第一報から、遺体確認作業の終了までに、当時群馬県警高崎署の刑事官、身元確認班長であった著者 飯塚訓さんの視点と、同時並行で動いていた各スタッフの状況、感情等、退官後に書かれている本です。
私は出版された98年当時、少し時間があったので、毎日阪神大震災に関するレポートやら、この本を反復して読んでいました。
まずは目次から。
目次
第一章 出動命令
第二章 大量遺体
第三章 最初の遺体確認
第四章 悲しみの体育館
第五章 看護婦たちの胸の中
第六章 指紋、歯が語る
第七章 身を粉にした医師の仕事ぶり
第八章 遺体の引き取り
第九章 過酷な任務
第十章 極限の日々
第十一章 最後の最後まで
この本は墜落原因ではなく事象を記録し、かかわった人々の記録を統合したものです。
このような記録は、当時戦場でともに戦った人だからこそ、関わった方々も口を開いてくれるものであり、起きていたことから、次の対策を考えるうえで、非常に重要なものです。
この本で、わかったことは、
・検視作業の実態
・遺族のふるまい
・現場と上層部のかい離(警察、日本航空双方)
でした。
そこから得られる教訓としては、
・大量遺体の検視現場は過酷である。物資および人的資源に対するロジスティックスの整備を念頭におくべき
・情報が遮断された場合のためルール整備ではなく考え方を訓練しておくべき
・スクープ狙いの報道は必ず出る。報道対策を検討すべき
・総合的な訓練とフィードバックは定期的に行うべきである
だと思います。
大多数の日本人が苦手としている分野ですが、正義に基づいたマクロな戦略と、ミクロな戦術を立てて正面から向き合わないいけないことです。
この本は相手が事故でしたが、普段のビジネスにも十分につながる記述が多々見られます。
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この本の中で、
・警察官
・地元医師会のメンバー
・看護師(日赤、etc)
・法医学の先生
の声が載せられています。
それぞれがどのような状況にあったのかがわかる貴重な第一級資料となっています。
(一部情報は、二次情報が含まれていて原典が存在します)
この本で含まれていない
・自衛官
・ご遺族
については、続編に含まれています。こちらも重要な資料です。
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著者 飯塚訓さんは、あとがきにもありますが、書くべきかどうか悩まれた上で、この事故とかかわった人々に対する思い入れの強さから、これだけの本を作り上げられたと思っていますが、感情に流されず、かといって、必要なところでは感情も十分伝えていることは尊敬に値します。
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あと、若干の遺体描写が含まれていますので、苦手の方はその部分は避けてもいいと思いますが、
自分の身にいつ降りかかるかわからないことですので、少しばかり勉強のつもりで読むのもいいと思います。
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購入金額
1,500円
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購入日
1998年06月頃
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購入場所
リーダーさん
2011/06/11
体調がいいときに読んでみたいですね。
はにゃさん
2011/06/11
文庫本がでているので、amazonで
墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社プラスアルファ文庫) [文庫] で
引っかかります。
続編も
墜落現場 遺された人たち (講談社プラスアルファ文庫) [文庫]
で引っかかります。
調子のいいときにみるといいと思います。
退会したユーザーさん
2011/06/11
でも、事実ですから・・・!
現実と解っているのですが、実際・・・
この事故とは関係ないのですが、息子が・・・・!
北のラブリエさん
2011/06/11
おどろおどろしいものではないですが、息の詰まるような感覚があります。
はにゃさん
2011/06/11
いろいろな問題が時間とともにどのように起こったのか、
周りの人々とどのように関わって、どのように乗り越えつつあるのか
書いてあります。