimate 32bit
※両PCにはウィスルバスター2011がインストール済でファイアウォールはWindows標準のものを使用
2.HDDはコピー元に「Western Digital WD10EARS」、コピー先「Western Digital Caviar Black WD1002FAEX」をSATA接続で搭載し、1GBのデータをこのHDD間でコピーする。
3.親機は有線LANを引いている自室(2階)に接続し、「PLC-OP/TP5」は子機側に使用
4.測定箇所は自室(緑表示)と2F廊下(2F洋室と同じブレーカーBで青表示)とする。
5.メインPCは有線LAN接続で固定、サブPCの接続を有線LANとPLCで切り替えて測定する。
6.比較はメインPC・サブPC共に有線LAN接続時の数値を100%に設定し、比較をする。
まずは使用するHDDのベンチマークテストを掲示します。2台のHDDは同じメーカーでも、シリーズが異なる為に性能差があります。
そこでコピー元に「WD10EARS」、コピー先「WD1002FAEX」を使用し、下り・上りの測定に合わせてHDDを入れ替えて測定し、HDDの性能差により測定結果に変動が出ないようにと考えました。
それでは測定結果です。あれ?有線LAN同士の転送速度で既に差が出ている(笑)
ウィルス対策ソフトなどは条件は同じはずなんですが・・・。
まあ、下りと上りで分けて測定結果を分析すれば問題ないでしょう(笑)
下りに関しては、②の同じブレーカー内でも46.98Mbps(有線LAN接続時の11.9%)、③の別のブレーカーでは14.91Mbps(3.78%)と通信速度の時よりも速度低下が激しいです。
別ブレーカー接続時は速度低下がさらに顕著で、1GBの転送に8分56秒もかかっていては実用的とは言えないです。
上りも⑤で47.86Mbps(7.31%)、⑥で11.34Mbps(1.73%)とかなり速度が低下しています。
通信速度のテストでは、上りは60%以上の数値を保っていたので意外でした。
また有線LAN接続では上りの方が転送が早いのに、同じブレーカー接続で同等、別ブレーカー接続で下りより遅いというのも気になりますね。
前提条件である有線LAN接続時でも差が出ているのでハッキリとしたことは分かりませんが、LAN内での転送速度では上りの方が弱いのかもしれません。
(2)DLNA対応プレーヤーでのテスト
PLCアダプターの使い道としてはPCへの接続だけでなく、DLNA対応プレーヤーやHDDレコーダーへの接続が考えられると思います。
そこで、PLCアダプターを使用してのDLNA対応プレーヤーの再生をテストします。
まずはHDDレコーダー、「TOSHIBA VARDIA RD-X9」でテストを行います。
1.使用するプレーヤーはPS3とし、「TOSHIBA VARDIA RD-X9」で録画したTSデータを再生する。
2.親機は有線LANを引いている自室(2階)に接続し、「PLC-OP/TP5」は子機側に使用
3.テストは9秒の動画を使用し、再生し終わるまでの時間を計測する。
4.テストは以下の設定で行います。
①PS3に有線LAN、RD-X9にPLCアダプター(自室のコンセントに接続)
②PS3にPLCアダプター、RD-X9に有線LAN(自室のコンセントに接続)
③PS3に有線LAN、RD-X9にPLCアダプター(2F廊下のコンセントに接続)
④PS3にPLCアダプター、RD-X9に有線LAN(2F廊下のコンセントに接続)
百聞は一見にしかず、というわけで動画を用意しましたので見てください。
結果は以下のようになりました。
①9秒(遅延なし)
②9秒(遅延なし)
③28秒
④1分11秒
やはり別ブレーカーへの接続ではDLNAプレーヤーは使えないようです。
また、TVキャプチャ ボード「I-O DATA GV-MVP/XSW」を搭載したメインPCでも試しました。
テストは設定の1と4を下記に変更して行います。
1.使用するプレーヤーはPS3とし、「I-O DATA GV-MVP/XSW」で録画したDRデータを再生する。
4.テストは以下の設定で行います。
①PS3に有線LAN、GV-MVP/XSWにPLCアダプター(自室のコンセントに接続)
②PS3にPLCアダプター、GV-MVP/XSWに有線LAN(自室のコンセントに接続)
③PS3に有線LAN、GV-MVP/XSWにPLCアダプター(2F廊下のコンセントに接続)
④PS3にPLCアダプター、GV-MVP/XSWに有線LAN(2F廊下のコンセントに接続)
こちらも動画を用意しましたので、見てください。
「GV-MVP/XSW」では結果は以下のようになりました。
①9秒(遅延なし)
②9秒(遅延なし)
③27秒
④36秒
「RD-X9」に比べればマシですが、それでも別ブレーカーへの接続ではDLNA対応プレーヤーは使えませんね。
あと(2)のテストで分かったのは、「PLC-ET/M2-S」は配信側(上り)の方が速いということがハッキリしました。
(1)で上りは弱いのではないかと分析したのですが、それは間違いのようです。―総括―
つながらなかったら返金可能という強気のペイバックシステムを採用しているだけのことはあり、セットアップはとても簡単に行えます。
ただ、親機と別のブレーカーのコンセント使用による速度に関しては、正直微妙と言わざるをえません。
特にDLNA対応プレーヤーを使用できないのは問題があると思います。
同じメーカー製であるTVキャプチャ ボード「I-O DATA GV-MVP/XSW」とセットでといったオススメができないのはメーカー側からしても痛いと思います。
現状での利用方法はネットサーフィンぐらいではないでしょうか。
もっとも、これは私の環境に問題があるのかもしれませんし、DLNA対応プレーヤーにしてもPS3以外を使用すれば改善されるかもしれませんが、私のような状況にもなりえるというネガティブなレビューとなってしまいました。
かげちゃんさん
2010/11/16
1. コンセントの物理的な場所が書かれていますが、ブレーカーが違っても通信できているでしょうか?
