今回のプレミアムレビューではレビュー課題が応募時に入力した内容のみとなっており、決められた課題はありません。
私の応募した内容は「Androidタブレットで使えるか試してみたい。また、Wi-Fi対応のカードリーダーやDVDドライブなどで使えるかも試してみたい。」としました。
「カクうす9(HDPX-UTSS120K)」は、≪速い!薄い!軽い!≫とうたっている外付けポータブルSSDですが、私は省電力性に期待し Androidタブレットで使えるかを中心にレビューしたいと思います。
レビューは次の流れで行っていきます。
■外観
■スペック
■課題
■総評
それでは、まず外観から見ていきたいと思います。
パッケージには、本体、USB 3.0ケーブル(A-MicroBタイプ/30cm)、取扱説明書が入ってきました。
取扱説明書は 1枚紙を畳んだ簡単なモノですので、もう少し詳しい説明書はメーカーのWEBサイトで見る事が出来ます。
※HOME > ダウンロード > サポートライブラリ > HDPX-UTSS120K
内容物を取り出してまず目に付くのは、高級感のあるヘアライン加工された本体のアルミボディです。
底面もアルミパネルで覆われており、手に持った時のひんやり感がタマリマセン。
ここからはちょっと前にプレミアムレビューも行われたカクうす(HDPC-UT500K)と比較しながら見ていきたいと思います。
並べて置いてみるとほぼ同寸ですのでサイズの違いは感じられませんが、厚みが違うのが見てとれます。
カクうす9が 9mm厚に対し、HDPC-UT500Kは 14mm厚ですので手に持った時に明らかに違いを感じられます。
どちらも USB 3.0対応で、USB端子は独自な形状をしています。
真ん中に窪みがあり二つに分かれた様な形状をしていますが、長めの方は microUSB 2.0の規格になっており、USB 2.0規格の microB - Aタイプのケーブルを使用することで USB 2.0の転送速度で使用することが出来ます。
続いてスペックを見ていきます。
HDPC-UT500Kとの比較表を作ってみました。
≪速い!薄い!軽い!≫をうたっている通り、かなり小さく感じていた HDPC-UT500Kと比べても厚さ・重さ共に約 2/3程になっています。
しかしながらこの表では速度は両方とも USB 3.0となっており分かりませんので、実際に PCに接続して速度の計測を行ってみました。
計測に使用したPCは Windows 8 ノートPCです。
USB 3.0で接続を行うとカクうす9本体のアクセスランプが青色に点灯します。
ちなみに、USB 2.0時には黄緑色に点灯します。
計測は 0 Fullデータで行いました。
今までメインで使用していた USB 2.0接続のHDDと比べて確かに速いのですが、カクうす9は最高値で HDPC-UT500Kと比べてそれほど高速という訳ではないようです。
試しに約1.3GBの動画ファイルをカクうす9に転送してみたところ、138~140MB/sという速度が出ていました。
1.3GBを約10秒でコピーでき大変速いのですが、USB 3.0規格の転送速度は 5Gbpsですから、SATA 3.0に接続した転送速度(規格値 6Gbps)に迫る速度が出ても良さそうなのですが、難しいんですかね。
現状の転送速度だけを見ると、「薄さ・軽さ・扱い易さ」にこだわらないのであればカクうすの HDDモデルを選ぶのがコストパフォーマンスが良さそうです。
しかしながら「薄さ・軽さ・扱い易さ」はモバイルで使用するには「速度」よりも重要な要素です。
また最近はスマートフォンで PC並みのことが出来るので、移動中に電子書籍を読んだり動画を見たりとストレージ容量の要求量も多くなってきています。
SDカードなどの記録メモリを使用しても良いのですが、nexus7のようにカードリーダーが標準で付いていなかったり、カードリーダーが付いていてもメモリカードに転送する速度が遅いので「カクうす9」を Android端末で使えないかと試してみました。
試してみた端末は以下の 3台です。
Xperia GXは現在使用しているスマホですが、こちらでは読書や動画鑑賞などは普段行なっていないので、あくまで接続が可能かどうかを確認しました。
Android OSのバージョンは 4.0.4です。
nexus 7が今回のメインターゲットで、検証しています。
Android OSのバージョンは 4.2.2です。
ASUS Eee Pad Transformer TF 101(ASUS TS101)は nexus 7を購入してから利用頻度が落ちて、すっかり nexus7にその地位を奪われてしまいました。
画面サイズが 10.1インチあるので、腰を落ち着けて動画を見る時にはこちらの方が便利で使っています。
Android OSのバージョンは 4.0.3です。
◆有線接続
Xperia GXと ASUS TF101は USBホスト機能に対応しているので接続するだけで利用が可能かどうか分かるのですが、nexus 7には USBホスト機能がないので次のアプリケーションをインストールしてデータの読み込みが出来るか確認してみました。
