使い勝手などの要素は後回しで、まずは音質についてです。
主にiPod M9282J/A(Clickwheel 20GB)などとの比較で評価してみましたが、オーディオ的にきちんとまとまっているのはやはり本機の方です。以前から書いている通り派手でやや渇いた傾向という明確なキャラクターがあるiPodと比べると、目立った傾向のない素直な音質と評することが出来ます。
ただ、PC用のUSBオーディオインターフェース、emagic emi2/6との比較では、特に低域方向の解像度が弱く、力感にも欠けています。高域方向はある程度緻密さや透明度は確保されていますが、鋭いアタックがある部分など、やはり丸まってしまう感じはあります。
中域の質感などは悪くなく、特に弦楽器の表現はなかなかです。スローテンポかつアコースティック系の音楽を気持ちよく聴くのに向いた音質といえるでしょう。ロックを豪快にならすような鮮烈な傾向ではありませんが、ポータブルオーディオ機器として、まずまず無難な方向性ではないでしょうか。emi2/6等の一定レベルのオーディオインターフェースや、きちんとしたオーディオ機器と比べて対等に勝負できるほどではないものの、他社のライバル製品と比べれば高音質であるとはいえるでしょう。
音質では優位性はあるものの、使い勝手や操作感には不満がつきまといます。もともとオーディオ回路以外の部分は東芝GIGABEAT系の部品を流用しているという話ですが、操作ボタンは意図通りの反応をしてくれないことが少なからずありますし、iPodにおけるiTunesのようなしっかりとした楽曲の管理環境がないことはマイナスです。
またどうしても気になるのは、しばらく連続で使っていると曲の頭出しにタイムラグが発生し始めるということです。この製品の内蔵ドライブは東芝製のMK2006GALで、iPod内蔵のMK2004GALよりは世代が新しく速度性能は向上しているはずなのですが…。
もっとも、製品コンセプトが「音質重視」である以上、そこをクリアしていれば敢えてそれ以外の要素に高い次元を要求するべきでは無いと思いますし、シリーズ初代機としてはよく作り込まれていたと一定の評価は出来る製品です。
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購入金額
8,000円
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購入日
2008年05月09日
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購入場所
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