2. LAN内でのファイル転送のスピードはどうでしょうか?
3. 1つの親機に複数の子機という設定はできるのでしょうか?(複数の部屋をつなぐことはできるのでしょうか?)
退会したユーザーさん
2010/11/16
なお、配電盤を経由して送信されるので
配電盤の位置(普通1階ですが)記載
また同一コンセント内での接続(写真1)、タップ内での接続
のスピードも記載していただけるとありがたいです
(下記2点は実用上ありえないけど、速度減衰が確認しやすいので)
お暇ならよろしくお願いします。
ガトーさん
2010/11/16
かげちゃんさんの(3)1つの親機に複数の子機・・・というのは可能だそうです。
現在は、転送速度の問題で躊躇しておりますが、速度が上がるのであれば親機1つに子機2つという環境を目標に日々探求中です(^^;
現在20Mちょっとしか出ていないので、なんとか倍くらいまで上がってくれれば即採用なんですけどねぇ・・・・
ryo157さん
2010/11/19
monte1206さん
ガトーさん
コメントありがとうございます。
レスが遅くなってすみません。
かげちゃん さん
1.ブレーカーが違っても使用は出来ますが、速度低下が激しいです。
2.LAN内での転送速度のレビューを追加しましたので、良かったら見て下さい。
3.メーカーHPによると最大16台まで増設可能とのことです。
今回のプレミアムレビューでは親機・子機共に1台ずつしかないので、増設による速度変化などがテストできないのが残念です。
monte1206さん
同一コンセントや市販のタップによるテストを追加しましたので、よかったら見て下さい。
ガトーさん
20Mbpsとはうらやましいです。
私の場合、別ブレーカーだと10Mbps程度なんですよね。
operaさん
2010/11/20
わかりやすくて参考になります!
延長短いのはつらいです。。。(^^ゞアセアセ・・・
ryo157さん
2010/11/20
コメントありがとうございます。
1mでは延長タップとしては短いですよね。
市販のものは、もっと長いですし。
atsuo@tokyoさん
2010/11/21
あまりお薦め出来る使い方ではないと思いますが、速度低下させず延長は出来ます(^^;
>そうなると増設費用が結構高くなってしまうので、出来ればノイズフィルター付コンセントの数が少ない安価でコンパクトなPLC対応OAタップがあれば便利だと思います。
そう、通常タイプの延長タップ使用を前提とするならば、正にパナソニック製のPLCに付属しているノイズフィルター付き電源コードが理想です。
電源コードに補助コンセントが付いており、挿した後ろから他のプラグを挿せるようになっていて、それ自体にノイズフィルターが付いています。
ryo157さん
2010/11/21
コメントありがとうございます。
なるほど。
コンセント→延長タップ→PLC対応電源タップ→PLCではなく、
コンセント→PLC対応電源タップ→延長タップ→PLCで使用すれば
速度は低下しないということなんですね、参考になりました。
パナソニック製のを調べてみたのですが、電源コード自体がタップになっていて、コンセントを潰さないようになっているんですね。
確かにこれならPLC対応電源タップを別途購入する必要がなくて便利ですね。
atsuo@tokyoさん
2010/12/08
> コンセント→延長タップ→PLC対応電源タップ→PLCではなく、
> コンセント→PLC対応電源タップ→延長タップ→PLCで使用すれば
> 速度は低下しないということなんですね、参考になりました。
スミマセン、説明不足でした。
当方では、PLC自体はコンセントに近く
コンセント→PLC対応電源タップ→PLC
で繋ぎ、他のノイズを発生する機器用の延長タップをPLC対応電源タップから繋いでいます。
で、思っていたのが正にパナソニック製のようなコードだったら良かったのにということです。
コンセント→PLC対応電源タップ→延長タップ→PLCで私も試した時に安定はしましたが、速度が若干低下しました。3mの延長タップだったので、この長さによって低下率は違うかなと感じましたが、そこまで試しておりません。
ryo157さん
2010/12/12
コメントありがとうございます。
パナソニック製の方はハッキリと「ノイズフィルター付電源コード」となっていて、速度低下は防げそうですよね。
「PLC-ET/M2-S」はただ単に「電源ケーブル」としか記載していないので、おそらくノイズフィルター機能はなさそうですし。
退会したユーザーさん
2011/07/18
こういう製品のレビューは難しいだろうなあと、感心しながら読みました。
最近は家電が何でもネットワーク対応になってきているので、案外これからブレイクスルーがあるかもしれませんね。
むしろ、ブレイクスルーがあって欲しいなと思いました。
ryo157さん
2011/07/18
コメントありがとうございます。
家電への接続も、これなら簡単に済ますことが出来ますね。
あとは速度がでればという感じですね。