まず、USB microB - Aの変換アダプタを使用し Xperia GXに接続したところカクうす9のアクセスランプは点滅を繰り返すだけで、認識は出来ませんでした。
しかもなぜか青色の点滅です。試しに USB 2.0対応のケーブルで接続しても同様です。
HDPC-UT500Kを繋いでもやはり認識されなかったのですが、ランプの色から USB 2.0接続されているようです。
SSDでいくら省電力といえども動作は出来ないようです。
電源供給の出来る Y字ケーブルを使用すれば認識できるかとも思うのですが、メーカー推奨のモノは ACアダプタ接続のモノなのでモバイル用途には向きません。
※バスパワーUSB機器用ACアダプター(メーカー製品ページ)
USB給電出来るモノを入手したら、追記したいと思います。
続いて nexus 7に接続してみたところ、Nexus Media Importerのメッセージが表示されアプリケーションの画面に移りました。
しかし、ここでも Xperia GXの時と同様アクセスランプが点滅し、「Connecting」のメッセージのまま先に進めず接続することが出来ません。
端末のサイズが大きくても電源供給量は変わらないようです。
この状態のまま、ケーブルを抜き差ししてやることでなんと認識されました。
(稲造さん、ありがとうございます)
DVD品質の動画がスムースに再生できました。
ただ、長い動画を再生している時に再接続を要求されたりもしたので、安定しているとは言い難いです。
さすがに HDDは無理だろうと思いつつ試しに HDPC-UT500Kを接続してみたところ、こちらも認識でき、動画の再生も行えました。
それならばと他社製のポータブルHDDも試してみたのですが、さすがに認識することは出来ませんでした。
明示的に「Open Faled」とメッセージが表示されました。
こちらはちょうど電源供給の出来る Y字ケーブルが付属されていたのでモバイルバッテリーを接続してみたのですが、それでも認識はされませんでした。
Y字ケーブルの代わりに給電ポートの付いているカードリーダー経由で接続してみると今度は使用できるようになりました。
しっかり Android対応をうたっているカードリーダーですので、安定した電源供給が出来るのですかね。
I-O DATAのポータブルHDD・SSDを電源供給無しに接続出来たとはいえ安定性を考えると上述のカードリーダーで使用した方が良さそうですね。
これならば、動画や重要なファイルを開くときは給電しながら使用し、それ以外の時は給電無しに使用するといった使い方が出来ます。
ちなみに Xperia GXでこのカードリーダーで給電しながらポータブルSSDを接続してみたところ認識はされたのですが、NTFSフォーマットを読むことが出来ないようでフォーマットするように促されました。
最後に ASUS TF101での接続なのですが、タブレットモード時には USB端子がないのでキーボードドックに接続した状態で繋げます。
キーボードドックの USBポートは標準サイズですので、別途変換コネクターなど必要なくそのまま接続することが出来ます。
そして、結果はあっさり認識され中の動画ファイルなども普通に再生できました。
こちらは USB 2.0対応のポートですのでアクセスランプは黄緑色に点灯しています。
フルHDの動画だとマシンスペックのせいか多少カクカクして再生されますが、DVD品質の動画はスムースに再生できます。
3台の中で唯一 ASUS TF101だけがそのまま再生できましたが、キーボードドックが必要な上重量やサイズがウルトラブック並になってしまうので、Androidタブレットで利用できるメリットが私には少なく感じます。
今回プレミアムレビューに応募したのは、nexus 7でスマートに使いたく次に検証する Wi-Fi対応のカードリーダーを経由して利用できるのかが一番試してみたい事でした。
これが出来れば、Wi-Fi機器とカクうす9をカバンに入れたまま nexus7だけ持って動画鑑賞などが可能になります。
◆Wi-Fi機器経由接続
まずは、ラトックシステムのWi-Fi SDカードリーダーにカクうす9を接続して試してみました。
上記のレビュー時には A-DATA製の外付けHDDが認識できませんでした。
nexus 7から専用アプリの「WiDrawer」を起動して見てみると、USBデバイスが認識されています。
更に下層を見ていくとしっかりファイル名が表示されます。
読み込み速度は 11gのネットワークに繋げた時と同じ程度です。
ファイルに対応するアプリケーションが表示されるので、好きなアプリケーションを選択し進めます。
PDFファイルは先にファイルを読み込んでしまうので、閲覧は内蔵ストレージに入っている時と変わりません。
続けて動画も試してみました。
PDFファイルの時と同様対応するアプリケーションが表示されるので、好きなアプリケーションを選択し進めます。
