薄さわずか9mmのポータブルハードディスク「カクうす9」のSSD搭載モデルである。
製品の特徴は以下の4点だ。
・薄さわずか9mmのUSB 3.0対応ポータブルSSD
・SSD搭載により、高速アクセスを実現
・高精細な超薄型アルミパネルを採用し、高い剛性も確保
・UltrabookやMacBook Airにも似合うシンプルなデザイン
□━━■ スタイリッシュさを感じさせる外箱 ■━━□
シンプルでスタイリッシュな印象を感じさせる外箱。
デザインが重視された製品であることが伝わってくる。
外箱に書かれているとおり、今回のレビュー製品は、容量120GBのHDPX-UTSS120Kである。
□━━■ パッケージ内容 ■━━□
サイズの割りにはとても軽い外箱を開封してみる。
ストレージ製品ということだけあって、SSDは衝撃吸収材で厳重に包まれていた。
体積のほとんどは衝撃吸収材。どおりで軽い訳だ。
同梱物は、SSD、ケーブル、マニュアルと至ってシンプルだ。
□━━■ 外観を確認してみる ■━━□
「カクうす」という製品名のとおり、薄くて四角いボディ。
ヘアライン処理されたアルミパネルは良い質感だ。
実物を見るまでは、角が立っていて周囲の物を傷つけてしまわないかと思っていたのだが、角が軽く面取りされているので心配無用であった。
カラーはブラックということで、外箱などに掲載されている写真からしても、かなり暗い色を想像していたが、実物はブラックというよりもガンメタリックといった方が相応しいだろう。
約75(W)×110(D)×9(H)mmと非常にコンパクト。
スマートフォン(GalaxySⅢα)と比較すると、そのコンパクトさをお分かりいただけるだろう。
長さはスマートフォンよりも短く、幅と厚みは同じ程度。
例えるならば、名刺入れサイズ。
あまりにスリムなので、ぱっと見ただけではこれが記録媒体と分かる人は少ないだろう。
コンパクトなアルミボディはスタイリッシュなUltrabookとの持ち運びに最適だろう。
特にヘアライン加工が施されたアルミボディのASUS ZENBOOK(UX21E-KX128)とは相性抜群だ。
高速レスポンスが特徴であるUltrabookと組み合わせるのであれば、HDDよりもデータアクセスが高速なSSDが最適といえるだろう。
□━━■ ベンチマーク比較 ■━━□
「カクうす9」と手持ちの記憶媒体で速度比較をしてみた。
比較対象としたのは以下の3機種だ。
・Intel 510 SSDSC2MH250A2K5 250GB
シーケンシャルリード最大500MB/s、シーケンシャルライト最大315MB/sを実現した6Gbps SATA対応SSD。
内蔵SSDとして計測した。
・ASUSU ZENBOOK UX21E-KX128
搭載されているSSDは、ADATA XM11 128GB。
シーケンシャルリード最大500MB/sを誇る6Gbps SATA対応SSD。
・I-O DATA HDJ-UT1.5 1.5GB
USB 3.0対応による高速転送、静音ファンによる高信頼性を実現した外付ハードディスク。
使用されているHDDは、Seagate Barracuda 7200.11 Series ST31500341AS。
容量 1.5TB、キャッシュ 32MB、インターフェイス SATA2、回転数 7200rpm。
USB 3.0接続で計測した。
ZENBOOK以外はメインマシンにて計測した。
メインマシンの構成は以下のとおり。
【CPU】Core i7-2600K
【MEM】CORSAIR CMZ8GX3M2A1600C9B DDR3 1600MHz 8GB×2
【OS】 Windows 7 Professional 64bit
【M/B】ASUS P8Z68-V PRO
ベンチマークソフトは2種類を使用した。
・CrystalDiskMark (64bit)
御馴染みのベンチマークソフト。
データサイズ:1000MB、テストデータ:ランダムで計測した。
・AS SSD Benchmark
SSD専用のベンチマークソフト。
大小のファイルサイズと両方を混ぜた3種類のコピーを想定したコピーテストうを行った。
「カクうす9」に使用されているSSDだが、「CrystalDiskInfo」にて確認したところ、Intel 520 SSDSC2BW120A3 120GB であることが分かった。
Intel 520 120GBは、シーケンシャルリード最大550MB/s、シーケンシャルライト最大500MB/s、6Gbps SATAに対応したSSDで、510シリーズよりも高速である。
■CrystalDiskMarkによる計測結果
計測結果をグラフ化したものがこちら。
計測結果から、カクうす9は、
・Read、Writeともに内蔵SSDには遠く及ばなかった。
・Readについては、HDJ-UT1.5(外付けHDD)よりもかなり高速であった。
・Writeについては、HDJ-UT1.5(外付けHDD)と大きな速度差はなかった。
■AS SSD Benchmark
コピーテストでは以下の3種類のテストを行った。
ファイルコピーに要する時間ということで、より実利用に近い結果を得ることができる。
・ISO:巨大な単体ファイルのコピーを想定
・Program:多くの小さなファイルからなるフォルダのコピーを想定
・Game:大きなファイルと小さなファイルの双方を含んだフォルダのコピーを想定
左上:Intel 510 SSDSC2MH250A2K5 250GB
右上:ASUSU ZENBOOK UX21E-KX128
左下:カクうす9 Intel 520 SSDSC2BW120A3 120GB
右下:I-O DATA HDJ-UT1.5 1.5TB
計測結果を転送速度(MB/s)とコピー速度(秒数)でグラフ化したものがこちら。
計測結果から、カクうす9は、
・HDJ-UT1.5(外付けHDD)の2倍程度のコピー速度があった。
・ISOについては、XM11とコピー速度が同等であった。つまり、巨大な単体ファイルのコピーは高速である。
□━━■ 総評 まだまだ高価なストレージか ■━━□
外付けHDDよりも高速で耐衝撃性に優れ、しかもコンパクトサイズ。
ポータブルストレージとしてはとても魅力的だ。
スリム&コンパクトというSSDの特徴を最大限に活かしており、アルミパネルを使ったボディはクールの一言。
Ultrabookのようなスタイリッシュなラップトップと合わせて使うとより満足感を満たしてくれる。
しかし、内蔵SSDの高速性と比較してしまうと、どうしても見劣りしてしまうのも確かなことだ。
Intel 520の旧シリーズであるIntel 510の計測結果と比較しても圧倒的に劣っており、ただでさえ高価なSSDを購入しても、本来の性能の半分以下の効用しか得られないとなると、どうしても割高感を感じてしまう。
USB3.0対応のポータブルHDDとSATA 6Gbps対応のSSDでは、1Gあたりでおよそ10倍の価格差がある。
それを本来の性能を十分に発揮できない使い方をするのだから、SSDをポータブルストレージとして使うのは贅沢な使い方といえそうだ。
SSDの価格がもっと安くなればいいのだが、まずはUSB 3.0接続でSSD本来の性能を引き出せるようにするという課題があるだろう。
SATA-USBの変換効率が向上しなければ、やはりSSDはSATA3接続だねということになってしまう。
SATA接続時の速度に近づく程に割高感が薄まるので、この点はぜひとも改善していただきたい。
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