対応するファイルが多いので、私は専ら「MX動画プレーヤー」を利用しています。
上記スクリーンショットでは 1ファイルしか表示されていませんが、wmv、DivX、mp4形式のいくつかの画像サイズのファイルで試してみました。
動画の再生はバッファリングされて逐次再生の様ですので、転送速度がスムースに再生できるかどうかの分かれ目です。
Xperia GX、nexus 7、ASUS TF101共に DVD品質のモノまではスムースに再生できたのですが、フルHD動画は皆コマ送り状態になりとても鑑賞には耐えられませんでした。
しかし、DVD品質もあれば十分キレイですので当初の目的は達成しました\(^o^)/
他社製の外付けHDDがダメだったので試していなかったのですが、試しに HDPC-UT500Kを接続してみたところ使用可能でした。
どうやら Wi-Fi SDカードリーダーで利用できなかったのは HDDだからではなく、外付けHDDのコントローラーの問題っぽいですね。
気を良くして Wi-Fi対応 ポータブルDVDドライブでの接続も試してみました。
上記製品は、Wi-Fi接続時には AC電源を使用しなければならず、モバイルの用途には向きませんが電源がしっかり確保されているので、電源容量不足による接続不可は無さそうです。
そして、nexus 7より対応する「Logitec WiFi DVD」を起動し接続してみると、こちらもあっさり認識されました。
動画再生アプリケーションは独自のモノが起動されますが、Wi-Fi SDカードリーダーの時と同様 DVD品質のモノまではスムースに再生でき、フルHDの動画は再生が止まってしまう状況でした。
まずタイトルに掲げた Androidタブレットと相性が良いかですが、そのままでは使えないという結果でした。 nexus7では安定性に若干不安があるものの接続は可能でした。
ただし また、ASUS TF101の様に AndroidタブレットをノートPCのように使っている人の場合は、有効そうです。
ASUS TF101での検証しか行なっていないので、USBポートを持つドックが使える他の Androidタブレットで同様の事が出来るかどうかは不明ですが。
しかしながら Wi-Fi機器を経由した接続に於いては、DVD品質での動画再生がスムースに行なえる等十分に利用価値のある結果でした。
私の場合はこれを試したくてカクうす9が欲しかったので、これから外出時にこのセットを持っていくことが多くなりそうです。
この結果からだけでも薄くて軽くて扱い易いカクうす9は Androidタブレットとの相性は良いと言いたいところですが、やはり別途高価な機器を必要としたり、安定性に疑問があるのでは素直に相性が良いとは言えないでしょう。
Androidタブレットとの相性といいながらうちで直接接続できたのは nexus 7だけですので、安定して電源供給出来るポートを持つ Androidタブレットがあるのならば快適に使えそうです。
USB接続のHDD・SSDはまだまだ PCで使うモノという位置付けなんですかね。
当初は ↑ の様に書きましたが、ポータブルHDDの場合は PCの場合でも電力が足りない時のために Y字ケーブルを付属している製品があるくらいですので、使えるかどうかは Androidタブレットを製造しているメーカーの考え方次第ですね。
最近はスマホでもホスト機能を付けてくるようになっているので、前より大分 PCの周辺機器が使い易くなっているのは確かですね。
最後に今回使っていて気になった点をいくつか。
・ケーブルが固い
ケーブルが固くカクうす9本体を思ったように設置できない。
また、本体が軽い故に端末を動かすとそれに合わせて動いてしまう。この時、USBの差込口によっては接続を解除されてしまうこともあり、注意が必要である。
・滑り易い
全面アルミパネルのため滑り易く机の上に設置するとすぐ動いてしまう。
気に入った点と反してしまうが、HDPC-UTシリーズのように底面がラバーコーティングされているモノもあると良いかも。
・HDDに比べて価格が高い
500GBくらいの SSDを気軽に使ってみたいものです(^^;
関係各位の皆様、カクうす9をレビューする機会をいただき、ありがとうございました。
2013.8.2追記
他製品の検証のため本品の速度計測を行ったところ、前回と全く違う値が出てきたので掲載します。
また、USB 2.0接続の結果を掲載していなかったので併せて提示いたします。
まず再検証を行った PCは PSO2ノートPCです。
こちらの USB 3.0ポートに接続したところシーケンシャルと 512Kで倍近い値が出ました。
やっぱりこのくらいは出てもらわないとねぇ(^^
しかし、USB 3.0端子だから一緒なんだろうと勝手に思っていましたが、PCによって全然違うのですね。
そして同じノートPCにて USB 2.0接続でも計測してみました。
今度は一気に落ちましたね。
これは、USB 2.0の仕様なのでどうしようもないですね。
まささん
2013/02/28
ハブを使って接続すると認識されませんでしたww
確かにケーブルは固い!!
稲蔵さん
2013/02/28
レビューで殻割りしているので、他のSSDに差し替えてやってみましたが、結果を考えるになんだか接続する順番に関係がありそうな気がしました。
HDDは、もちろん補助電源が必要ですが。
その点もSSDのメリットかもしれませんね。
atsuo@tokyoさん
2013/02/28
コメントありがとうございます。
PCでもハブ経由の時は気を使いますね。
ケーブルはぜひとも扱いやすい固さにしてほしいものですね。
30cmと短いので Wi-Fi機器と重ねて置こうとしても跳ね上がってしまいます(--;
atsuo@tokyoさん
2013/02/28
貴重な情報ありがとうございます。
私の場合挿してずっと置いたままの確認を何度かしていて認識しなかったのですが、今回「Connecting」のメッセージが出ている状態で 2,3度抜き差ししてやることで認識することが出来ました。
一度認識させた後は、「disconnect」しても一度で認識することもあり、法則が分かりませんね。
ただ、この状態で長めの動画を見てみたら時々切断されてしまうので、ほんとに電源供給量がギリギリなんでしょうね。
ちなみにスマホの方は何度抜き差ししても一緒だったので、こちらは無理そうです。
この辺を少しまとめて追記したいと思います。
Vossさん
2013/03/02
キングストンや東芝あたりのSATA2/64GなSSDを外付化したら、スマホで外付・・・・・(ぇ
・・・・・ちょっとブツ探してみよっと。
atsuo@tokyoさん
2013/03/02
SSDもサイズによって必要電力とかって違うんですか?
SSDが実際に動作するのにどの位の電力が必要で、各スマホやタブレットがどの位の電力を供給できるのかって公表値があればいいのになぁ。
Vossさんは自作ですか(^^;
Vossさん
2013/03/02
・・・・と言っても、映像とか容量食うデータはWHSから直接スマホでストリーミング視聴してたりする(そのためにWHS鯖に自宅のデータ全部集めてあります)ので、外付ストレージを持ち歩く必要性、そこまで高く無いんですがw
ちなみに、SSDの動作電力については、以前下小川どんがやってましたが、倍くらい違う(同じ2.5インチでSATA6G同士)ものもあるようです。
mSATAとか、待機1w以下だとか・・・・M3Mは0.3Wだっけな。
「mSATA→変換基板→USB箱に入れ込む」のコンボで、超省電力SSDとか作ったら動くかなぁとか、色々思案してます。
・・・・・・・・・まあ、その前にMP回復しないと無理ですが!
atsuo@tokyoさん
2013/03/03
SSDの同じサイズでそんなに動作電力が違うんですか。
それだとスマホで動作するのもありそうですね。
自作ポータブルSSDを楽しみにしています(^^
mickeyさん
2013/03/03
Androidタブレットとの連携、勉強になりました。
NTFSも対応しているWiFiカードリーダー、
いいですね。いろいろ使えそうかと思いました(^^)
atsuo@tokyoさん
2013/03/03
前から AndroidタブレットでポータブルSSDを試してみたかったので良い機会でした(^^
スマホがNTFS対応していなかったので、余計に WiFiカードリーダーが活きてきました。